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15 公爵令嬢は成認式に出る 1

誕生日パーティーから早1ヶ月。


あれから私は、合間をぬっては書庫本や資料を読み漁り、随分この国の仕組みがわかってきた。


その事はまた追々考えるとして、今日は遂に成認式当日。


お父様は来賓として出席するので、私はお母様と一緒に出席する。


私は大量の荷物と一緒に、前日から王都に来ていた。


そして、ある計画を企てている。


「お母様、今日の件の許可を下さり、ありがとうございます。」


「いいのよ。

フランは旦那様に似て、常に人の為にと思って行動しているんだもの。

今日の件も、私は大賛成よ。」


そうして、大量の荷物と一緒に、馬車で成認式会場に着いた。


見た目はどデカい教会風の建物で、日本のドーム式球場が3つ分くらいありそうな大きさ。


只々デカい。


その一言に尽きる。


そのデカい成認式場にある人溜りの中で馬車から降りる。


すると、会場の9時半より結構前の時間だというのに大勢いたその場の人たちが、一斉にこちらを見てきた。



私とお母様のドレスは、周りの皆んなと一風変わっていた。


私のドレスは、深めの青を基調とし、肩を出したスラッとしたタイプのもの。


光沢のあるシルクで作られたそのドレスは、肩下回りと裾周りを白色のシルクのフリルでぐるっと囲い、左胸にはデルフィニウムのコサージュを付け、ハーフアップした髪にはコサージュとお揃いの髪飾りを付けてる。


装飾品も、サファイヤのシンプルなネックレスとイヤリングと指輪。



対する母は、私のドレスと対になる様色が逆。


フリフリの似合う可愛らしい顔をメイクで色っぽくし、その顔以上に色気のある身体のラインを存分に強調したマーメイドドレス。


お母様、幼い顔に似合わずわがままボディ。


白の大きなつばの帽子を被り、コサージュとお揃いの花飾りを帽子にあしらっている。


白いフリフリ フワフワの中に現れた、クールな深い青。


めちゃくちゃ目立っている。


「うわぁ、綺麗な親子。」


「あの子、ドレスがすごく似合ってるね。」


「ママ、私あのドレス着たい」


よし、フリフリを着たくなかっただけなんだけど、周りの反応は中々良いんじゃない?


お母様はいつも通りの公爵夫人(他所行き)の顔をしているけど、リッカはなぜか少し誇らしげ。


だから、褒められているのは私であって、お前ではない。


そうこうしているうちに、入口の方から成認式の係の人が人波をかき分けながらやって来た。


「これはこれは、フィアンマ公爵夫人とお嬢様。


長い道のりを、王都までよくぞお越しくださいました。


本日のドレスもとても良くお似合いでお美しい。


もう直開場ですので、どうぞ一番前へ。」


漫画で良くある胡麻擂りの様なポーズで胡麻を擂ってきた。


はて、なぜ私は一番前へ?


「知識不足で申し訳ありません。

私達が一番前へ行くのは、そう言った決まりがあるのでしょうか。」


「いえいえ、そう言った決まりがある訳ではございませんが、公爵家の方ですから特別に。」


「では、私はこの方達の後ろに並びますわ。」


「えっ…」


ざわ…ざわ…


あたりが何だかどよめいた。


お母様も少し驚かれている様に見える。


「し、しかし、公爵家の方々をお待たせするなど、失礼な事をする訳には…」


「何も失礼な事はありませんわ。

この方達も、今日は5歳のお祝いを兼ねて国民の一員として認められていらっしゃいますの。

私達だけ特別扱いされる方が、皆様に失礼ですわ。

ねえ、お母様。」


と、お母様に振ってみる。


「その通りよ。

この子達もフランドールと同じ立派な5歳。

同等に対応差し上げて頂戴。」


流石お母様、無茶振りにもクールに対応、素晴らしい。


「か、かしこまりいました。

大変失礼な発言、誠に申し訳ございません。」


「とんでもありませんわ。

成認式という大事なお仕事を任されておいでで、少し気合が入りすぎていらっしゃったのですね。

大変だと思いますが

今日一日、私達の為に頑張ってくださいな。」


「は、はい!

有難きお言葉を頂き、誠に光栄であります。」


なんか余計緊張させちゃった様な…


そう言いながら、大量の荷物を持ったメイド達と一緒に、私達は最後尾に並んだ。


んー、勝手な事をして、お母様怒ってないかしら。


ただ、いくら私が公爵令嬢だからって、皆んなが並んでたのに順番飛ばして先頭を行くのは気が引ける。


いや、最後尾に並ぶと言って皆んなが驚いてたんだから、マナー云々じゃなくて貴族の行動に対する暗黙の了解だったのかな?


うーん、この世界の常識ってまだまだわかんない事いっぱいだなぁ。

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