転移水晶
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その後、コテージを出て探索を進めた。
防具を一新した分、防御にも余裕が出来たし、ジャックスワローの風魔法は魔法耐性によってほぼ無効化出来るんで、同じように俺がタゲを取り一体ずつ始末することで脅威はなくなった。
尚その後、風魔法が上位変化し嵐魔法になって周囲を台風みたいな風を起こして始末できるようになった。
この方法だと魔物自体に魔法耐性があろうと風で巻き上げられ周囲の壁や天井に打ちつけられ蹂躙されるようだ。
ただし風が止んだ後、早くに死んでいた魔物の死体が消えて素材回収が出来ないみたいなので、封印することにした。
どうしてもやばい時のための切り札的魔法だ。
まあ炎魔法も迷宮内で使用するにはオーバーキルだしね。
上位魔法はこの階層ではオーバーキルなのかもしれない。
いずれにせよ、迷宮タイプの階層だった12階から14階まではマッピングも楽で、超サクサク終了した。
地下15階は、完全な迷路ダンジョンだ。
天井まで完全に破壊できない壁で覆われている。
念のため攻撃してみたけど全く傷か付かない。
迷宮の壁を武器や防具に転用出来たら無敵なんじゃない?とか言ったら、シャルに笑われた。
「この階層は俺達にとってはサービス階層だな。」
「そうなの?行き止まりとか、罠とかありそうだけど。」
「そう言うのも全部感知できるから問題ないよ。しかもこの階層、これまでと違って周囲2キロぐらいしかなさそう。今いるのは、この階層のほぼ真ん中。でボスがいるのは北側だね。他の部分にも魔物が一杯いるけど、どうする?」
「えっと、地図はほぼ完成してるってこと?」
この周囲を歩いた限りでは間違いないよ。
迷宮の端にぶつかるし。
そう言って、紙に迷路図を書きあげた。
魔物の配置は要らないかな。
どの道動くだろうしね。
「魔物の種類は?」
「大体解るよ。これまでの魔物の総出演って感じ。複数種族が一緒にいるね。」
「それはそれで厄介そうだけど。」
「で、あっちもこっちの気配を感じてるんだろうけど動いてないんだよね。つまり最短コースで進めば余計な戦闘をこなすことなくボス部屋に行けそう。」
「じゃあ、まずはボスアタックで。転送の話が伝説で地上に戻れないんだったらその時点で、この階の探索をするか、そのまま下層に進むか判断することでどうかな?」
「だね。転送って言うのは確かめておきたいしね。」
そこからは、迷路を最短コースで進みながら個別撃破して行った。
いろんなスキルを持つ魔物が同時に出てくると確かに厄介だけど、事前に相手のスキルが解る分、対策も立てやすい。
それに魔物はある一定の範囲内しか動けない感じなんだよね。
こいつらどうやって生きてるんだって考えたらいけないんだろうな。
1時間ほどかけてボス部屋の前に到着。
中にはボスが一体。
「じゃあ行くよ。鑑定よろしくね。生命値の管理もよろしく。中級回復ポーション大丈夫だよね。」
「うん、ポーションはポーチにもアイテムボックスにもたっぷり入ってるから大丈夫。」
「ここまでの魔物の動きからある一定の範囲に入らなければこっちに向かってこないみたいだし、鑑定もギリギリの位置でやってみよう。」通路から中を覗いて確認できればいいけどね。」
事前打ち合わせと準備を済ませて、俺自身は隠密スキルと魔力操作で俺とシャルの魔力的な隠蔽をかけて進んでみた。部屋を覗くとそこには体長5mはあるかと言う巨人が。
「タイタン。LV30。生命値2000。鉄壁、剛力、剣豪」
何とか相手に気付かれる前に情報が取れた。
完全な物理攻撃タイプの魔物みたいだ。
「俺が魔法攻撃をかけるから、シャルは足元、行動力を削ぐ形で。」
隠密、魔力隠蔽をかけたまま部屋に入る。
