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アイテムボックスで成り上がり  作者: けんもも
第一章 建国編
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魔物の森の迷宮のダンジョンマスター

裏通りに入って、魔物の森に飛んだ。

ここから最後の迷宮まで走って行った。

途中魔物の反応はあったけど無視。

で、迷宮前に来て驚いた。

迷宮前がかなりの範囲開墾され、仮設とは言え木造の小屋もあった。

迷宮入口には兵士が立っている。


「身分証を」


俺がA級冒険者カードを出すと、態度が変わった。

A級って凄いんだな。


「随分、周囲の開発が進んでいますね。探索も下まで進んでいるんですか?」


「現在、地下4階までですが、早い段階で地下5階の探索が完了すると思います。召喚勇者のパーティーが8組入っておりますし。」


「召喚勇者ですか?」


「はい、すでにC級を越えB級相当のLVに上がっております。」


「それで、俺もこの迷宮に入っていいですか?」


「勿論です。A級冒険者の方を案内で来て光栄です。あのお一人ですか?A級の方には上層の魔物の素材など回収不要でしょうが。」


「そうですね、今日は一人です。」


入り口の兵士に見送られて中に入った。

転移の水晶は他の場所とは違って、迷宮に続く通路と逆の通路にあった。

行き止まりだけど、違和感を感じる。

取り敢えず、登録して、サクサクと進む。




この迷宮、新しいな。

サクラの迷宮と同じ感じだ。

ただ地下1階だと言うのに妙に迷路化している。

魔物の密度が高い。

それでも周囲2キロほどしかないからほぼ全域の感知できるけど。

現時点でこの階層に探索者はいないようだ。


最短距離で地下2階へ。

地下2階は通常、地下1階で出現した魔物の複数個体が出てくるんだけど、それにしても多すぎるな。

いずれにせよこの階も探索は終了しているようだ。

探索者は誰もいない。


地下3階。

あちこちで探索者と魔物が交戦している。

1チーム6人で動いているようだ。

戦っているのはその内3名で、残り2名は後方で待機。

後1名は3名の指揮ってところか。

ゴブリンやホーンラビットの集団なら慣れてれば問題ないしな。

迷宮を作る側としてもゴブリンとか、ホーンラビッドは楽なんだよね、繁殖率高いし繁殖部屋を隔離した上でどんどん増やして投入できる。

魔素の消費が少ないのがいいんだよね、LV低いけど。

まあそんな迷宮制作者的立場で見てみると、この迷宮悪くはないけど、出来たばっかりの迷宮にしては拙いかな。

これだと、中層、特に下層の備えと言うか改造を行う魔素の余裕がないと思うけどな。


まあいいや、それはスルーして最短コースで地下4階に降りる。

現在俺は、光学迷彩と隠密、魔力操作での隠蔽のトリプルで存在を消してるので魔物に遭遇することはない。

一番時間がかかるのは、空間感知で見えた地図を描いて、魔物の情報を記載するための時間だ。

それでも入り口から入って1時間もせずに地下4階のマップを完成させたのは、我ながらよくやったと自分で自分を褒めてやりたい。

現在、この階層を探索しているのは2チームだ。

共に6人編成。

地下3階には3チームだったけど、単純計算で元2-Dの生徒が15人この迷宮に来ているってことか。

昨日の迷宮Bには、俺があったのは3人。

あっ、離れているところいたから4人か。

となると最低19名は迷宮探索に狩りだされ、ついでにレベリングしている感じか。

残り11名はどうしたんだろう?

