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ただ私はベットの上で寝転がる。考えていない。でも寝ていない。そんな状態だった。
どれくらいの時が経ったのだろうか?
ガキャリ音がした。私は何もできないので目を瞑ることにした。足音が聞こえる。それは私に近づいていき、ベットに彼が乗ったのがわかった。
彼は私の首元に手をやった。
はあ、ここで終わりか。私をきっと殺すのだろう。未練は彼女を最後まで守れなかったことだろうか。それくらいしかない。最後に私のささやかな抵抗でもしようかな。
私はゆっくりと目を開けた。
彼は物凄く驚いて「起きてたのかい?」と聞いてきた。
「寝れなくてね」茶番だ。私を殺そうとした。でも起きてたから彼は驚いたのだろう。そして、何事もなく演じる。運命共同体を。くだらない茶番だ。
「ごめんね。不安だろうに。」思ってないことなんて、言わなくていいのに、とっとと楽にしてくれよ。
「ううん。大丈夫。」私もこの運命共同体茶番に乗っかる。お互いに知ってるのに知らない振りをする方がラクなのだ。
「お互いを信用するために付けたのに、それで苦しんでいたのに気づかなくてごめんね。」
とっとと殺せよ。この裏切りm…
そう思った刹那、身体にぬくもりを感じた。
「じっとしてて。外すから。」
「え?」何がどうなってるのかわからなかった。唯一わかっているのか。彼が私に抱きついているということ。それは、とっても暖かくて、髪からは良い匂いがして、そして安心できるそんな感じだった。
カチャっと音がする。首についていたアレは外れていた。
その瞬間私は泣いた。何故か?それはよくわからない。謝罪なのか。嬉しさなのか。僕には分からない。
「安心したのかい?」彼は言う。
私は彼の胸に飛び込んで。泣きながらいった。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」