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アイテムボックスで成り上がり  作者: けんもも
第二章 動乱編
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第69話 奴隷教育

第69話 奴隷教育




「それでは、今回は30人をお連れしました。ご確認ください。奴隷契約につきましては、いつものように解除しましたので、そちらの方で再契約して下さい。ではこちらの書類にサインをお願いします」


 ヒノモト国には定期的に奴隷商が奴隷を連れてくる。

 しかしヒノモト国には、他の国にある都市のように、奴隷商館はない。

 ヒノモト国に連れてこられた奴隷は全員、ヒノモト国の王宮にあたる執務館の裏門から中に通されてそこで全員が馬車から降ろされるのだ。


 各国の奴隷商にしてみれば、ヒノモト国はもっとも利幅の多い顧客だ。

 何といっても、通常なら奴隷教育を施さないと使い物にならないような子供の奴隷、男の子なら種族によっては育てて戦闘奴隷として売れるけど、女の子は器量がいい子は別として、育てても大した売り上げにはならない。

 場合によっては数年タダ飯を食べさせた後、病気になったりしてそのまま処分することも多いのだ。

 それに、奴隷商は常に店舗に在庫(奴隷)を抱えていなければ商売にならない。

 そう言った諸々の維持経費は結構馬鹿にならないのだ。

 しかしヒノモト国の場合、この都市に店舗を構え、在庫を抱えていなくても問題はない。

 と言うか店舗に関しては、賃貸の許可が下りないのだが、ともかく仕入れて来た奴隷を全てお買い上げ頂くヒノモト国は奴隷商の間では、最上客なのだ。


 ヒノモト国に奴隷を連れてこれる奴隷商の条件はただ一つ。

 全ての種族の奴隷を平等に適切に扱うことだ。


 一度、強欲なことで有名な奴隷商が、自分の所の不良奴隷(病気や怪我などで回復が見込めず、処分寸前の奴隷で、ほとんど食べ物も与えていなかった)を大量に売りつけようとしてヒノモト国に連れて来たけど、それ以降ヒノモト国への立ち入りは制限された。

 その後、店舗から出火したり、奴隷を移送中に盗賊に襲われ奴隷の仕入れも移送もできなくなり、信用も失って、店を畳んでしまった。


 ともかく、各地の奴隷商は普通ではあまり売れないような奴隷を大量に定期的に購入してくれるヒノモト国で商売できるのは、一種のステイタスになっていて、経営的に安定すれば、商売にも余裕ができ、各地の店舗で抱えている奴隷たちの待遇がよくなっていった。


「ええ、確かに30名の子供達を受け取りました。また集まったら連れて来て下さいねぇ」


 地球で言えば、幼稚園の先生みたいなホンワカ巨乳美人にそう言われれば、悪い気はしない。

 奴隷商は、次もこの美しい笑顔を見るために、空になった大きな荷馬車をきながら執務館の門を出て行くのであった。



「さて、皆さん。ここがどこだかわかる子~」


 連れてこられた30人の子供達を目の前にして、リン《先生》が声をかける。

 当然、返事をする子はいない。

 ひどい扱いを受けていなかったとはいえ、親に売られたり、集落に売られたりして奴隷になった子供たちだ。

 奴隷商館で過ごしている間に、先輩奴隷である商館にいる大人の奴隷たちに、一通りの教育を受けているのだ。

 それに、着の身着のままどことか、下着もない貫頭着一枚。

 正に自分の物は、自分の身体だけという状況で奴隷商に売られて、子供としてと言うより、人としての尊厳を否定されてきたのだ。

 対応を間違えれば、自分の命などないに等しい。

 隣に立っている子の顔を伺う子、何もせずじっと立っている子、リンの顔をじっと見ている子、反応は様々だ。


 リンの隣にはいつの間にか、サクラとフランが立っていた。

 サクラは軍事担当として、この中で戦う力がありそうな子を選んでいく。

 勿論、スキル鑑定してスキル持ちは無条件、スキルがなくても性格的に戦いに向いている者は選抜して行く。

 フランは研究職につけそうな子がいた場合に出てくる。

 今も、先に鑑定を済ませていたリンが念話で呼び出したのだ。

 基本、こう言った雑事(?)は部下に任せて自分は研究室に籠りがちなフランだけど、研究職に向いているようなスキルホルダーが現れた場合には、そのまま研究生と言う名の自分の研究の助手として連れていくのだ。

