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一年一組。生徒達は、次の授業に備えて机の上に教科書を並べていた。
だが、そこにアナスタシアの姿はない。
あいつがいないというだけで、なぜだか力が抜けてしまう
「どこ行ってたんだマコト?」
「アナスタシアさんを知らないか?」
「いや……見てないな。まだ戻って来てない」
もう屋上を見てくる時間もない。数学教師が教室に入ってきた
「はい、では挨拶お願いします」
授業が始まってしまった。ひそひそ話さえ聞こえない。本来なら当たり前の日常。ただ、教室の中で俺だけが違和感を感じていた。
結局、アナスタシアは帰って来ないままその日は終わってしまった。