捨てる神、拾う神
次の日。
僕は二日酔いでガンガンする頭を抱えながら、ニャルの日本の拠点だというマンションに連れてこられた。
低層ビルの二階に位置するその部屋からは、素晴らしい景色が見えた。
赤くそびえ立つ、日本の象徴とも言える電波塔。
そう。東京タワーである。
「東京タワー!!」
僕は窓に食い入るように東京タワーを眺めた。
東京タワーが見えるマンションとか、ニャルはなんていい場所に住んでいるんだ。
「ここが僕の家だよ。一階部分はカフェになってるんだ。仕事が決まるまでは、ここにいてもいいよ」
「すごーい! あかーい!」
「ねえ、聞いてる?」
ニャルが何か言っているが、僕は東京タワーに夢中だった。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
ニャルの家に住み始めてから、数日が経った。
日本は素晴らしい。
小説。漫画。アニメ。ゲーム。おもちゃ!
夢とロマンに溢れた世界が広がっている。
興味深い物が多すぎて、僕は色んなものを拾ってきて大切に保管していった。
僕の「拾ったボックス」には夢とロマンが溢れていく。
綺麗な色の石。珍しくておしゃれな瓶。箱に入った銀色の鍵。おしゃれなデザインの袋。金色の小さなコイン。
拾ったものだけでも色々ある。
東京タワーが見えるこの家で、これからもずっと色んなものを見たり集めたりして生きていきたい。
しかし、幸せな時間はそう長くは続かなかった。
「働きもしないで、1日中家にいてゴミばっかり拾ってくる人はうちでは養えません」
ニャルは半笑いでドアから僕と三つの「拾ったボックス」を外に出した。僕を外に出すとすぐに鍵を閉めてしまう。
……これはもしや、捨てられたのでは?