 今回、自分のスキルと同じ、学者スキルを持っている子がいると聞いてやってきた。

 30人の子供達を、先程の質問のような性格判断の振るいにかけ、鑑定の結果等を踏まえてそれぞれの部署に振り分けていく。

 いつもだと、ほとんどの子がリンが学校に連れて行って、将来のヒノモトの内政に役立つように教育を受けさせるのだけど、ケンタの方針が決まった後、少なくとも迷宮の防衛と各地の諜報活動、そして場合によっては他国との戦闘の最前線に立てるように、集中してレベルアップ、スキル習得、スキルアップを行うようになった。


 もっとも、連れてこられた子供達全員に渡している、ヒノモト国の制服のようなものは、普段着に見えてかなりの防御力を誇る一品だ。

 勿論、ケンタのお手製(アイテムボックス製)であるので、他では手に入らない。

 これに、これまたケンタお手製の、ヒノモト国の標準装備となる一見すると軽装備に見える防具一式を装着するると、並みの相手ではHPを削ることはできなくなる。

 そういう環境なので、レベリングもかなり無茶な方法だ。

 基本、サクラに一任されているんだけど、5人で1小隊。

 5小隊で1中隊とし、小隊の中に新人を1人か2人振り分けて、生活も含めて小隊単位で行動させる方式で、少人数の指導者で効率よく多くの子供達のレベリングを行うようにしている。

時々、見込みのありそうな小隊長や、中隊長を引き連れて、サクラがパーティーを組んで下層の魔物相手に、訓練と言う名のサクラ自らのレベリングを行っているのはケンタには秘密だ。

 連れて行ってもらった者も、かなり怖い思いをするけれども、一気に自分のレベルが上がるので、サクラに選抜されることを心待ちにしている子供もいるようだ。


 ともかく、ヒノモト国に連れてこられた子供達は、自分達が再度奴隷契約を受けることなく、奴隷になる前より豊かな生活を与えられ、教育も与えられ、ついでに隠してはいたけど実は体の不調や病気持ちだったのに、最初にのまされるジュースみたいな赤と青の飲み物を飲んだとたん、自分の中から力が漲ってくるのを感じ、目の前に出される見たこともない様な食事をお腹いっぱいに食べさせてもらって、自分達の先輩に当たる、かつて自分達と同じように、奴隷商人にこの国に連れてこられた子供たちと接し話を聞いて、自分達がいかに幸せな、一生分幸せを全て与えてもらったような今の状況に感謝して、結果、奴隷契約など結ばなくても、ヒノモト国と言うより、皆が主様と呼んでいる自分達と一緒に食事をしている方に、絶対の忠誠を捧げようと思うのだった。








