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調査3

そして、眠れない夜がやってきた。

 せっかく寝床を与えてもらったのに悪い話だが、睡魔が一ミリたりとも近寄って来ない。

 昼寝しすぎたのが問題か、それとも昨日の徹夜で、もう生活リズムを崩してしまったというのか……。

 このまま徹夜で朝まで起きていたらどうなるだろう。まず間違いなくまた日中に寝続けて迷惑をかける。流石にそれはいただけない

 ふと横に目をやると、ミーシャが仰向けで寝ている。綺麗な鼻筋から規則正しく息が漏れている。いびきはかかないタイプらしい。

 俺も迷惑をかけない内に寝なければ。効いた試しはないが、羊でも数えるか……羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、余談だが、これで眠れたためしはない。

「眠れないの?」

 ドキッとするような声が聞こえた。ミーシャだった。

「うん」

 気づかないうちに起こしてしまっていたのだろうか。

「ねえ、リカードの村で過ごしていたんでしょ? 何があったのか教えて」

 仰向けになっているからだろうか、やけに声が艶っぽく聞こえる。

 こんなどうでもいいような話を聞きたがっているのは、ミーシャも眠れないからなのかもしれない。

「レムとエリーっていう、リカードさんの家族と一緒に暮らしていたんだ。最初の頃は、俺もリカードさんみたいにあまり筋肉がなくて、畑仕事もろくにできずに貧弱だって馬鹿にされてたよ。それでも、少しずつ体が鍛えられて行って、つい一昨日、初めての狩りに出かけて一人前だって認められたんだ。まあ、昨日やらかしてしまって村を追い出されたんだけどさ」

 今になって思えば、レムにもっと言葉を教えて楽しんでおくべきだった。別れの言葉も言わずに村を飛び出して来てしまったが、レムとエリーはどうしているだろう。今戻れば、村長は許してくれるだろうか。

「ふうん……」

 素っ気ない答えが返ってきた。何となく、裏切られた気がした。

 ミーシャに背を向け、瞼を閉じる。もう何も考えたくない気分だった。

 そうしていると、睡魔がやってきた。まどろみ始めているのがわかる。

 足にすっと冷たい感触を覚える。なんだこれ? そう思ってるうちにその細く柔らかい物はどんどん俺の足に絡まってくる。

 もしかしてこれ、脚か!?

 気づいた時には遅かった。絡めとられるように俺の体は引き寄せられて行き、脚と脚が密着するほどに絡まっている。

 だが、ミーシャは何も喋らない。

 なんなんだ一体!!? こんな積極的なやつだったのか!?

 ふうっと吐かれた吐息が首筋に当たり、心拍数がはね上がる。もう眠るどころの話ではなくなってしまった。

 こんな時はどうすればいい? 対処法を知らない俺は、氷のように固まることしかできなかった。

 抜け出そうと試みるが、いくら足を動かしても抜け出せない。やがて手がはい寄り、抱きしめられた形になり、俺は動くことを諦めた。

「……意気地なしね」

 冷めるような一言で、そうつぶやいてミーシャは起き上がった。あっ気に取られた俺を見ようともせず、そのまま外に出て行く。

「…………」

 結局、俺が起きている間、彼女は帰って来なかった。

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