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アイテムボックスで成り上がり  作者: けんもも
第一章 建国編
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焼き肉

「いえいえ。あの肉がこんなにおいしい料理になるって解っただけでもよかったですよ。俺が持ってたら、そのまま炭火で焼いて食べてただけだったろうし。」


「何?炭火で焼く?どうやって炭火で焼くんだい?火が通らないだろう?」


「いやいや。こんなにおいしい肉ですから、薄くスライスして、網の下に炭火を置いて、じっくり焼いて食べるんですよ。少し焼けた程度で、にんにくたれにつけて食べたら最高でしょうね。こういう葉っぱに巻いて食べてもおいしいと思いますよ。」


「なるほど、それはいいアイデアだね。ケンタ明日時間あるかい?少し準備を手伝っておくれ。」


「いいですよ、じゃあ朝食の後にでも。」


「ってお母さん、ケンタさんはお客さんだよ、何させる気?」


「何っておいしい料理の為だからね。客も従業員も関係ないよ。」


「ケンタさんも無理しなくていいからね。」


「あーはい、大丈夫です。女将さんの用事が終わったらギルドに行きます。C級で受けられそうな簡単なやつ探しといて貰えますか?」


「いいですよ。お待ちしてますねー。」


「全く、シャルが家で仕事の話をするなんてねー。」


「いいじゃない。お母さんだって、仕事の話したくせに。プンプン。」


なんかプンスカしながら厨房に言ったけど、拙かったのかな?


「あーあー。照れちゃって。あの子は昔から恥ずかしいことがあると、プンプンするんだよ。まあ愛情表現みたいなもんだね。」


「まあ気分を害してなければよかったです。それじゃあ、俺もこの変で。」


「うん悪かったね。うちはこの時間からはお酒中心になって行くからね。ここからが稼ぎ時だよ。子供は寝る時間だよ。」


ん?子供って。女将さん俺のこと何歳だと思ってるんだろう。まあ童顔にはみられるんだろうけど。


その後、部屋に戻って今日の3分クッキングならぬ、3分合成を行ってみた。

魔力水の濃度とかあるのかどうかは知らないけど、一番大きなポーションの瓶に風呂場で水を入れてその中に魔石を2つ入れておいた。

アイテムチェックでは魔力水になっている。

合成を意識すると合成可能メニューが出てきた。

と言っても今は初級回復ポーションと中級回復ポーションだけど。

中級はやはり濃度の問題か?

中級があるってことは上級があるんだろうけど、合成メニューに出てこないってことは素材が不足してるってことか?

初級作るより中級作ってた方が便利か?

それとも買い取りさせるために初級の方がいいんだろうか?

魔力水がどの程度出来るのか解らないしね。

ワイルドウルフの魔石の代金銀貨40枚だったから、その元を取るぐらいには作れるといいけどな。

魔力水はすぐにできるようだ。

なくなって部屋の蛇口から水を入れてアイテムボックスに収納すると魔力水になっている。

念のため、2つの大きなポーション瓶に別々の魔石とともに水を入れてアイテムボックスに収納すると魔力水が2つになった。

ビッグボアーの魔石の方が少しだけ赤味が深くて、大きいんだけど出来るのは共に魔力水みたいだ。

自動的に濃度が決まるのか謎だ。


取り敢えず瓶のある分だけ、せっせと初級回復ポーションと、中級回復ポーションを作った。

ちなみに、中級回復ポーションの場合消費する薬草の量は初級の10倍ではなく5倍程度だ。

中級回復ポーションってぼったくりだなー。

地球なら消費者センターに訴えられてる感じじゃないかこれは。


尤も、数は作ったけど効果がどの程度あるのかは不明だ。

さすがに自分の指とかを傷つけて試してみるとか無理だしね。

ともかく、中級回復ポーションの売値が金貨2枚とか言ってたし、最低でも金貨1枚では売れるだろうな。

現在手持ち50本。大金持ちになった気分だ。

明日、たっぷりポーション瓶を買っておこう。

大量に買ったら目立つだろうか。

まあ調合師のお使いとか思われれば大丈夫か?

