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アイテムボックスで成り上がり  作者: けんもも
第一章 建国編
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王都での休日

まあ、ともかく、慌ただしい日々を過ごしていたけど、久しぶりに王都の日向亭に戻ってみた。

そろそろミューリの家事修行も完了しているだろう。

サクラも強硬に同行を要求してきたので許可した。

シャルがすっかりサクラの取りこまれている。

妹ポジションでぐいぐいお姉ちゃん心を揺さぶり、今ではすっかりダダ甘状態だ。

俺がしっかり躾けなくては。



「ただいまーお母さん。」


「あらお帰り。なんだいその子は。」


「はじめまして、サクラと言います。シャルお姉ちゃんにはいつもお世話になっています。シャルお姉ちゃんにはいつもおいしいご飯を頂いています。シャルお姉ちゃんから、お母様の方が、何倍もお料理がお上手だと聞いています。今日はお母様のお料理を頂けるのを楽しみにしていました。」


「あら、いい子だねこの子。どこで見つけたんだい。」


女将さん、チョロイ、すでに取り込まれているし。


「旦那様、御無沙汰しています。姉は如何ですか?」


「おー。ミューリ、元気だったか?ミュールはすっかり俺の役に立ってくれてるよ。ミューリの方はどうだい?」


「一通り学びました。まだまだ学び足りませんが、旦那様のお役にたてると思います。」


まあそうだろうな。

料理と裁縫のスキル取ってるし。

算術、交渉、機織りの能力まで持ってるなー。

どんだけ頑張ったんだろう。


「ケンタ、この子はもう教えることはないよ。と言うかこのままうちで雇いたいぐらいだよ。」


「そうです。ミミよりも裁縫も上手になってますよ。」


「そんな、私なんかまだまだです。」


「それじゃあ、当初の予定通りにミューリは家の家事をやって貰います。俺達もかなり忙しくなったので、家事に手が回らなくて。女将さん、済みません。」


「何言ってるんだい。最初の契約通りじゃないか。私たちの方こそケンタの奴隷をいろいろ使ってしまって申し訳なかったね。」


「それでお母さん、あっちの話をして貰えるのかしら?」


「ああ、気が付いたかい?」


「気が付くわよ。宿より大きな建物たててるじゃない。厩とか倉庫全部潰しちゃったの?厩がないと宿泊客取れないんじゃない?」


「あーそれだけどね。宿屋をやめて、料理や一本にすることにしたんだよ。宿の部屋はそのまま従業員用の宿舎と食材倉庫にする予定さね。」


「えっ?本当に?」


「お譲さん、実は、焼き肉が大当たりしちゃってね。連日凄い人だかりなんですわ。宿の方も少し前から対応できないんで客を取ってません。」


「勿論、シャルに出して貰ってる宿屋を作った時の資金は返すよ、あんた冒険者ギルドの借金全額返済してたんだってね、びっくりしたよ。」


「知ってたの?」


「詳しくは知らないけど、冒険者ギルドで借金して毎月給料から返済してたのは知ってたさね。焼き肉のお陰でまとまったお金が入ったんで相談しに行ったらすでに返済されてるって聞いてびっくりさね。それにあんたとケンタ冒険者ギルドどころか王国の需要人物らしいじゃないか。店の建て替えの話をしたら、翌日には設計が来てあっという間に工事に入っちゃって。費用は王国と冒険者ギルドで支払い済みだって言うし。」


「知らないはそんなこと、ケンタは?」


「俺も聞いてないけど。ギルマスが気をきかせてくれたのか。後で聞きに行ってみよう。」


「何でも褒賞金の一部だから問題ないとか言ってたよ。何かやったのかい?」


「褒賞?迷宮の件かな?」


「あれかい。この前、鉱山都市で見つかったって言う新しい迷宮、なんて言ったけサクラ迷宮だったかね。あの迷宮の周辺に綺麗な桜が咲いてて、鉱山迷宮じゃ味気ないから、そう呼ぶようにしたみたいだよ。新しい街の名前もサクラ・メントって言うらしいね。あそこを探索したのやっぱりあんた達だったのかい。今や凄い人気だよ。王都から半日だからね。日帰りでも行けるように街道整備も始まったし、城壁作って新しい街も作ってるって話だよ。今やマルク王国に商人とか冒険者が集まって来ててね、つられて人も集まってるってことだよ。宿屋を閉めたのもそう言う訳さ。空いてたら人族の客が来るぐらいだからね。宿をやってたら食堂が回らないし、新しい奴隷を購入しなくちゃって話をしてたとこだよ。」


「こんにちはー、工事の方はどうですか?」


「ってフランどうしたの?」


「って、シャルこそ。」


「私はさっき王都に戻ってきたところ。」


「こっちは連日大忙しだよ。換気扇の打ち合わせって思ってたら、新規でお店作るってことだからね、それなら店ごと換気できるシステムを作ろうってことで工事途中の打ち合わせだよ。ついでに専用焼き肉テーブルも木工師に一緒に作って貰ってるんだよ。いやー毎日充実してるよ。」


「ちょっと見ない間に凄い変わり様だな。」


「うん、びっくりだよ。」


「ともかく、丁度いいところに帰ってきてくれたよ。今から奴隷商全部回るよ。見込みのありそうな子10人は買わなきゃ。」


「10人?そんなお金あるの?」


「何言ってるんだい。工事のお金が丸々残ってるんだから当り前さね。あんたへの借金返済ももうしばらく待って貰うからね。」


そう言って、シャルは引きづられるように連れて行かれた。まあたまには母娘水入らずってことでいいか。


「じゃあ俺達はどうしようか。」


「師匠、王都見物したいです。」


「師匠?旦那様、なんの師匠なんですか?」


ん?