 私の名前は、ルルシア。

 狐族の12歳。

 今日、気がついたら、ヒノモト国という所に連れてこられていた。


 私が物を考えるのを止めてどれくらいだったかな。

 確か、9歳の頃は、お酒を飲むと少し怖いけど、普段は優しい冒険者をしていたお父さんと、街の料理屋さんで働いていた優しいお母さんと一緒に暮らしていた。

 贅沢はできないけど、普通の暮らし。

 私は少しだけ料理ができたから、将来は料理人になろうと思って、お母さんの働いている料理屋さんのお手伝いをしていた。

 そんな生活が終わったのは、ある日お父さんが冒険者の依頼に失敗して多額の借金を残したまま死んでからだ。

 お母さんはショックで寝込んでしまって、あっという間にお父さんの後を追うように死んでしまった。

 私は残りの借金のかたとして、借金奴隷になった。

 私に自活できる能力があれば、自分の借金を返済して自由人に戻れるけど、当時9歳の私にはそんな力はなかった。

 結局、奴隷商館の中でタダ飯食いとして肩身が狭い思いをしながら暮らしていたけど、その内自分と同じように売れ残っていた子達が、ある日奴隷商館の番頭さんに着の身着のまま連れだされて戻ってこなくなり、その内それが処分されたのだと知るようになって、奴隷商館では目立たないように、空気のように暮らす様になった。

 自分の存在が気がつかれたらそこでおしまい。

 何とか成人するまでこのまま生き延びよう、そうしたら自分でも生活できる。

 最初はそんな淡い希望だったと思うけど、その内そういう希望や感情すら消して生きるようになっていた。


 そんな私の前に、見たこともない様な綺麗な服と、見たこともない様な美味しそうな料理が並んでいる。

 私を連れて来たお姉さんの説明だと、この服は私の個人のもので、目の前の料理は好きなだけ食べていいそうだ。

 そんな夢みたいな話はない。

 きっとこれは私の夢の中か、現実だとしたら何かの罠だ。


 事実、私の両隣の子達も、誰も手を出さない。

 手を出して罠だったら、そこで殺されてしまうんだろう、殺されはしないでも酷い罰を受けさせられるのかもしれない。

 あれ?そう言えば、隣の子の首のまわりの奴隷紋が消えている。

 私も、奴隷契約を解除された記憶があるけど、その後奴隷契約されてない?

 あれ?

 あれれ?


 私を含めて皆同じような思考に陥っていたのかもしれない。

 気がついたら、目の前に、私と同じような子供が立っていた。


「びっくりだよね。でももう心配はいらないんだよ。私の名前はククル。兎族の12歳。近衛第一大隊第二中隊の第五小隊に配属になったんだ。あっ、あなたも同じ第五小隊配属。私も一ヶ月前、今のあなたと同じように奴隷商人に連れられてここに来たんだ。ここはヒノモト国。ほらあそこにいらっしゃる主様の国だよ。そして大事なことだから、ちゃんと聞いてね。私たちはもう奴隷じゃない。奴隷商人から主様が私達を買い取って下さって、私達をヒノモト国の国民・・にしてくれたんだよ。だから、この服はあなたの物だし、この料理も全部好きなだけ食べていいんだよ。でもその前に、主様が下さったこのポーションを飲んで。これは金貨数枚分の価値のある高級なポーションなんだって。主様が私たちの身体が丈夫になるように下さったんだよ。さあ飲んで、そして一緒に食べながらこれからのこと話し合いましょう。お部屋も私と一緒だよ。後で小隊の人たちも紹介するね。」


 兎族の、私と同じ?

 でも同じ12歳だけど随分としっかりしている。

 お父さんも剣を使っていたけど、この子も帯剣しているから剣を使うのだろうけど、お父さんより強いと感じる何かがある。


 私は、自分の名前を言うのが精いっぱいだった。

 その後、見た目だけでなく、本当にびっくりするぐらい美味しい料理をお腹いっぱい食べて、お風呂という熱いお湯で身体を洗う場所にも連れて行って貰って、それからすごっく綺麗なお部屋(クルルと同室だけど同室でよかった。こんな部屋に一人とか場違い過ぎて寛げなかったよ)でクルルのお話をたくさん聞いた。


 今こうして、隣のベッドで寝ているクルルの寝顔を見ていても、これが現実なのかまだ解らない。

 でも、これが現実で、この現実を与えて下さった主様。

 (心の中で神様とお呼びすることにしよう)

 私の全てを捧げても、このご恩に報いたいと切に思う。



相変わらずの、稚拙な文章ですが、誤字脱字誤変換などなど

笑ってお許しいただけたらと思います。

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