スキルホルダー
もう少し神様なる存在に物申したかったけど、すぐにホワイトアウトして、目覚めると周囲に白い服を着た人たちに囲まれた大理石みたいな床の、丁度教室と同じぐらいの大きさの部屋に、これまた朝のSHRが終わった時の配置で俺達全員が座っていた。
「成功の様です。鑑定で全員がスキル所持者です古文書の通りです。」
「しかし、こんなに大人数か?」
「その辺りは、古文書にも記載されておりませんでしたが、間違いなくスキルホルダーです。」
俺の後ろでこそこそ喋ってるけど、俺に聞かれないって思ってるのかね。
「えっと、済みませんが、ここはどこでしょうか?」
声を出したけど、少し声が小さかったようだ。のどの調子が変だな。って言うかそのまま日本で話してもいいのか?
「閣下、あやつだけスキルがありません。」
「何、ではあやつは失敗作か?」
何を、もしかして俺のこと?教室で最前列に座っていた、目の前にいる、佐伯一馬にも今の言葉は聞かれたようだ。何か俺を見る目が・・・
俺がもう一度喋り出す前に、クラスのリーダーである、御手洗賢一郎が声を上げた。剣道部の大将だ。入学当初から剣道の才能がずば抜けていて、個人、団体ともに負け知らずらしい。腹から気合の入った声だ。
「申し訳ないが、事情を説明してくれ。俺達は急にここに連れて来られて困惑している。」
「おー、申し訳ございません。言葉が通じるのですな。失礼しました。何分、私どももこのようなことは初めてでして、詳しい説明は王の方からして頂きます。皆さま、私に付いてきて下さい。」
それに対して、何か言いかけたやつがいたけど、賢一郎の一睨みで皆黙ってしまった。まあ、リーダーの素質あるからね。
当然のように、俺のことは無視。賢一郎を先頭に、閣下と呼ばれるやつに付いて、全員が移動を始めた。俺はどうするかなーと思ったけど、ここにいても仕方ないし黙って付いて行くことにした。俺の後ろから付いてくる白服の人たちの目も何となく俺を見る目が冷たい気もするけどなー。これは仕方ないのか。なんか理不尽さを感じるけど。
連れて行かれた場所は、ザ謁見の間って感じの場所だ。軽く学校の体育館ほどの広さのある場所で、両脇に、キラキラ光ってるような白い鎧を着た騎士?が整列し、壇上に近い方には、赤や紫の綺麗な服を着たいかにも貴族って感じのやつらが整列して、何段か高くなった壇上にいかにもって椅子に座った白ひげの王様って人が座ってる。
連れて行かれた俺達は別に整列した訳じゃないけど、何となくクラスのカースト順に整列した感じで王様の前に連れて行かれた。俺はと言うと、生徒達の列の最後尾。一人だけ付いて行ってるから、先頭を歩いている賢一郎とは違って悪目立ちしている感じだ。しかし、生徒達の列に入れそうもないし、生徒達もほとんど俺のこと眼中にないみたいだしな。ここに来るまでに、佐伯一馬を通じて生徒達全員に知れ渡ったようだ、俺がスキルを持ってないってこと。そんなにスキルがないといけないことなのか?
