防具作成
地下11階は灼熱の10階とは打って変わって、地下水脈と鍾乳洞みたいな場所だ。
出てくる魔物も水生魔物が出てくる。
エビみたいな格好のジュエルシュリンプという魔物は水魔法と槍術スキルを持つ厄介な魔物だ。
同じように蟹見たいなブラッククラブという魔物は再生スキルを持っている。
再生スキルは自動中級回復魔法を発動しているスキルで手足を切ってもすぐに再生してくる。
甲殻は固いし離れると水魔法で攻撃してくるし。
仕方ないので両方とも火魔法をぶっ放してこんがり焼いて始末した。
いきなり俺が火魔法をぶっ放したので、シャルも放心してたけど、風魔法でいくら切っても埒が明かないし仕方ない。
しっかり再生スキルも手に入ったし、自動で生命値が常に満タンになるみたいだし、後悔はしていない。
ちなみにアイテムのカニみそとかに肉はシャルにも好評だった。
特にエビは肉よりおいしいと言ってそれからしばらくはエビ料理が続いた。
ともかく、地下11階は火魔法を使いまくってサクサク退治し、あっという間に地下12階に到達した。
「たった二日で、2階層探索完了するとか、あり得ない。これまでの迷宮探索者の苦労が・・・」
「まあまあ、取り敢えず、俺達は地下15階の謎を解き明かすと言う大きな使命がある訳だしね、途中はサクサクと進んだ方がいいだろうし。」
「いつそれが、大きな使命になったのかは置いといて、ともかくエビを食べましょう。」
「シャル、エビ好きだねー。」
「何と言うか猫族の血が騒ぐって言うのか。あー魚?でしたっけ。あれもおいしいですよ。塩焼きにして齧り付くと最高です。でもこのエビの味には敵いませんね。」
「まあ、毎日食べても一年分ぐらいは狩ったからね。」
「凄かったですね、あの火魔法。地下10階のマグマかよって感じでした。あっという間に水が蒸発してましたし。」
「だな、あれは俺もびっくりだよ。死体が消える前に回収できてよかった。」
「あの後の水魔法で一気に冷やしてましたからね。今回ばかりはケンタのマジックバックの威力に感謝ですよ。全くこんなおいしいものを迷宮に吸収されちゃうところでした。」
「しかしこの12階は、普通だな。」
「まあ、10階、11階のインパクトが強かったですからね。これが普通の迷宮じゃないですか?」
「まあそうなんだけどね。森があって、マグマや、鍾乳洞があって、何でもありだなーって思ってたからね。拍子抜けって言うか。」
「その代わり魔物のレベルは上がってるし、集団で来るし、いろんなスキルが混ざってるし厄介じゃないですか。」
「まあそうだけど、対処できない感じじゃないし。」
「それはケンタがLV30になってるからですよ。LV30ですよ。恐らくこの大陸で最強ですよ、今のケンタ。」
「そうなの?地下11階のおまとめ殲滅が大きかったかな?」
「確かにあそこで一気に伸びましたねケンタのレベル。」
「シャルは今LV20?」
「ええ、お陰さまでLV20です。B級相当ですよ。騎士団長クラスです。いっぱしの冒険者ですよ。」
「何か怒ってない?」
「怒ってませんよ。ただこの世の理不尽さに思いを馳せているだけです。」
「理不尽さって。」
「いいですか、ケンタは、ノンスキルホルダーなのに、火、水、風、土、光の全属性魔法が使えるんですよ。いいですか全属性です。つまりはケンタは大魔術師いえ、賢者と呼ばれる職業と同等の力があると言うことです。賢者はお伽噺の中の職業なのでちょっと言い過ぎですけど、すくなくとも大魔術師です。ただの魔術師じゃないですよ、大魔術師です。それなのに、スキルはなし。職業もB級冒険者。これって変です。何かが間違っています。」
「職業はスキルと連動してるのかもねー。まあ俺の場合無職よりもB級冒険者の方がいいけどね。」
「まあともかく、今日も頑張ったし、お風呂に入ってゆっくり休もう、ねっ。」
「お風呂に入らなくても浄化魔法で十分じゃないですか?私なんかお風呂で洗うよりお肌ツルツルですよ。髪もサラサラしてきてるし。」
「お風呂嫌いなの?」
「嫌いじゃないけど、まあケンタと入るのは楽しいというか、リラックスできると言うか、一日のご褒美と言うか。」
「じゃあ、お風呂に入って、明日のためにぐっすり眠ろう、ねっ。明日もじゃんじゃん先に進んで探索して行くし。それにシャルと一緒にお風呂に入ると俺が嬉しいし。」
