闇魔法
影魔法の方は、何となく理解できる。
まず隷属魔法の発動ができるようになった。
当然解除もできる。
試しにやってみたけど、ミュール自身は特になにも変化がない。
まあ隷属魔法で一旦縛られてるし、アミラス王に対して2-Dの生徒達が突然感じた様な畏怖感なり恐怖感はないんだろうな。
あれ?そう言えば、この隷属魔法は本人の同意がないと発動しなかったんじゃないか?
奴隷商でも、あのゲスな王でも相手の承認を得ていたよな。
俺は今、ミュールに対して、奴隷状態のONとOFFを自由に繰り返してるけど、これってどういうことだ?
スキルポイントも少し使ってるみたいだけど何か別のものを習得したのか?
スキルポイントの残を10万越えにしてるから、10ポイント単位の変化とかちゃんと認識できないんだよな。
これも大量のポイントを持っていることの弊害か?
まあいつ、固有スキルを習得できるか分からないしね。
多めに所持してないとって作戦なんだけど。
影魔法か。
後出来そうなことってなんだろう?
隷属魔法とか催眠魔法は攻撃系の魔法になるんだろうな。
防御系って闇をつくるとか?
隠蔽とか?
隠蔽スキルは別にあるけどな。
その辺りは要検討だな。
午前中探索を進めて、周囲に魔物がいない行き止まりの場所で結界を張ってお昼を食べながらそんなことをやっていた。
さっきからミュールは何度も奴隷状態をON、OFFされまくってる。
「なんかこうして迷宮の中でお昼とか食べてると、ここが迷宮ってこと忘れちゃう。ケンタの結界のお陰なんだろうけど、普通はもっとピリピリした感じらしいよ、迷宮内の休憩時間って。」
「そうなんですか。私は旦那様と、奥様と一緒に迷宮探索するのが初めてなので、これが普通だと思ってました。」
「迷宮内に、テーブルとイスを置いて、優雅に温かいスープと飲み物付きの昼食とかないのよ本当は。精々交代で見張りしながら、露天で買ったサンドイッチとか串肉なんかを頬張るぐらいよ。」
「たしかに、旦那様のアイテムボックスは凄いですからね。よくこれだけの量が入りますよね。」
「まあその辺りのことも何度も言ってるけど絶対に秘密ね。」
「承知しております。しかし、最初私と妹が買われた時に、迷宮探索に同行させると言う話だったので、てっきりポーターとして連れて行かれるのかと思ってました。」
「ミュールが剣術スキルを持っていることは、シャルが鑑定で気づいていたからね。前衛でしっかり戦えると思ってたんだよ。実際、こうして闘ってもらってるしね。まあそんなことより休憩終わり。続きを探索しようか。今日でこの階の大部分は探索終了するし。下への通路は見つけたけど、ここは焦らずこの階を攻略してしまおうか。」
「そうだね。この階で出てくる魔物は大体出尽くしただろうしギルドに売る情報も取れてると思う。それにミルもLV25に上がって、グレーターウルフの魔法にかからなくなったしね。」
「私だけが、魔物の止めを刺してレベルが上がってる感じですが。」
「その辺りは問題ない。って言うか必要なことだからね。この階でLV25が必要だったってことは、この先必要LVがもっと高いってことだし。尤もLV25はあのグレーターウルフだけで、オーガの変異種もLV23前後だから、この階層だけが特殊なのかもしれないけど。」
「私の魔法の威力も上がったしね。ケンタが言う様に実践の中で、しかも同じレベルぐらいの相手との実践だと、スキルの伸びがいいみたいだよね。」
「はい、私も4つの攻撃パターンを習得できました。」
ミュールは、剣術スキルは上位変換してないんだけど、双剣を使った技みたいな物を独自に編み出している。
連撃技、回転技などは見ていて綺麗って感じるぐらい。
MMORPGで言えばソードスキルってやつだな。
シャルは魔法と剣での攻撃を複合させた攻撃を確立させつつある。
今では初撃の魔法だけでなく剣で打ちあいながら魔法を発動させて同時に数体の魔物相手に渡り合える感じ。
シャルは複数戦に特化し、ミュールは単体戦に特化している感じかな。
俺はと言えば、最近は全体の把握とコントロールがメイン。
驚くなかれ、離れた場所から回復魔法が放てるようになった。
恐らく聖魔法に変化したことによる効果だと思うけど。
MMORPGでパーティーにヒールをかける感じで発動したら出来たのでびっくりだ。
今では、シャルとミュールの鑑定画面を同時に出すこともできる。
だんだんチート化してきた。
観察していると少しずつスキルポイントが減っているんで何らかの能力を獲得しているんだと思う。
新しいスキルが発現してくれたら嬉しいけどな。
そこから5時間ほど探索を続けて、空間感知で確認した範囲を込みだけど、地下16階の全域のマップが完成した。
そのまま家に飛んで今日の探索を終了した。
