装備準備
二階に行ってみると、そこには一通りの装備品や、雑貨などが販売されていた。何軒かの商店が寄り集まっている感じだ。武器屋も3軒ほどあるし。中堅の職人にスペース貸しでもしているんだろうか。何人か冒険者と思われる客もいる。剣や槍を持っているから間違いなく素人ではないだろうな。
どう言う物がいいのか見当がつかないから、一通り全ての店舗を周ってみた。武器屋はまあ似たりよったりな感じ。防具はセット販売的な店と、革装備中心、金属装備中心の店があった。俺の場合重たい鎧とかってタイプでもないし、MMORPGでプレーする時でも鎧とかよりもローブ系が多い感じだったしな。魔法職好きって言うのもあるんだけど。
「お客さん、さっきから店舗をいろいろ周っているようだけど、初心者かい?」
ショートボブにした小柄な女の子が話しかけてきた。
「えっと、そうですね。はじめてなのでどう言うのが合うのか解らなくて。」
「どう言った戦闘スタイルなんだい?」
「えっとそう言うのも初めてなんですけど。」
「人族だよね、お兄さん。その年になるまで戦闘経験がないのかい?貴族のおぼっちゃまって感じでもないし。」
「えっと、お譲ちゃんはお店の留守番かい?」
「お兄さん、ドワーフ族を見るの初めてかい?多分、私の方がお兄さんより年上だよ。おっと年を聞くんじゃないよ。レディーにその質問はご法度だからね。」
「あっ、はい。失礼しました。ドワーフ族の方ですか。初めてお会いしました。」
「何か面白い人族だねー。それでどう言った理由で冒険者になったのかは聞かないけど、戦闘経験もなく、いきなり装備を揃えに来たってところだね。」
「そうですね。先ほど、冒険者カードを作って貰ったばっかりです。この後最初のクエストである薬草採集に行こうかと。」
「薬草採集?そんなの子供の冒険者でも行けるさね。10歳の子供と同じだね。」
「はあ、済みません。」
「まあ、薬草採集でも森に近づけば魔物と会うこともあるからね、一通り揃えてた方がいいね。予算はどれくらいだい?」
「どれくらいの物を買えばいいのか迷いまして。上は金貨数枚もするんですよね。」
「ああ。あっちのセット防具かい。まああれなら中級レベルになっても着れるけどね。戦い方もまだ決まってないって言ってたね。それじゃあセット防具とかは勿体ないよ、ああ言うのは戦闘スタイルが決まったら考えればいい。今はそうだね、素材や薬草採集だけじゃなく武器として使えるナイフと、ナイフで戦う時に初心者だと傷を受けやすい籠手。後しっかりたブーツ。それと胸のダメージを軽減する胸当て程度で十分さね。これなら後々鎧の下にアンダーとしてもつけられるしね。後、予算があるなら1本だけでも回復薬は買っておくんだよ。本当にいざって言う時に役立つからね。冒険者になったら、金、ポーション、ギルドカード。この3つは常にアイテムボックスに入れておくんだよ。ウエストポーチに入れて安心してて肝心な時に割れたり失くしたりで命を落としたって話もあるからね。」
「いろいろありがとうございます。じゃあ、お勧めの物を全部お願いします。あと、これ受付のシャルさんに貰ったんですけど。」
「何?シャルに貰った?へーあの子がねー。初めてじゃないかね、あの子が職員割引カードなんて使うの。そうかい。あの子が認めたんなら大丈夫だろう。よし、ここで待ってな。私が雑貨も含めて一通り買ってきてやるから。何、私が買えば全部割引になるからね。」
そう言って、雑貨屋さんも含めていろいろ購入してくれてくれた。シャルさんが言っていたバッグも、ショルダータイプとリュックタイプの二つ、後ウエストポーチと万能ナイフみたいな小刀、石鹸とか懐中電灯みたいな物も。一気に大荷物になってしまった。でもウエストポーチに全部しまえて、リュックとバック以外は置いとけばそのまま戦える感じだ。
「えっと服もですか?」
「お兄さんの服は、変わった服だし、動きやすいんだろうけど目立つからね。初心者はあんまり目立たないようにしないと。」
いろいろ気を使って貰ったようだ。奥で着替えて来いと言われたので着替えを済ませてついでに装備もつけてきたらニッコリされた。
「うん、サイズもいいみたいだね。どこか気になるところはあるかい?」
「いえ大丈夫です。それで、金額は。」
「ああ、金貨1枚と銀貨2枚だよ。」
「何かすっごく安くないですか?これだけ揃えて貰って。」
「まあ職員割引して貰ってるからな。大丈夫だよ。まあ恩を感じるならこれから先いろんな素材を換金する時にはギルドを通しておくれ。そしたら私たちも安くで素材を仕入れられるからね。まあ冒険者の中には直接、市中で換金する人もいるんだけどね、物によってはギルドで換金するより高く換金できるからね。」
「えっと、お姉さんは」
「年上だろうけど、お姉さんはないだろう、ミンクだよ、私の名前は。」
「じゃあ、ミンクさんに直接卸すとかはしなくていいんですか?」
「それは、直接卸してくれてもいいけどさ、ただ私は革専門の防具屋だからね。私が扱う素材はC級以上にならないと狩れないと思うよ。まあそん時まで覚えておいてくれるなら直接取引もできるよ、持ってきな。」
「はい、ありがとうございます。早く直接取引が出来るように頑張ります。」
「まあ、F級からだと、15年ぐらいはかかるだろうけどね銀に上がるには。それまで無理をするんじゃないよ。生きてる限り冒険者は続けられるんだからね。その内迷宮探索にも行くんだろうけど、それまでに信用できるポーターなり戦闘奴隷を見つけるんだよ。冒険者同士の場合、迷宮内で悪さをするやつもいるからね。迷宮内では犯罪判定でないからね。」
「そうなんですか。まあまずは薬草採集から頑張ります。それではありがとうございました。」
何かいい人にばっかりで会ってるなぁー。でも迷宮内は犯罪判定でないってどういうことだろう?殺人とか起こしてもOKって感じか?まあ今はそれを考えても仕方ないか。
一階に下りて窓口をみたけどシャルさんはいなかった。別の人に代わってるから、お昼休みなんだろうか。そう言えば、少しお腹すいた。宿に行って、お昼を食べて、それから薬草採集だな。