表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/50

火山2

 もうずいぶんと歩いた。それでも体を鍛えただけあって、疲れは全く感じていない。

 火山までは後三十分も歩けば着く。段々と視界の占有率が大きくなってきた。

 ただ、不気味なことに木陰で眠っている動物たちは見受けられなくなってきた。

 カサッ。

 遠くで物影が動いた。

 胸騒ぎがする。一旦足を止め、草の茂みに身を潜めて待つ。。

 そのまま動く気配もなく、気のせいかと思えたが、影がまた動き出した。

 鳥肌が立った。

 夜の闇でも目立つ漆黒の巨体。大人が屈んだくらいのサイズだ。

 あんなのがいるなんて誰も言ってなかったぞ……!!!!!

 今すぐにでも逃げ出したい気分だ。だが、今うかつに動いて気づかれたら取り返しのつかないことになる。

 夜よりも暗い黒色がゆっくりと動く様は奇妙だ。

 唾を飲み、気づかれないことを祈りながら漆黒の動物が通り過ぎるのをひたすら待つ。

 幽霊なんかよりよっぽど悍ましいぞ……。いくら体が鍛えられたとは言え、俺一人でどうこうできる獲物じゃない。

 脂汗が滲み出し、悪寒に打ち震える。麻酔銃の存在が頼りない物に見えた。


 漆黒の動物はかなり遠くまで行ってしまった。目を凝らせば何とか視認できる距離だ。 幸運なことに、風の方向も悪くない。

 再び歩き出す。念のため、音を立てないようにゆっくりと、低姿勢で。

 おそらく、この辺りに動物がいないのはあの化物のせいだろう。さっきからコウモリ一匹見かけない。

 ようやく化物が草の陰に隠れ、視界から消えた。

 だが、化物のいない風景に何となく嫌な予感がした。

 今は気づかないフリをしていても、後から追いかけてくるんじゃないか。そんな恐怖が脳をよぎった。

 体が恐怖に負けて動いた。全力で駆け出す。もう化物は見えはしないのに、何度もその方向を振り返りながら。

「……フゥ……ハァ……ハァ……」

 どれだけ走り続けただろう。

 腐乱臭が臭い始めた。ようやく火山のふもとだ。

 流石にずっと走り続けていて疲れてしまった。膝に手をついて肩で息をする。

 気になって後ろを振り返ってみても、化物は付いて来ていない。考えすぎだったか。

 エリシアの話ではここの近くに洞穴があるらしいのだが、それらしきものは全く見当たらない。

 下手に探していればいくら時間があっても足りない。こんなことならもっと詳しく聞いておくんだった。何か手がかりはないのか? 誰かが看板くらい立ててくれといても良かっただろ。……ん?

 とあることに気付いた。ほんの少しずつだが、腐乱臭が強くなっているのだ。

 こっちか? いや違うな。

 右往左往しながら臭いの元を辿っていくと、洞穴から赤い光が微かに漏れているのが見えた。

 間違いない。臭いの元はここだ。

 中をのぞくと、ごつごつとした岩と岩の隙間から僅かに赤黒い光が漏れていて、大人三人が入っていける空間がずっと続いている。

 ほんの少しだけ温かい。ここがエリシアの言っていた洞穴だという証拠はないが、足を踏み入れることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