シャルのリクエストで今夜はグレーターウルフの肉を使った焼き肉にすることにした。
魔物の肉はLVが高くなるとその分、美味くなる傾向にある。
LV25の肉はきっと美味いハズ。
タイタンの肉もおいしいしね。
間違いない。
で、グレーターウルフの肉は予想通り美味かった。
肉を切るのにミスリルの剣を使って、剣技を使って薄く均等に切ったことも影響しているのかもしれないけどともかく美味かった。
シャルの味付けが絶妙になってるんだよね。
もしかして料理スキル習得しちゃうんじゃないかな。
そしたら更に料理の腕が上がるんだろうけど。
デザートには、なんちゃってアイスクリームを作ってやったら2人に絶句された。
いや焼き肉がおいしかったので俺もついつい本気でデザート作りしたんだけどさ。
「これはなんですか、旦那様。」
「ケンタ、凄すぎだよ。私の料理なんてまるで敵わないよ。」
「ですね、奥様。これは、食の大革命です。」
どっかで聞いたことある台詞だけど。
まあいいや喜んで貰えたなら。
その時は軽く考えてたけど、その日から毎日、1日1回は要求され、それにつられて俺のジェラードレシピも増えていくことになるんだけどそれは先の話だ。
ただこの時は本当にジェラードなんておこがましくて呼べないほどなんちゃってアイスクリームだったんだよね、レモン味の。
本来、俺達の武器はそんなに丁寧に手入れしなくていいと言われてたんだけど、ミュールの中の何かの血が騒ぐのか、俺達の武器の手入れはミュールが引き受けてくれることになった。
と言っても俺自身すぐに浄化魔法をかけてるし武器も防具も汚れはないと思ってたんだけど、ミュールは丁寧に拭きあげる。
まあミュールがやりたいならいいかってことでお願いしている。
シャルは最近、風魔法の習得に情熱を燃やしている。
やはり俺の風魔法を何度も見ているだけあって、剣での攻撃に風魔法が一番相性がいいことを感じているんだと思う。
中々視認できない風を認識させることは難しかったけど、発想を転換して認識はできなくとも風を起こすことを体験させてみようってことで、ろうそくってないのか聞いてみたらろうそくという物はないそうだ。
光の魔道具か、松明を使うらしい。
仕方ないので、香木を使うことにした。
日本で言えば線香みたいに細い香木に火をつけ少しずつ焚いて煙で香りを出すものだ。
薄く煙が上がるのが解る。
煙くもないし練習にはちょうどいいかな。
一本で2時間ほどかかるみたいだし。
まずシャルに手本を見せる。
ゆっくりと上に上がっていく煙の間に手を置いて、風魔法で気流を作る。
殺傷力はないけど、風を作ることには違いないだろうし。
今度はシャルを後ろから抱きかかえるようにして両手を添えて、魔力の流れを感じさせる。
他の魔法を使えるし、魔力操作のスキルも持ってるし、後はイメージだけだ。
2人がそれぞれ自分達のことをやってる間に俺も自分の能力の整理を。
まずは影魔法の上位変化だよなー。
これまでの流れから行くと攻撃系と防御系の両方の範囲魔法を使えるようになった時に上位変化するようだし。
あと影魔法の範囲魔法って言うのも不明だよな。
防御か。
光球があるんだから闇玉があるか。
真っ黒な闇を作りだす感じ。
おっ、いいね。
これを広げればいいのか、部屋全体を闇玉に飲み込ませる。
まあ目くらましぐらいになるか。
よし次だ。
闇壁とかは作っても意味ないし。
光を吸収して反射させなければ視覚的に認識できないんだからこれって光学迷彩になるのか?というか透明化って感じか。
おっ、闇魔法だ。
意外と簡単っぽい?って使用ポイント5000って、他の10倍かかってるし。
何が違うんだろう。
まあいいや、取り敢えず、全属性コンプだ。
ゲーマーの血が騒ぐね。
まあゲーマーでもないけど。
これで次の目標は古代魔法だな。
転移魔法がこの世界に存在することは解ってるんだよ、この水晶の指輪で。
ただそれを実体験していて、スキルポイントもたっぷり持っていても転移魔法スキルの習得はできなかったしな。
その辺りは別の理由があるんだろう多分。
「ケンターできた。気流を流せるよ。風魔法スキルも出来てる。」
「すごいな、シャルは。魔導師の才能があるんじゃない?」
「スキルがないのに全属性使えてるケンタに言われてもあんまりって感じだけど、それでも嬉しい。これで私もケンタの役に立つよね。」
「いやいや、最初から役に立ってるからね。」
その後、裁縫仕事も終えてミュールも戻ってきた。
何か3人で寝るのが当然って感じだけど、別に個別の部屋でもいいんじゃないって心の中で思うだけにした。
まあ今さら止められないよね。
美少女2人。
しかもタイプの違う美少女2人と一緒のベッドだし。
あーこの世界に来てよかったよ。
獣耳最高。