表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイテムボックスで成り上がり  作者: けんもも
第一章 建国編
5/70

ワイルドウルフ

「この先に、ワイルドウルフの群れがいる。幸い確認できたのは3体だ。それだけなら問題なく処理できる。こっちの荷物の中は食材は入っていないから狼も寄ってこないだろう、ケンタは、こっちの荷台の中に隠れていてくれ。」


事前に打ち合わせた通り再度俺に指示を飛ばして護衛者4人が迎撃態勢に移る。先頭の馬車には俺達の途中の食糧なんかも詰んでるし、商品の食材もあるらしい。ここまで途中の宿場町に寄りながら順調に進んできたけど、さすが王都からも随分と距離が離れて物騒な地域になったんだろう。10分ほど隠れていると、外から声が掛って出てくるように指示された。非戦闘員は店主とその店員、俺の3人だけだけだ。でも店員も一応武器を持って外に出ているし店主もナイフを構えていたから少しは戦えるのかもしれない。全く戦えないのは俺だけだな。


「すごい大きな狼ですね。ワイルドウルフと言うんですか?」


「ん?何だワイルドウルフを見たのは初めてか?こいつらは単体ならそんなに強くないんだけどな。群れると途端に厄介な魔物になるんだよ。」


「皮をはぐんですか?」


「ワイルドウルフは冒険者ギルドに持って行ったら討伐ポイントに加算されるし、何と言ってもいろいろ素材が出るからな。特に革なんかは中級者辺りまで使える革鎧になる。」


そんなこと言いながら、手分けしてサクサク解体している一体だけ少し離れた場所で倒されてた様で、そっちに行ってみた。森からは十分離れてるし、皆何も言わないから安全だろう。しかし、近くで見るとちょっとした大型犬並みの大きさだな。いかにも魔物って感じのいかつい体躯だけど。離れてるし、近くに持って行ってやろうと思ってアイテムボックスに収納してやった。すると、


「解体しますか?」


って声が頭の中に響いてきた?


ん?今のなんだ?解体って今入れた狼のこと?アイテムボックスに入れたら解体もしてくれるんだろうか?それにしては他の人はせっせと解体作業してるしな。ここで解体したら拙いよな。どこまで解体されるか分からないし。

俺は頭の中でそこまで考えて。マルスの側に行って、アイテムボックスに入れていた狼の死体を取り出した。


「おお、ありがとうよ。持ってきてくれたのか。ってよく入ったな。普通はこんな大きなもの入らないけどな。」


あっ、そうだった。容量の制限もあるんだった。なんで入ったんだ?もしかして俺のアイテムボックって特別せいなの?ってあれ?この狼でアイテム数6つ目だ。上限5つじゃなかったけ?


「ああ、問題ないならそのまま持っててくれないか。解体しないと拙いから先に解体してるけどよ、時間もかかるし、何より血の匂いで他の魔物が寄って来るかも知れねえからな。私物はどっかに出したのか?そっちはそのままで問題なら狼の方を持っておいてくれ。」


マルスにそう言われて再度狼を収納した。アナウンスが聞こえないけど「いいえ」と念じてそのまま保持することにした。


その後の旅は順調だった。俺自身手荷物を持ってないことを怪しまれることはなかったし、マルス達護衛の4人は臨時収入でかなり機嫌が良かった。これが普通なのかどうかは分からないけど、到着まで俺は全泊宿に止めて貰った。護衛の人たちは交代で寝てたみたいだけど、狭い部屋を4人で使っていたのに俺は一人部屋だった。尤も隣は護衛の人が泊っててたけど。宿には風呂はないけどシャワーみたいな物は付いてたし、水洗トイレも付いてた。俗に言う中世の文化レベルと言う訳ではなさそうだ。石鹸もあるし紙もたくさんある。本も普通に売られてるしね。印刷技術があるようだ。ただし機械文明はなさそう。交通手段にしろ武器や生活用品にしろね。


無事に国境を越え、目的地であるマルク王国に着いた。まずはアイテムボックスに預かっていた商品を取り出し、中身を確認して貰ったあと、銀貨10枚を貰って契約が完了した。その後、護衛の4人と一緒にマルク王国にある冒険者ギルドに連れて行って貰った。預かっていたワイルドウルフを渡すためだ。途中で解体しないのかと聞いたら、荷物になるのと、出来れば肉も買い取りして貰いたいからギルドまで運んで欲しいと言われたのでそうした。契約金は銀貨1枚だ。買い取り価格がかなりあるみたいだけど、迷宮のポーターの一日の基本支払額と同じだと言われたのでそんなもんなんだろう。


「ケンタありがとよ、お陰で助かったぜ。俺達の枠を使うと武器やポーション等の枠が削られるからな、本当に助かった。」


「いえ、俺も冒険者ギルドに用事があったしよかったですよ。」


「そう言って、アイテムボックスから狼を取り出してマルスに渡してやった。」


「しかし、ホント、よく入ったな。全体の容量とかが関係してるのかな?それにしては食器の荷物も結構積んでたしな。」


「その辺りはよくわからないけど、また縁があればよろしく。」


「おう。俺達は大体護衛任務を請け負ってるからな。その内どっかであうこともあるだろうさ。じゃあな世話になった。」


銀貨を1枚受け取って、マルス達と別れた。マルス達はギルドの裏手にある解体場所を借りて今から解体するそうだ。リュックの中には先に解体してた2頭分のアイテムとか肉がいっぱいみたいだし、先に換金してくればいいのにと思ったけど、余計な御世話だし黙って別れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