「もう、仕方ないですね。ケンタがそう言うなら入りましょうか。」
今夜も楽しいひと時を過ごして、一緒に眠った。
ちなみに、火魔法は確かに炎魔法に変わった。
その代わりスキルポイントがごっそり消費されたみたいだけど。
もっとも最近は上級魔力ポーションを飲んでるので俺のスキル値は常に5000オーバーの状態だけど。
シャルの方は、鑑定が上がることはないんだよな。
何が問題なんだろう?スキルポイントも減らなくなってる。
一応1000程度残すようにはしてるけど。
ちなみに料理の腕は確実に上がっているようだ。
裁縫の方も上がっている。
夜サクサクと俺の服や自分の服をリサイクルして新しい服を作っている。
ブラックタランチュアの糸というドロップアイテムは、生地にすると高級な防具になるらしく、地上に戻ったら機織師に生地にして貰うことにした。
地下12階はハイコボルトやホブゴブリンを中心とした魔物、地下13階は、それに、オーガの集団が加わり、地下14階は、ポイズンキラービー、ジャックスワローという飛行系の魔物が加わり結構大変だった。
特にジャックスワローは自分は風魔法を使う癖に魔法耐性というスキルを持っていて、魔法攻撃が通じにくい。
しかも集団で襲いかかって来るんで初遭遇の時には結構やばかった。
俺の方は再生スキルを発動し、バンバンスキルポイントを使用して自己修復という上位スキルに変換出来たけど、それだけダメージを加えられたってことだ。
お陰で防具は使いものにならなくなった。
シャルの方は俺が適宜広範囲魔法でダメージは通らなかったけどね。
俺が魔物のヘイトを取り続けたので1体か2体の対応で済んだようで回復ポーションで大丈夫みたいだった。防具の破損もない。
ジャックスワロー戦が終わった後、シャルが慌てて寄ってきて、
「ケンタ大丈夫?防具と服はズタズタなのに身体は大丈夫そうだね。」
「身体は何ともないよ。服だけ着替えるね。」
見知らぬ人の前でいきなりマッパになったら変態さんだけどここにはシャルしかいないし、ササッと着替えを済ませた。
防具はこのまま装備できないけど捨てる訳にもいかないのでそのままアイテムボックの中へ。
「解体しますか?」
何?ジャックスワローの死体はさっき先に回収し終わって解体済ませたけど。
今入れた防具?取り敢えず「はい」と念じると解体出来たようだ。
なるほどビッグボアーの皮が出来てる。
ついでに鍛冶のメニューもできてるけど。
胸当ての項目を選択すると、素材選択項目が。
取り敢えず、オーガの皮を選んでみる、項目が一番下だし、並びがLV順ぽかったし。
と出来たみたいだ、オーガの胸当て。
出してつけてみるといい感じ。
ついでに帽子を作ってみる。
いい感じ。
念のためそんなに痛んでないけどブーツもアイテムボックスに入れてみる。
解体して鍛冶。
うん出来たみたいだ。
履き心地もいい感じ。
「予備の防具持ってたんだ。よかった。なければ一旦地上の戻ろうと言うつもりだった。」
「オーガの皮だと、ビッグボアーより防御力は高いかな?」
「それはそうだよ。オーガの防具だと腕のいい鍛冶師だと金貨数枚はするよ。上級冒険者はオーガに変えるかな。あー私は大丈夫だよ。このビッグボアー防具かなり質がいいし、ミンクさんの作だから安心だしね。」
「一応、見せてみて。念のためここにコテージ出すから中で防具外してみて。」
通路の真ん中でいきなりコテージを出さなくて持って思ったけど、何となくね。
で、シャルの防具も解体して作ってみた。
胸当てや帽子は、レシピで帽子、帽子みたいになった。
何とも親切設計だ。
もしかしたら望んだことを実装してくれてるのか?
ともかく、シャルの装備をオーガ製に切り替えた。
「えっと、私の分も作ってくれてたとか?」
「まあそんな感じ?」
「なぜ疑問形?」
「今自作したって言ったら信じる?」
「うーん、そう言う冗談を言う人殴る?」
「なぜに疑問形?」
「ケンタのやることは規格外だけど、流石に自作って。工房もないのに。」
「だよねー。まあともかくシャルに合わせたものだし、あっ、さっきの防具もシャルが持っておく?」
「荷物になるからいいかな。でもこの防具、一式だと金貨数十枚だよね?」
「そうなの?」
「もっとかかったとか?」
「まあオーガの皮は一杯あるしね。」
「はーもういいよ。ありがたく使わせて頂きます。」