まあ芸術系の特待生が戦闘向きのスキルを貰ったって考えにくいしな。

生産系の職にでも就いたかな。

スポーツ特待生の後の1名は、こっちのどっかのパーティーか、昨日の迷宮にいたのかもしれないな。

まあ今更、俺が心配することでもないが。


まあともかくこの巨大迷路はこの階層では明らかに異常。

この迷宮のダンジョンマスターは、生きてるな。

しかもサクラと同じ転移者だろうな。

なるほど、アースゴーレムを使った通路のギミックか。

でもこれ魔力感知スキルもってるやつがいたら一発で破られるだろうけど、クレイゴーレムでLV6とか、紙防御だろう。

まあ戦わせるとことより進路を妨害、誘導することが目的何だろうけど。

いくら雑魚モンスターとは言え、グルグル周っているうちに何度も集団戦してたら、エネルギー切れになるだろうしな。

全体図が見えてれば迷路でも何でもないし、サクッと通過させて貰おう。


地下5階。

あーこのダンジョン詰んだな。

ここに守護者持ってきてるし。

浅い階層だと守護者の魔石の魔力の純度が下がるから強い守護者は置けないんだよね。

つまりこの守護者最大でもLV15。

ゴブリンメインってことは完全に魔力不足だな。

さてどうするか。

考えようによっては、ミューリのレベリングに丁度いいか。


「シャル、ミュール、ミューリ聞こえるか?」


「うん、聞こえるよ、ケンタ。」

「「はい、旦那様。」」


「今、魔物の森の3番目の迷宮に来てるんだけど、ここってかなり改造されてる迷宮なんだよ。多分サクラと同じように管理者が生きてると思う。規模も周囲2キロのままだし。」


「そうなんだ、それで最後まで攻略するの?」


「まあそのつもり。ただ改造のピントがずれてるんだけど、ミューリのレベル上げには丁度いい構造なんだよね。」


「行きたいです、旦那様。」


「私も、ミュールも問題ないわよ。今、機織りしてる所。」


「じゃあ、ここにマーキングして戻るから、準備して待っててくれ。」


「サクラ聞こえるか?」


「何?師匠、いまちょっと忙しんだけど・・・・とりゃー。ふん、つまらん物を斬ってしまったぜ。」


「まあ忙しいんだったらいいんだけどな。3つ目の迷宮が、サクラと同じようにまだ生きてるみたいだから、攻略しようかと思ってるんだけど、サクラどうするかと思ってな。」


「あー、私はパス。って言うか、ダンジョンコア同志って、本来会うのはタブーなんだよ。本能的に相手を倒しても相手のダンジョンコアを欲しくなっちゃうし。」


「そうなのか?サクラそんなそぶりないじゃん。俺に対して。」


「師匠とは格が違うと言うか、敵わないし、奪われるのは私の方だから師匠のコアに手を出そうとか思わないけど、同格相手ならどうなるか分からないし。」


「そうか、そう言うのもあるんだな。」


「自分でもよくわからないけど、魂に刻まれた知識と本能みたいなやつよ。」


「了解、じゃあ取り敢えず、俺が会ってみるよ。その上でどうするか決めればいいか。」


「うん、わかった。それで今日の夕飯は?」


「そっちの心配か。ちゃんと準備しとくし、夜には一旦戻るからな。」


「わかったー。じゃあ、師匠頑張ってね。」


あっ、3人を待たせてるんだった。

マーキングをして家に飛んだら、すでにしっかり準備のできた3人が待っていた。

一応、サクラの食事の準備をしておくように言ったら、やってるそうだ。

流石よくできた子だ。

ミューリって凄い。


地下5階では、ミューリの無双が続いている。

LV11になったミューリにはゴブリンとかボアーなら相手にならない。

10体以上の相手でもサクサク屠っていく。

死体は回収して行く。

多分、迷宮の魔力不足に悩んでいるダンジョンマスターには悪いけど、攻略を進めるためだ。


で、15分後には、地下5階だと言うのに守護者がいた。

予想通りLV15。

剛力と身体強化は持ってるけど、オーガ程度じゃね。

フィールドで言えば、オーガの変異種って感じで、レイド討伐対象だろうけど、剣豪スキルを持って、一級品の装備を身につけているミューリにとってはいい練習台だ。


「じゃあ、ミューリ頑張って。いざとなったら俺達が加勢するし、あの程度ならダメージを受けてもポーションで余裕で回復できるからね。」


「はい、旦那様、ミューリ、行きまーす。」


掛け声とともに、体長3mを超す魔物に向かって、跳躍して行く。

自分に向かって振りおろされた腕をつたってミューリが走る。

シュタっとジャンプし、オーガの頭上高く跳び上がったミューリの必殺の構え。

ミュール直伝の10連撃を打ちこむ。

オーガは手で顔を庇う間もなく絶命。

俺は、そのままオーガを回収。

さて、この後、どうなってるんだろうねー。

地下6階以降は、改造をしようと試みたものの魔力不足で改造が中途半端になったって感じだ。

ミューリを先頭にサクサク進む。

本当にサクサクだ。


「まああれだな、上層の階層に魔力を消費してこっちまで手が回らなかったって感じだな。これからやるつもりだったのかもしれないけど。取り敢えず、地下15階まで来たし一旦戻ろうか。」


