俺たち赤点ってマジっすか!!!???
ーはぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??? 俺たち赤点ってマジっすかーー!?
そんな声が上がったあの成績発表から3日が経ち、トボトボと歩く10人の生徒がいた。
同級生なのに互いのグループ間の交流はほとんどなく、本名すらほぼ知らない人もいた。
ここで歩く10人の赤点生徒は、今校長からのお叱りを受け終わって教室へ戻るところだ。
ようやく教室に着いたようだが、当然もう誰もいない。
「誰もいねぇな、なら、いっそもうハンバーガー店にでも行こうぜぇ!!!」
声を上げたのは、クラスのヤンキーグループのリーダー、藤島安敦だった。
他の9人も、アントンの指示には逆らえず、ハンバーガー店に向かうことになった。
それぞれグループごとに分かれて座った。
そこは大型スーパーのフードコートに入居する形のハンバーガー店で、親子連れこそいたが、他には高校生はいなかった。
「なぁモモナ、これからの進路どうする?」
2人がけのテーブルで声をかけたのは、桜井灯雅だった。
トーガはクラス内では特にグループには所属せず、中学以来の同級生の舟津桃奈と行動していることが多かった。
「んー。そうだなぁ。私はあんまりそうゆうこと考えんのだけど、トーガは結構そうゆうこと考えちゃうタイプだからね〜。私はバカだでいいとこには進めんとわかってるけど、トーガはいいとこ行きたいんでしょ?」
「モモナ、ひさびさにお前の口からキツイこと出てきたなぁ〜〜」
「あぁ!ごめんねトーガ。でもトーガなら大丈夫だよ!!本当はトーガ頭いいんだから!」
「まぁ、そうなんかな。」
これが、彼らの日常だ。
「おーいお前ら!これから駅前でダチがライブやるから行くぞ!!」
意気揚々と声をかけたのは、ヤンキーグループの2番手、多気伊支馬だった。
ここから小牧駅までは歩いて5分もかからない。
10人の高校生は歩き出す。
ハンバーガーを食べた後のこってりとした気分で。