「わしは、アミラス王国の国王、ミルツ・フォルマ・フォン・アミラスじゃ。この度は我らの召喚儀式に応え、我が国に来てくれたこと大儀出会った。召喚勇者の者達には、この大陸に現れた迷宮を探索して欲しいと思っておる。迷宮により、周囲の魔物も活性化しており早急に対応せねばならん。仮に魔王が復活しているのなら是非、ガイア大陸を救って欲しい。」
「まず、国王に申し上げるが、僕達は元の世界から、何の説明もなくこの世界に召喚された。そのことについてどう思われるのか。また僕達がなぜその迷宮を探索したりあまつさえ魔王と戦わなければならないのか、お答え願いたい。」
「それにつきましては、私の方からお答えいたしましょう。私は、第一王女のキャスラ・フォン・アミラスと言います。皆様を私たちの都合でこのガイアの地に召喚しましたこと心よりお詫びいたします。しかし、私たちには召喚勇者の皆さまのお力に頼る以外残された手段はないのです。禁忌の古文書を解読し召喚魔術を発動できたことは、我らガイアの地に住まう者にとって最後に残された希望でした。
事実、こうして皆様を召喚出来、全ての皆さまがステイタスホルダーと言うことは、勇者の皆さんが私たちの希望であることに証拠です。
現在、魔王が復活したと言う証拠はありません。魔王の復活も、迷宮が活性化したことによる状況から推察したことです。いずれにせよ、迷宮を攻略してしまえば魔力の流出は抑えられます。そうすることで結果的に魔王をはじめ魔族の力を抑えることが可能になるでしょう。どうぞ皆様のお力をお貸し下さい。」
「状況は多少、理解できました。しかしながら、僕達は元の世界で、魔物と戦うとかやったことはなく、そもそも戦闘の経験すらありません。僕達が皆さんの期待にこたえられるとは思えませんが。」
「そんなことはございません。皆さん、「ステイタスオープン」と唱えてみて下さい。皆様が如何に素晴らしい力をお持ちであるかご理解頂けると思います。」
そう言うのは早くいってくれないと、俺は小声でステイタスオープンを唱えてみた。
名前 ケンタ・アマミヤ
年齢 22歳
職業 異世界召喚者
LV 1
固有スキル アイテムボックス
スキル なし
補正 自動翻訳
生徒達も自分達のステイタスを確認しているようだ。と言っても能力値とか概念はないんだろうか。レベルの概念があるから、もしかしたら隠れステイタスタスとしてあるのかもしれないけどね。
「ご確認いただけましたか?勇者の皆さんは、スキル欄にスキルをお持ちであると思います。生涯習得可能なスキルは1つだけではありますが、スキルを所持できるのは選ばれた者だけでございます。そうですね、1万人に1人と言ったところです。現在、わが王国にスキルホルダーは約100人程度です。ほとんどは王宮におりますが、中には市中で暮らしていたり、地方に住んでいたりします。特に、武技、魔術関係のスキルを持っている者は魔物以外では少ないのです。勇者の皆さまは、ほとんど武技、魔術関連のスキルをお持ちであると聞いております。これでおわかりいただけましたでしょうか?」
「スキルを持っていると、そのスキルを使用できるということですか?」
「その通りです。勿論、スキルを持たなくとも長年研鑽しその技能を持っている者もおりますが、そう言った者は稀です。スキルホルダーの方は、生まれ持った才能で長年研鑽せずともその技能が使えるのです。」
「ご理解いただけましたでしょうか。勿論、召喚勇者の皆さまの訓練、生活などは王宮の方で全てバックアップさせて頂きます。何卒、わが王の願いをお聞き入れくだり、そのお力をお貸し下さいますようご承諾ください。」
ん?何か今、変な言い回しだったぞ。願い?ご承諾?訪問販売のセールストークっぽい胡散臭さを感じてしまったけど、気にし過ぎか?
「わが王国のために戦うと誓ってくれ。迷宮を攻略し、魔物を討伐し、魔族、そしてもし復活しているなら魔王を倒すのに力を貸してくれると。余はそのために必要な手助けをすることを誓おう。」
生徒達は熱血が多いからなー。後ろから見ててもなんかキラキラ光線を出して王の言うことを聞いてる感じだな。中には隣にいる王女に気をやってるやつもいるみたいだけど。
「分かりました。もし僕の力が役に立つなら誓いましょう。」
賢一郎がそう言うと、それに賛同したやつらの身体が淡い光を放ったように見えた。と当時に、生徒達が片膝を付いたけど何で?生徒達の一番後ろにいた俺だけが立っている状態になった。
「うぬ?お主は契約はせぬのか?」
「契約?」
「いや、契約ではなく、誓いじゃ。」
と、壇上の下から閣下と呼ばれてたやつが小声で王様に何かを言った。と途端に俺に対して興味を失くしたようだ。
「では、後のことは任せたぞ、ガバス。姫、行くぞ。」