2人とも身長は同じぐらい。妹属性あり?

俺の右側から抱きつくようにしているサクラに対抗してか、ミューリが俺の左側から抱きついて威嚇してるけど。

まあそんなことはないよな。

ミューリは大人しい子だし。

ミューリの頭をポンポンと軽く撫でてあげて、


「サクラが勝手に呼んでるだけだよ。じゃあ、ミューリも迷宮都市に引っ越すし、一ヶ月頑張ったご褒美に何か買いに行こうか。ミュールも久しぶりに買い物したいだろう?」


「私は欲しいものは特にありません。たくさん頂いてますし。」


「まあ何かあるかもしれないしね。買いに行こう。」


結局3人を引き連れて買い物に出た。

ミューリが気になるのは、調味料や調理器具など調理関係の物が多い。

勿論全部購入している。

サクラはそれがおいしい料理に繋がると解っているので、今やミューリと真剣に器具や食材選びをしている。

糸や生地などを扱っている店のショーウインドウに機織り機が置いてあった。

コンパクトな最新鋭らしい。

違いがよくわからないけど。


「そう言えば、ミューリは機織りもできるんだって?」


「旦那様、誰に聞いたんですか?ミミ姉さんにも内緒にしていた筈ですけど。」


「ミューリのことはいつもみてるからね。機織り機があれば自分で生地とか織れるかい?」


「えっと、はい、いつも織らせて頂いてますから一通りは。でもこんな高級な機織り機ではなく普通の機織り機です。」


「これでも織れる?」


「はい、大丈夫だと思います。」


その場でお買い上げした。

何と金貨50枚もした。

ついでに糸もいろいろ購入した。


「これは、ミューリのプレゼントと言うより、仕事に必要なものだからね。遠慮しなくていいんだよ。」


そう言ったけど、金貨50枚の効果は大きかったようだ。

ミュールも一瞬表情が変わったけど時々、白金貨数枚の価値があると言うポーションを飲まされているので納得したようだ。

ちなみにサクラにもスキル値のことを話して魔力ポーションを服用させているけど、迷宮創造にスキルアップしないように飲ませる量はしっかりコントロールしている。


アクセサリーの店で、ミュールにカチューシャと櫛、ミューリにはイヤリングを買って上げた。

サクラも欲しいとか騒ぐので手鏡を買ってやったら大人しくなった。


「旦那様ありがとうごさいます。えっと似合いますか?」


「よく似合ってるよ。ミューリの銀髪によく映えると思うよ。」


「あ、ありがとうございます。大切にします。」


ミュールも気に入ったんだろう、すでに着けている。

2人とも銀髪だからね。

赤はよく映える。

俺がそう思いながらミュールを見ていたら、照れて顔をそむけた。

可愛いやつだ。


「鏡、鏡、えへへ。私ってば可愛い?」


サクラは放置の方向で。



服とか買おうかと言ったら、これなら自分で縫えると言うので買うのを止めた。

そういうぐらいだから余程自信があるんだろうなー。


日向亭に戻ると、女将さんが10人の子供相手にテキパキ指示を飛ばしている。

男の子3人に女の子7人。

それぞれスキルを持ってたり、スキルがなくても可愛い子だったり、なかなかの選択眼だと思う。


「シャルお疲れ。」


「ケンタ、疲れたよ。迷宮探索より疲れた。」


「何言ってるんだいこの子は。」


「何って疲れた大半はお母さんの値切り交渉だからね。」


「何言ってるんだろうね、この子は。あんなの普通じゃないか。」


「普通は最初のいい値の半額以下まで値引かないはよ。最後の奴隷商の人なんて、最後は泣いてたわよ。」


「何言ってるんだい。あれでも十分儲けが出てるんだから問題ないんだよ。あんたが止めなきゃ、もう少し安く買えたよ、全く。」


「そう言えばケンタ、いい肉持ってないかい?今ならたっぷり買い取りするよ。」


あー子供達のアイテムボックス使うのね。

俺は最近ではほとんど使うこともないホーンラビットや、ボアーの肉、ワイルドウルフの肉なんかを取り出した。

女将さんはと言えば、テキパキと仕分けしてそれぞれの子供に収納させてた。


「ありがとよ、これで2ヶ月は肉の仕入れの心配はいらないね。」


料理のことになると鬼になる女将さんだった。


その日の夜は歓迎会とか、ミューリのお別れ会とかいろいろ一緒になった宴会になった。まあたまにはこういう日も必要か。


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