この日一気に攻略してれば、翌日の手間がいろいろ省けたんだろうけど、この日はまさか一気に中層突破するとは思わなかったしね。


家に戻ると、サクラはすでに食事を終えてたようだ。

俺達が食事を始めると食べたそうにしてたので一緒に食べさせてやった。

小柄なくせにどこにそれだけ入るんだろう。

ダンジョンコアに貯め込んでたりしてね。



「さあ、今日は一気に下層まで攻略してしまおうか。ミューリも随分LV上がったから、下層の魔物相手でも問題ないだろうし。」


「はい、旦那様、LV18になりました。身体がとっても軽いです。」


まあ跳躍の能力獲得してるしね。

兎族だから素質はあったんだろうけど、こう言った面では姉のミュールよりも天性の才能があるのかもしれないな。


準備を整えて、地下15階に飛んで驚いた。

魔物の密度が高い。

念のため14階に戻って感知するとこっちも魔物の密度が高くなってる。

一晩で配置を変えたようだな。

しかも魔力が完全に不足してるんだろう、この階で出てこない筈のゴブリンとか、オークとか繁殖力が強いけど、LVの低い魔物だ。


「ケンタ、何か凄くない?」


「旦那様、昨日はほとんど魔物の気配がなかった筈ですが、今日は濃密です。」


「まあ、一晩で対策してきたんだろうなぁ。さてどうするかな。」


「旦那様、問題ありません。今日は気力、体力十分に充実しています。私にやらせて下さい。」


「うん、まあそうだな。恐らくダンジョンの管理人は、俺達がこの階に直接転移出来ると知らないんだろうな。まあこの階のタイタンは倒しておきたいしな。じゃあ、頑張って進むか。その前に、雑魚は面倒だし眠らせちゃうか。止めをミューリが刺して行って。」


方針が決まって、虐殺大行進が始まる。

とは言っても俺が黒い霧で眠らせて、ミューリがザクザク刺して行って、打ち漏らしをシャルとミュールがザクザク刺して行って、俺がドンドコ収納して行ってるだけだけど。

本当は10分で到達する予定が、予定外の魔物の処理で30分程かかったのは、まあ足止めとしては成功したのか?


「よしっと、じゃあタイタン戦ね。俺が固めるから、ミューリが単独で攻撃ね。」


ってことで、氷漬けの後、あっさり撃破、手に入った水晶の指輪をゲットしてミューリの右手の薬指に装着っと。

全員でこの階の水晶に登録。



そこから下層はダメダメだった。

恐らく魔力確保のためだろうけど、下層にいた筈の魔物を犠牲にしたようだ。

ダンジョンマスターには可哀想だけど、ミューリの経験値として消えて貰った。

死体もしっかり回収してるしね。

途中、昼食を挟んで夕方前には25階に到着。

魔物の配置はなし。

迷路になった通路を進んであっさり御対面となった。




「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」


俺達が到着した部屋の中で待っていたのは、ザ土下座状態のお姉さんだった。

鑑定するとサクライ・リン、22歳とある。

俺とタメだ。スキルが何と言うか微妙だなー。

生産系のスキルが多い。


「えっと、まず顔を上げて下さい。」


「はい、私、殺されちゃうんですよね。せめて痛くないようにお願いします。」


「別に、殺しませんけど。」


「だって、あなた達は、この世界の破壊者なんですよね、私を殺してダンジョンコアを狙ってる。」


「誰がそんなこと言ってたんですか?」


優しく聞いたつもりだったけど、リンは自分が俺に破壊者とか言ったことに気付いてを謝って来た。

サクラから言われたのと比べれば可愛いものだ。


「えっと、別に怒ってもないので、取り敢えず顔を上げて貰って、話を聞かせて頂けませんか?」



顔を上げると、美人さんだ。

美人と言ううより可愛い?ほんわかお姉さんって感じだな。


体感的には、1年ぐらい前にダンジョンを作る使命に目覚めたらしい。

食事は必要なく周囲の魔力を吸収しているとのことだ。

サクラめ、そんな話はしてなかったぞ。

それでも俺達がお菓子とお茶を出したら喜んでくれた。

味はわかるし、おしいしいものを食べると嬉しいらしい。

大体の話はサクラの時と同じだ。

この世界の安定のために、ダンジョンを成長させ維持することが第一の目標となっているらしい。

彼女、リンも最初は上手くやってやってたらしい。

彼女のスキルで作った武器や防具を持たせて探索に来たやつらを始末して、順調にダンジョンは成長して行ったらしいけど、最近一気に強い探索者が増え、対応に追われてたみたいだ。

