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アイテムボックスで成り上がり  作者: けんもも
第二章 動乱編
67/70

第67話 王国連合会議

取敢えず、遅々として話が進まないこちらも書いてみました。

整合性が少し心配ですが、生温かい目で読んで頂けたら幸いです。

第67話 王国連合会議



「全く、話になりませんな」


「おっしゃる通り、話になりません。議論する値打ちすらありません」


「そうですかな?かのヒノモト国が軍事的中立を宣言するのなら、何も問題ないのではないですかな?無理に王国連合に加入させずともよいということではないですか。これでアミラス国より提案のあったヒノモト国に対する懸案は解決したと言うことではないですかな?」


「何を悠長なことを。では、そなたの国は、竜が自国の裏庭に巣くっているのに、何もせず放置しておくというのですか?」


「その通りじゃ。ヒノモトのS級冒険者としての強大無比なあの武力があってこそ、ガルク帝国や、教皇国とも対等に渡り合えるようになったのじゃ。かの国がマルクス国の中に留まっており、マルクス国と親密な関係にあると言うことで、議長国にも推薦したのじゃ。それが、中立じゃと。ならばかの国の武力は当てに出来ぬということじゃ。かの国の抑えとしてマルクス国が必要じゃと思っておったのに、何とも期待外れのことじゃ」


「それに関しては、マルクス王国として正式に謝罪いたす。今日は国王陛下の代理として私が出席させて頂きましたが、ここで陛下より、皆様方に伝言がございます。兼ねてより、王国連合の議長国に任じられておりましたが、本日をもって議長国の任を退かせて頂きたいとの伝言です。このたびのヒノモト国に対する対応の不手際の責任を取っての辞任でございますので、是非、皆様におかれましてもご配慮いただけたらと思います」


 マルクス国の宰相のこの一言で、それまで侃々諤々の様相を呈していた会議は、水を打ったように静まり返った。

 今、この状態で口を開けば、この困難な状況で次の議長国に任命されてしまう。

 王国連合の議長国の地位は、それなりに魅力的な地位ではあるけど、誰もが今はやりたくないと考えていた。

 火の中に落ちた栗を、わざわざ拾いにいく者はいない。


 その静寂を破って声をあげた者がいた。


「僕は、ヒノモト国を治めている、雨宮先生と一緒にこの世界に召喚勇者として召喚されてきた異世界人の一人、御手洗賢一郎といいます。雨宮先生は召喚された異世界人としての能力を発揮して偉業を成し遂げましたが、同じ時にアミラス王国によって召喚された僕を含めて召喚勇者達は、現在アミラス王国を中心に各地に散って、各々の能力を開花させるために努力しています。時間は掛かるでしょうが、必ずそうなると思っています」


「私はアミラス王国の第一王女のキャスラ・フォン・アミラスと申します。今日は、アミラス王国を代表して、この王国連合会議に出席いたしました。今発言した、ケンイチロウ様は、現在我がアミラス王国で男爵位に叙されておるB級冒険者でございます。この者以外にも、我がアミラス王国にはガイア大陸に住まう者以上に大きな能力を秘めたスキルホルダーが多数おります。この者たちの成長のスピードは真に驚嘆すべきものです。いつの日にか、龍山脈を越えかの魔族大陸に住まう魔王すら討伐することでしょう。我がアミラス王国としてはそのことを心から信じております」


「そ、それでは、今回のヒノモト国に対する対応に対して責任を取りたいと言うマルクス王の辞意の意思は堅そうですし、私としては、アミラス国に再び議長国としてその任を果たして頂きたいと考えますが、皆さんいかがですかな?」


 アミラス国の南隣りにある、アルケミア王国の国王がその切り出す。

 アルケミア国としては、ヒノモト国と国境を接していないし、元々アミラス国の属国的地位に甘んじている王国だ。

 鉱山が豊富であるために、国は比較的富んで入るけど、耕作地が少ないために、必然、食料の供給先としてアミラス国の意向は無視できない立場なのだ。


「そうですな。長く議長国の任にあったアミラス王国であれば、この難局も無事かいけつできるじゃろう」


「確かに。それに、召喚勇者の皆さまが多く在籍されているのですからな。軍事的な国力という面では、やはりアミラス王国が第一じゃな」


「それでは、アミラス王国に議長国をお任せすることに賛同する方々は?」


 そう言うと、ほぼ全員が賛同の意をとなえる。

 中には不承不承と言った感じの賛同者もいるけど、大勢は決した。


「皆さまのご意向を受け、アミラス王国として正式に王国連合議長の任、お引き受けいたします。つきましては、今回のヒノモト国に対する対応について、私どもに一任して頂きたいと存じます」


 結局この申し出も、反対者なく了承される。


 結局この会議が、王国連合崩壊の第一歩だったとわかったのは、ずっと先の話だ。

 この時には、ほとんどの者が長く続いた王国連合、ダルク帝国、正教会教皇国の三つ巴、いや三竦さんすくみの見かけ上の平和に慣れてしまって、自分達の時代に大陸中を巻き込む大動乱を経験するとは思っていなかったのだ。



