表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/260

85 公爵令嬢は舞踏会を企画する

先日、私の作った化粧品で夜会に出たお母様は、貴婦人方の間で噂になったそうな。


ただ、私が手作りした化粧品だからどこにも売っておらず、美を独占したいお母様も入手先を内緒にしていた為、誰も化粧品を入手出来ずにいた。


『どうせまたフランドール嬢が新しく開発したんでしょう!?』という声がどこからか上がり、化粧品の商品化の声が男爵領へ殺到。


デビュタントが終わっていた事もあって、お茶会や夜会の招待状の数も半端じゃない。


大方、化粧品を手に入れたい淑女の皆様と、それを商売にしたい紳士の皆様からなんでしょう。


情報収集も大事な仕事だと分かってるけども、これ全部出てたら領主業に支障が出るわ。


とりあえず、パーティに出るメリットのないものはをざっくりお断りして、出るものを吟味。


あ、ダンスパーティーは、行かなきゃ人生終わる程のよっぽどのものじゃない限り断固拒否。


てな感じで、ぼちぼちパーティーに参加しつつ、化粧品についてはあしらっていた。




「デビュタントも終わったのだし、そろそろフランが主催するパーティーがあってもいいと思うんだが。」


お兄様の結婚パーティーの為に公爵家に帰り、早々にお父様にそう言われた。


「その前に、お兄様の結婚パーティーが先でしょう?

それが終わってから考えるでもいいじゃないですか。」


「それはもう3日後じゃないか。

今からフランのパーティーを準備しておかないと。

何かこう、フランらしい奇抜なアイデアはないのか?」


「私らしいと思うものを、お父様が見繕えばいいじゃないですか。」


「違うんだよ、もっと斬新な、新しいパーティーがいいんだよ!

フランなら、考え付くだろう?」


なんだよこの大きな子供は。


そんな事言ったって、最近社交界デビューしたばかりの私が、パーティーの常識やら斬新さやら分かるわけないでしょうが。


俺の記憶でも、貴族のお付き合いなんて興味ない分野だったし、服装やら髪型やら化粧やらの文化や歴史程度しかわからない。


無茶ぶりにも程がある。


「レイジの結婚パーティーが終わるまでに考えておいてね。」


お父様ぁ!?




お兄様の結婚パーティーは無事終わった。終わってしまった。


そして、ここからが本当の戦い。


マリア様が我が家に来た。


一応、最低限の常識は持ち合わせてる人ではあるんだけど、いかんせんプライドが大気圏ぶっちぎってるから、やたらと上から目線なんだよなぁ。


あぁもう早速お母様とバチバチするなよ。


王家だとか爵位だとか年齢だとか絡むから、余計めんどくさくなるんだって。


一旦そういうの無しにして、みんなが同じ立ち位置で物事を見る事が出来ないのかね。


……あ、閃いた。


今のタイミングで思いつくの絶対場違いなんだけど、パーティーの企画が閃いてしまった。


というより思い出した。


いい案が出来たから、お父様かお兄様どっちか早く帰ってきてー!




「なに、仮面舞踏会だと。」


「はい、参加者は仮面や被り物で変装をし、お互いが誰かわからない状態にしてしまって、階級や地位をこの舞踏会に限ってなくしてしまうんです。」


「仮面を被った状態でパーティーとは、フランはまた変わった事を思い付いたなぁ。」


その変わった事を要求したのはお父様でしょうが。


あと、この世界には仮面舞踏会がなかったのが新発見。


「誰か分からない状態と言っても、仕草や声、体格で相手が誰かは分かってしまうだろう?」


「はい、バレますね。」


「じゃ何のために仮面をつけるんだ?」


「仮面の本来の目的は『普段の顔を隠す事』。

『この仮面をつけている間は、無礼講で、今日の私のことは不問にしてくださいね』といった記号にするんです。

権力争いや社交界の汚い部分を全て無くし、しがらみのない状態でパーティーを楽しむのです。」


「ほぉ、ただ単に仮面を被るだけじゃないのか。」


「それに、仮装してパーティーに参加するだなんて、楽しそうだと思いませんか?」


「絶対楽しい! 即採用だ!」




早速招待客を厳選して招待状を送ったところ、返事は全員参加。


むしろ、どこから情報が漏れたのか「なぜ招待状がないの!?」と嘆く者すら勃発した。


次に、パーティー用のコスプレ衣装、いや、仮面とかつらの調達。


金属製のアイマスクに、私の髪の色と違うかつらを用意した。


料理食べたいし。


因みに、ドレスやその他諸々も調達済み。


お母様とマリア様もすごく楽しそうに準備してた。別々で。


いや、うん、分かるよ、楽しみなのは。


ただ、家族で一番ワクワクしてるのがお父様って!