大丈夫みたいだ、台座の上に座ったままだ。
魔法の射程に入って、一気に嵐魔法と炎魔法を頭目掛けて発動。
頭が一気に燃え上がる、激しく暴れる動きに合わせて、風と炎を動かす、内部は灼熱地獄で酸素もなくなっている筈だ、酸欠状態になってそのまま死んでくれればいいけど最後のあがきで激しく動き回り魔法の範囲から逃れてしまった。
その時点ではシャルが足首を狙って片足の行動を不能にしている。
俺もすぐさま頭の狙って跳躍。
酸欠で意識がもうろうとしているのか動きが鈍い。
とにかく魔力を通したミスリル剣で首をや目を狙う。
激しい抵抗でなかなか効果的な一撃を加えられない。
やつの意識がシャルの方に向いた一瞬、薄く開けた目に向かって渾身の一撃。
そのまま深く突き刺して剣を通して風魔法を打ち込む。
頭の内側から風魔法が後頭部に向けて通り抜ける。
とタイタン自体をそのままアイテムボックスに収納出来た。
すると水晶の指輪と言うアイテムが手に入った。
シャルに鑑定して貰ったけど詳しい説明はないみたいだ。
呪われたアイテムではないみたいだし、指輪を付けてみた。
俺の指に大きかったけど指に嵌ると俺の指に嵌って取れなくなった。
なっ、呪いの指輪だったか?焦ってシャルに鑑定して貰ったけど特に状態異常はないみたいだ。
「その指輪何だったんだろうね。それが転移の指輪?」
「どうなんだろうな。特に転移出来る感じはないけど。」
取り敢えず、ボス部屋をチェックしてみると部屋の後ろ側に、下に通じていると思われる通路が見つかった。
タイタンが座っていた台座は、小さな部屋になっていた。
ちょうど岩コテージの内部と同じぐらいの広さだ、入口は腰をかがめて入らないといけないぐらい狭い。
中に入ると青い水晶が中で光っている。
「あの水晶、何かのアイテムかな?」
「えっ?水晶ってどれ?真っ暗で何も見えないけど。」
「マジ?部屋の中、水晶の明かりで青く見えない?」
「何にも見えないよ。」
「ちょっと待って。」
そう言ってアイテムボックスから明りの魔道具を出して内部を照らした。
何もない、ただ水晶があるだけだ。
「ほら部屋の真ん中の水晶見える?」
「見えないよ。本当に見えるの?」
「ちょっと中に入ってみよう。」
「大丈夫かな。罠とかない?」
「感知には何も引っかからないけど。」
俺とシャルは部屋の中に入ってみる。
特に罠はない。
水晶の前に立ってみる。
水晶に手を触れた時、俺の指輪が青く光る。
と、頭の中にマルク迷宮15F、マルク迷宮入口の文字が。
「多分ね、これが転送装置みたいだ。」
「私には見えないけど。」
「こう言う場合には、俺に掴まってみて。」
シャルが俺に抱きついた後、もう一度俺が水晶に触れると項目が出る。
入り口を選択すると、シュッとなって景色が変わった。
目の前には青い水晶がある。
探知をかけると、ここは迷宮入口のすぐ先にあった小部屋だ。
この小部屋は何もないからみんな素通りしている、俺も初めてこの迷宮に来た時小部屋の中をあちこちチェックしたけど何もなかったので、それ以降この小部屋は無視して進んでいる。
「シャル、この水晶は見えないよね?」
俺が声をかけるまで目をつぶってたようだ。
「えっ?ここはどこ?」
「多分、迷宮入り口の小部屋だと思う。ほら、そっちの通路を冒険者が通って下に降りてるし。」
「転送したってこと?でも、水晶って見えないよ?」
「多分、この指輪がキーなんじゃないかな、この転送システムを使うのの。」
「じゃあ、これからはいつでも転送できるってこと?」
「そうだと思う。もう一度転送してみよう。」
その後何度か転送を繰り返してみた。
シャルは俺と一緒じゃないと転送は出来ないようだ。
回数に制限はないみたいだな。
物も俺に触れている物は転送できるけど、離れていれば残されるみたいだ。