 王国連合会議から数日後、マルクス王国の国王執務室に、いつもの3人が集まっていた。

 今回の議題は、ヒノモト国との間に秘密裏に締結した軍事同盟についてだ。

 現在、この条約を締結したことは王国内でも秘密にされている。

 マルクス王国とは言え、全ての臣下が国王の意見に従う訳ではないのだ。

 特に、ドラゴンスレイヤーであるS級冒険者を輩出したことを大陸中に発表した後、臣下に加わった周辺の小国出身の者たちは、結局、強き者に巻かれるということでマルクス王国に臣従したに過ぎないので、場合によっては再びマルクス王国から離反する可能性もあるのだ。

 マルクス王が野心的な国王であったなら、一度臣下に加わった者が離反することを許さないだろうし、国王の権限をフルに使って、社会的に抹殺することも選択できるだろう。

 しかし、元々温和な性格で、領土的な野心もさほどない現国王は、離れたいと言う者は離れさせればよいと考えていた。


 しかし、国事を任されている宰相としては、一度臣下として王宮の中枢部に引き入れ、一部とはいえマルクス王国の内部事情を知る立場に置いた者たちを、おいそれと離反させることはできない。

 そんなことを認めてしまえば、この先マルクス王国は立ち行かなくなる。


 それは軍部の一部を任されている近衛将軍も同じだ。

 近衛部には元からの騎士しか配属されていないが、王国の主だった騎士団には、新しく臣従してきた国から騎士を呼び集めて、再編成しているのだ。

 マルクス王国の国防の一部とはいえ、その情報が渡っている可能性もある。


「陛下。アマミヤ殿は、国対国ではなく、ヒノモト国と国の統治者個人との間の契約だとおっしゃっているのです。個人的な契約であれば、わざわざ広くこのことを発表する必要はないのではないですかな。我らにとって、アマミヤ殿、ヒノモト国は龍山脈の竜と同じです。そこにいることは解っているが、わざわざこちらから手を出さなければこちらに害を及ぼすことのない存在。マルクス王国はアマミヤ殿から信用を得ているのです。それでよいではありませぬか。周囲の国々が、未だにマルクス王国の内にアマミヤ殿が留まっていると誤認し、そのことでマルクス王国に臣従しているのならそれは、臣従を決めた者の責任。そのことに対して陛下が気に病むことはありませんぞ」


「そうは言うがな、じい。やはり余は皆を騙しているようで心が痛いのだ。すでにマルクス王国と、アマミヤ殿・ヒノモト国とは対等な関係となった。アマミヤ殿はマルクス王国から離れておるのじゃ。それなのにアマミヤ殿の名声を借りてマルクス王国の利を求めるのは義に反すると思うのじゃ」


「確かに陛下のおっしゃるのも道理ですが、実際アマミヤ殿と同盟を結んでいるのは我がマルクス王国のみ。アミラス王国主導となった王国連合の各国にこのことが知れれば、連合国内で我が国が矢面に立たされるでしょう。そうなれば、アマミヤ殿の武力を見て臣従してきた元小国群の各侯爵たちは、一気に離反する可能性があります。離反するだけならまだしも、場合によっては王国連合の共通の敵として侵略を受ける可能性もあります。特にアミラス王国にしてみれば、我が国が保有する5つの迷宮の所有権の内、2つについては忸怩じくじたる思いがあるでしょうから」


「そこまでか」


「そうですぞ、陛下。それほど大きな事になるかも知れぬのです。事は慎重に対処せねばならぬのです」


「余は、多くを望まぬのじゃがな。王都周囲の3つの迷宮。これだけでも先祖代々続いてきたマルクス王国にとって大変な躍進じゃて。国民を不幸な目に会わせるのなら、余分なものは手放してしまいたいのじゃがな」


「陛下。先祖代々の話をされるなら、始祖の代、マルクス王国は現在臣従している小国群の領土のみならず、正教会教皇国がその領土としてるかの地を含めて、現在の王国連合に属している王国のうち三分の一を領有する大国であったのですぞ。それから、独立して行く周辺貴族の独立を認め、国教であった正教会の独立を認め、結果迷宮所有権と、その周囲の領土のみを保有する小国となったのですぞ。そう言う歴史があるからこそ、小国群の君主達は、こぞってマルクス王国に臣従してきたのですし、連合王国内においても小国とはいえ、我がマルクス王国を立ててくれる王国があるのですぞ。そう考えると、今の国土は決して増えすぎた領土ではなく、ほんの少し昔に戻ったにすぎないのですぞ」


「とは言え、始祖の時代からマルクス王国の国是は、争いより融和じゃ。争いでは多くの者が不幸になる。多くの者の不幸のお陰で、ほんの一握りの者が得をする。それが争いじゃ。余は争いの種となる物は手放すことが、後の不幸を防ぐことになると思うておるのじゃ」


「陛下のように賢王であれば、国力がそんなになくとも国は成り立ち、国民は健やかに暮らしていけるでしょう。しかし将来にわたって陛下のような賢王が続くことはないのですぞ。マルクス王国の安泰の為には、今の陛下には余分に見えるような富と力でも、保持しておく必要がありますぞ」





セブンスフォースの方で、たくさんの励ましのコメント

ありがとうございます。

こちらで書くことではないのかもしれませんが、一言お礼を。


こちらの話と、セブンスフォース、いずれかの話を集中して

書き終えた方がいいでしょうか。


双方ともにプロットとしてはできてはいますが、書くスピードが

遅すぎで完結までどれくらいかかるのか不明です。


読んでい頂いている方がいらっしゃったら申し訳なく思っています。

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