パーティー当日、人が続々集まって来た。


各々で準備したマスクが、結構個性的で面白い。


フルマスクタイプの人が結構多かったけど、ご飯食べる時は外すのかな?


「皆様、お集まりいただき、ありがとうございます。

本日は仮面舞踏会。

普段の自分の顔を隠し、地位や身分をなくした上で、お互いに無礼講でパーティーをお楽しみください!」


私の挨拶でパーティーが始まる。


私の仮面は、桜をモチーフにした金属製のデザインマスク。


花あたる部分に、シャンパンガーネットを所々あしらっている。


もちろん、手作り。


髪の毛は真っ白のショートボブのかつら。


そしてここ重要。


15センチの超ハイヒールとパット入りドレス。


全力で仮装してます!


周りの反応はかなり良い。


特に、仮面と胸。


そりゃあ、どちらも素材にこだわってますから!


「歩き方ぎこちないけど、ヒール大丈夫か?」


「もはや別人の域ですね。」


「フランちゃん先生、本気すぎて面白ーい。」


「フラン様、とてもお綺麗です!」


リリーちゃん、ありがとう。君だけが私の味方だよ。


4人も各々にお面をつけて来ていたけど、私ほどガチではなかった。


ちょっと恥ずかしくなってきたよ。


しばらく5人で話をして、ロナウド王子と一緒に挨拶まわりをした。



「パーティーは楽しんで頂けてますか?」


マリア様に話しかけた。


本音を言うと絡みたくないんだけど、こう言う場だからこそ出来る会話もあると思って、勇気を出した。


「ええ、とても。

こういった変なパーティー、参加させて頂いたの生まれて初めてですわ。」


『変な』は余計だ、まったくもう。


「フィアンマ家にいらしたのなら、この程度で驚かれても困りますわ。」


ちょっと言い返してみる。


「フィアンマ家というより、奇行の発端は全て貴女ですわよね?」


確かにそうだけど!


「レイジ様から全てお聞かせ頂いてますわ。

腐った魚で料理をお作りになったり、露出の多い衣装を来て海で遊ぶ蛮行を流行らせたり。」


魚醤と海水浴をネガティブ変換するとこうなるのか!


「あと、チョコレートをお作りになったり。」


ん?


「チョコレートは、もっと量産出来ないんですの?」


「原材料のほとんどを輸入に頼ってますし、制作に手間もかかっているので……」


「そう、せっかく誉めてさしあげようと思いましたのに、残念ですわ。」


ほ?


「本日の料理の中に、雲の飴はありませんの?」


「綿菓子の事でしょうか。

それでしたら、明日にでもお作り致しましょうか?」


「是非お願いしますわ。」


なんだか今日、いつもより穏やかだな?


「其方の殿方が、フランドールの婚約者?」


「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。

アースフィールド王国第三王子、ロナウドと申します。」


「レイジ・フィアンマの妻、マリアですわ。

この場は無礼講とフランドールも仰ってましたわ、堅苦しいのは無しにしてくださいな、ロナウド殿下。」


マリア様ってこんな人だったっけ?


「フランドール、レイジ様に劣らない素晴らしい殿方に見染められて、良かったですわね。」


「「みそっ……」」


「まぁ、貴方なら問題ないとは思っていましたけど。

わたくしだって、貴女の事認めておりますのよ?」


と、扇子で口元を隠しながら仰ったマリア様。


……顔が隠せるこの場だから言ってくれたのかな。


「私も、お兄様を一途に想い続けるマリア様を尊敬しています。

ずっと、お兄様を支えてあげてください。」


「当たり前でしょう?

分かりきった事を言わないで頂けるかしら。」


プライドが強くて、口が悪くて、相手を見下して。


常識があって、人を認める事が出来て、素直になれない。


なんだか、昔のロナウド王子を見てるみたい。




「フランの義姉、なんか嫌なヤツだな。」


完全な同族嫌悪だよ、それ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