それより、どこに売り込もうかな。流石に最初に行ったお店では無理っぽいよなー。

シャルさんに聞いてみよう。


その日は、前日よりもぐっすり休めた。

夢も見た気がするけど忘れた。

何かいい夢だったような気もするけど。



翌朝、朝食後に約束通り炭火焼きの焼き肉の実演をしてみた。

まず炭火だけど、この世界でもあった。

基本、調理には火魔法の魔道具を使うみたいだけど全部を火魔法のコンロを使っていたら魔石代が馬鹿にならないのだろう、一部薪を使っている。

ちなみにお風呂のお湯も薪で沸かした後火魔法で追いだきみたいにしているらしい。

なかなかに効率的な運用だ。


で、石窯も使っているみたいで炭火の遠赤外線効果は理解できているみたいだ。尤もその火力が通常で使えば小さいことも理解している感じ。

陶器の器に炭火を入れて、その上に網の代わりになる様なものを置いて、網が熱くなったところで、薄くスライスして貰った肉を乗せる。

勿論スライスは女将さん達にやって貰った。

俺自身ブロック肉をこんなに器用にスライスするとか無理だしね。

ともかく、女将さん達があきれるぐらい薄くスライスして貰った肉(ホーンラビットの肉と、ボアーの肉、流石にビッグボアーの肉は実験では使えなかった)を焼いて、サニーレタスみたいなシャキシャキの葉っぱに巻いて食べる。

たれは取り敢えず焼き肉のたれだ。

うん旨い。


「どうですか?俺の生まれた国でよく食べてた焼き肉って料理なんですけど。」


「おいしいじゃないか。肉をあんなに薄くしたら肉の旨みが味わえないと思ったけど。」


「専用の器とか作ったらいけそうですね。ただ煙が問題ですけどね。あと火力をもう少し大きくした方がよさそうですね。炭と一緒に小さな薪を入れる感じでいいかもせれませんね。」


「煙は外の席のみで販売するようにすればいいさね。薪については少し工夫をすれば30分ぐらいなら火をキープ出来るだろうね。いろいろ試してみようかね。あとこの料理、熱々の料理を食べれるところもいいね。」


「肉以外に、ピーマンとか、玉ねぎとか、あとレバーとかもおいしいですよ。たれも塩だれとか、あるいは少し辛みのあるたれを作るとか。」


「なるほどね。こいつはいいね。いろいろバリエーションも生まれるね。あらかじめ肉をスライスしておけば準備も簡単だし。値段も手ごろに設定できる。焼くのが面倒ではあるけど、気の合う者同士で食べる時にはいいかもしれないね。」


「女将さん、器をいくつか試作して貰いましょうか。専用の器を作ればうちのオリジナル料理ってことになりますし。」


「いいね。うちにも、もう一つカンバンメニューが欲しかったところだし、ちょいといろいろやってみるかね。ミミさっきから食べてばっかりだけど、あんた朝ごはん食べただろう?」


「これおいしいですよ、女将さん。特にレタスに巻いて食べるところとか、女の子にも受けると思います。」


「ケンタありがとよ。いいことを教えて貰ったね。この料理のレシピはいくらなら譲ってもらえるかね?」


「そんなのいいですよ。俺は知ってることを喋っただけで、実際には料理とかできないですし。俺としてはおいしい料理が食べられたら満足です。」


「そうは言っても、こういうオリジナルっていうのは個人の才能の代金だからね。スキルホルダーならスキルに見合った代金を貰えるところだよ。同じように料理にしても、道具作りにしても専門家はちゃんとした費用を貰うことで自分達の能力を提供している訳だからね。」


「まあその辺りは、俺の職業は冒険者ですし自分の体調を整えるための環境整備ってことでおいしい料理も食べたいですしね。俺がこちらでお世話になっている間、おいしいものを食べさせて下さい。」


「そんなことでいいのかい。よしわかった。シャルが見込んだ子だ。ケンタもうちの子だと思ってしっかり世話をさせて貰うよ。」


「ありがとうございます。じゃあ、冒険者ギルドに行ってきます。」


「ああ、行っといで。お昼は準備で来てるからね。簡単なものだけどシャルと同じものだよ。」


「ありがとうございます。じゃあ行ってきます。」


お弁当を受け取って俺は日向亭を後にした。

後に焼き肉が大ブームになり、焼肉と言えば日向亭と言われるほど元祖焼き肉の名店になっていくんだけどそれはずっとずっと先の話だ。


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