二階堂
ニャルがどうしてもと勧めるので、酒を飲みながら考えることにした。
「僕はどうしてもなんて言ってないよ。 文句言いながら、ちゃっかり酒は飲むんだから」
「う、うるさいな。人間の食べ物が美味しいのがいけないんだ」
「酒は飲み物だけどね」
人の揚げ足を取ってくるニャルを横目で見ながら、小さなグラスに酒を注いで飲んだ。
二階堂という酒は、焼酎らしい。
一口含むと、麦の香ばしさが口の中に広がった。苦味がありながらもすっきりしていて、美味しい。
「今日は僕がつまみを用意してあげたよ。飲みすぎ注意だから、食べながらゆっくり……」
頭がぼーっとする。
ニャルの用意してくれた食べ物、美味しそう。
焼酎大好き。おだんごも大好き。
頭の中に考えがとりとめもなく浮かんでは消えるが、不思議と心地良い。
「もう手遅れだったね」
ニャルが何か言っている。
僕が酔っているとでも言いたいのだろうか。確かに酔っているのかもしれない。美味しいから仕方ない。
「僕これ大好き! 焼酎の二階堂さんちの子になる! 僕の名前は今日から、二階堂おだんご!」
「二階堂はともかく、流石に名前がおだんごはどうかと思うよ。安里宇須の方がまだましだよ」
「んー……」
「って、聞いてる?」
ニャルの話をぼーっと聞きながらお酒を飲む。美味しい。
「きいてるきいてる。おだんごはだめかぁ」
「ちょっとキラキラネームすぎるね」
「んー……」
キラキラネームすぎると言われたので、名前大全を手に取って名前を選ぶ。二階堂に合う名前かー。
「ぼくはあざとーすでぇ、人助けのかみさまだからぁ、かみさまの助けって意味の祐に司るで、祐司」
「アザトースは名状しがたい冒涜的な神だよ」
「ちがうもん! あざとーすは人助けのかみさまだもん!」
ニャルを叩こうとするが、ひらりとかわされる。
「びゃるめー!」
「それはひょっとしてニャルめーって言いたいのかい? もうわざととしか思えないけど、ニャルだよ」
「じゃる!」
「だからそれは違うやつだって」
「ねる!」
「え」
ニャルがムカつくので、僕は寝ることにした。