本来は、上層階からダンジョンの改造をのんびり行っていたらしいけど、最近は還流してくる魔力が不足して、何とかやりくりしてたみたいだ。


「まあ気持ちはわかるけど、そのダンジョンの存在意義のためには、ある程度ダンジョンに人が入りやすくしないとダメだろう。撃退するのが目的じゃないんだし。」


「その辺りは、私も工夫してたんですぅ。でもでも、強い人たちがたくさん入ってきて、最近はグループで行動するし、魔物がやられるスピードが上がって、装備を持たせる間もなく配置しなくてはいけなくなるしぃ。あっという間に、15階の守護者は倒されちゃうし。私には、才能がないんですぅ。」


「そんなことはないと思うよ。やり方によっては十分に魅力的な迷宮になるし。まあ俺達も手伝ってやるから、ちょっと頑張ろうな。」


「本当ですかぁ。ありがとうございますぅ。」


そう言いながら、リンが俺の腕に抱きついてきた。

これは不可抗力な。

これまで俺の周りで一番の胸の大きさをほこっていたシャルより巨乳だし、俺も嫌じゃないけど。

まあ俺が好きなのはシャルの胸だし、丁度いい大きさだしなってこと考えてる場合じゃないか。


「まあそう言う訳で、取り敢えず、今入ってきてるやつらをどうにかしないといけない訳だけど。この魔石で態勢を作りなおそうか。今は下層は置いといて、中層まで15層の守護者までを強化しよう。5層の配置はそのまま生かしてこの迷宮は、5層ごとにボスがいるシステムにするか。えっと鉱石があれば、もっといい武器や装備はつくれるんでしょう?」


「ええまあ、でもここってあんまり鉱石取れないですよ。」


「それも俺が出すんで、リンさんは、どんどん作って下さい。あと魔石は取り敢えずこれだけ出すんですぐに吸収して下さい。あっ、15層の守護者の魔石はそのまま使って配置して下さいね。後5階にいたやつと、10階はグレゴリーウルフ辺りでいいか。」


俺がどんどん指示して、リンさんにどんどん改造して貰った。

その間、簡易コンロと食材を出してたんで、ミューリとミュールが食事の準備をやてくれた。

シャルは俺の側に張り付いてる。

耳がピクピクしてるけど何を警戒してるんだ?


「ふー、取り敢えずこれでいいか。上層に入っていたやつらも、魔物の数が急に増えて警戒しているようだな。地下1階だけの探索と言うか訓練に切り替えたようだ。」


「ありがとうございます。命の、ダンジョンの恩人さんですぅ。」


「当面、地下4階を抜けられることはないだろうな。折角だから、そのまま巨大化してしまうか?」


「それよりも下層の備えを整えた方がよくない?リンさん、ほとんど戦力にならなそうだし、強力な魔物を配置しとかないと。」


「取り敢えずLV50はあるんだし、装備を整えたらなんとかなるんじゃないか?」


「まあ、鍛えたらいけそうだけど、性格的にあんまりバトルに向いてない気がするよ。」


「その辺りは今後、要検討項目だな。この迷宮はリンさんの迷宮だし、バトルよりも迷路や罠系で攻略する形でいいんじゃないか?魔物にいろんな装備を持たせて、ドロップアイテムとしていろんあ装備を得やすいってことになれば、それも一つの売りになるしな。」


「でもこの場所で鉱石とか手に入りにくいんでしょう?」


「その辺りは、俺が定期的に持ってくればいいんじゃない?サクラの所から鉱石、こっちから武器や装備を持って行けば、双方納得できるだろうし。」


その後、地下25階の最奥の間を改造して部屋を作ってやった。

アイテムボックスに入れてあったベッドなんかも置いてやったし、簡易シャワーも置いてやった。

ちょっとしたワンルームマンションだ。

鉱魔法で周囲と切り離してしまえば、転移でしかこの部屋に入ってこれないし、いい感じだろう。

あとリンさんも俺の迷宮の従者設定した。

これで念話もできるし便利だろう。

魔力をこれまでの何倍も貯め込んだリンさんは、しばらくこの迷宮の改造に専念するらしい。

まあ次来る時にどうなってるか楽しみだけど。



「何か、個性的な人だったね、リンさん。」


「まあそうだな。サクラと対極にいるような人だったな。」


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