JR最南端の駅・西大山駅
朝の汽車に乗ることができ、何とか出発できたチーム朱雀。
しかし、50分後に停まった西大山駅には、ある誘惑が待っていた。
西大山駅は鹿児島県指宿市にある駅で、一見何の変哲も無い無人駅に見えるが、この駅にはJR最南端の駅という誇らしげな称号があり、ホームにはそれを示す看板も立っている。
「降りたいな〜♪」
「モモナ、本気で言っとんのか?」
「だってぇ〜、こんなローカル線の無人駅にまた来れるとも限らんでしょ〜?」
「だけどな、降りたら次の電車来るの6時間後だぞ〜?」
「なんとかなるって♪ さあトーガも降りよっ!」
そのみなぎる自信はどこから出てきているのかはわからないが、結局2人は降りてしまった。
西大山駅は、多くのJRの無人駅の例に漏れず周りに畑しかない無人駅で、言われなければ最南端の駅だとは気づかない。
若干心配性なトーガは、慌てて駅の時刻表を確認した。
すると、30分ぐらい後に次の汽車が来るということがわかった。
ひと安心したトーガは、モモナにやっと追いついた。
「ねぇ、トーガ!あたり一面ひまわり畑だよ!!」
トーガが前を向くと、ひまわり畑がずっと広がっていた。
さっきは焦っていて気がつかなかったのか。
それにしても、見事なひまわり畑である。
2人がひまわり畑を背景にツーショットを撮ったところで次の汽車が来たので、急いでそれに飛び乗った。
汽車は15分ほどで乗り換え駅の指宿駅にたどり着いた。
指宿駅の時刻表を確認すると、13分後に鹿児島中央行きの快速列車が来るという。
県庁所在地に行けるとわかり、思わずハイタッチをした2人は、とても喉が渇いていたので駅の自販機で飲み物を買い、ベンチに座って待つことにした。
「小牧までどれぐらい掛かるんだろうね〜♪」
「よくわからんが、少なくとも1日で帰れる距離じゃないだろ。」
「でも、楽しそうだね〜♪」
「だな。」
そんな会話をしているうちに快速列車が到着した。
冷房の風が久しぶりに感じる。涼んでいるうちに、2人とも寝息を立てていた。
1時間ほどで快速列車の終点、鹿児島中央駅に到着した。
鹿児島中央駅は新幹線も発着する大きな駅で、ここから新大阪駅まで乗り換えなしで行けるという。
しかし、今回の旅では新幹線は使えず、インターネットも見られない。
駅員に聞くか、駅の時刻表を見るしかない。
とりあえず、時刻表を探すのは大変なので、駅の窓口で駅員に聞くことにしたようだ。
「すみません、普通電車だけを乗り継いで名古屋を目指しているのですが、どちらに行けばいいかわかりますか?」
「えぇ〜此処からだと、日豊本線で都城の方へ向かって頂いて、都城から宮崎行きの電車が出ておりますので、都城行きの電車にご乗車下さい。」
「都城行きの電車は、何時に出てますか?」
「直近のですと11時18分発のが有りまして、その次が午後1時11分発ですね。」
(・・・トーガ、どうする?)
(11時台のに乗ろうか。)
「ありがとうございました。11時台のに乗ります!」
こうして、2人は昼前の電車に乗って宮崎県の都城駅に向かっていった。