第三十三話『ペットを飼う許可を貰うことにした』
さてさて会議ですがはっきり言おう 、ぱっくり三等分に分かれた 。
一つ目が俺をなぜか崇める集団 、別名妄信者 。 これには一般の平民が多かった 。
これまで信じてきた教会の俺への態度に紛糾して王宮へ乗り込んだ連中だ 。
二つ目が他人の言いなりになるのが癪に触るらしいけど 、ろくな代案もないくせに難癖つけて反対する駄々っ子集団 。
主に高級品である魔道具を使えることが貴族の証明だと信じて 、魔素を消費し続けてきた貴族連中だ 。
もう一つが前述のどちらにも転べる日和見集団 。
裏社会組や時勢を見る術に長けた貴族連中がこれに該当している 。
なんかめんどくさいな 、ろくに方針も決まらずに喚き散らす貴族を見る目が細く鋭くなる 。
段々と嫌気がさしてきたころ 、俺の様子に気が付いた陛下が慌ててギャーギャー言ってる連中の声を遮った 。
「静粛に ! 静粛に ! 皆の意見はわかった ! 儂は一部の貴族が主張する魔素の残量の考察よりも現状はかなり悪いと考えている 。 これ以上魔素の消費は続けてはならないし 、魔素以外で代用が効くものはそちらに切り替える 。 これが私の決断じゃ 。 これ以上自分の利益のための異論は許さん !」
おぉ 、王様断言した 。 ホログラムの他国の王様も頷いてるから了承は得たと思って良さそうだ 。
「王様 、お願いがあります」
「なんだねオキタ殿」
「これから色々とこちらの魔素を増やす策を実行することになると思うのですが 、多分魔素が増えればまた戦争や魔道具に魔素を使い出す連中が出てくると思うんです」
「うむ 、それは否定できんな 。 事実この場にいない国やオキタ殿の意見を無視して暴走するものもいるじゃろう」
俺の意見に苦悶し溜め息を吐きながら王様は同意した 。
目の前に現実として突きつけられなければ正しく現状を痛感できない者もいるのだ 。
いや 、突き付けられても気が付けない者も多い 。
「なので今日この場にいる皆様にはそういった事を起こしそうな方がいたら俺に連絡していただきたいんです 。 俺とタマ様で直接出向き 、協力を求めてきます」
「ブッ ! ゲホッ ! カズナリ殿 !?」
優雅に紅茶を飲んでいたタマ様の名前を出した 、紅茶が気管にでも入ったのか噎せ込み 、涙目になった瞳を驚きに見開いているタマ様 。
もともと平凡なサラリーマンの俺を異世界なんて非現実的な物に巻き込んだんだから 、面倒な事には強制連行しなくちゃね ?
サラリーマンじゃなくてプータローだろうって突っ込みはなしの方向で 。
「増やすのには時間がかかりますが 、減らすのは一瞬です 。 昨日も言いましたがこの世界を存続させたければ 、世界規模での意識改革が必要となります 。 折角の努力を台無しにされるのは嫌いなんです」
「まぁ 、折角積み上げた研究を無にされるのは儂も嫌いですな 。 その時はご一緒しましょうかの」
うん 、タマ様って意外と好戦的なのね 。 直接出向くには陸路よりも空路の方がはやそうですし 、いざとなったら転移の魔法もある 。
魔素を減らせといっている手前 、発案者の俺がバンバン魔素を使うわけにはいかないだろう 。
そんなことをすれば本末転倒も良いところだ 。
「えぇ 、宜しくお願いします」
タマ様とにっこり皆さんに聞こえるように微笑みあうと 、さっきまで煩かった駄々っ子組が青い顔をさらしている 。
「オキタ殿 、タマ・ニャルダよ 。 ほどほどにの ?」
そんなに不安そうな顔しなくても限度はわきまえてますよ王様 。
そう言えばこの世界ってペットを飼う時って飼育の申請とか国や保健所から許可いるんだろうか 、そもそも保健所ってあるのかね 。
「そうだ王様 ! 危なく忘れるところでした 。 ペットを飼うことになったのですが 、飼育届けの許可を頂くとかの手続きはありますでしょうか ?」
「ペット ? とはなんじゃ ?」
「成り行きでこちらの屋敷で犬を飼うことになりまして」
嘘は言ってないよ 、ばかでかい狼だから 。
「そうさな……家畜なら出荷の頭数を国へ報告してもらう必要があるが 、犬は冒険者や狩人も飼育しておる 、それに森にも野犬や山犬がおるから必要ないの」
「良かった 。 娘が喜びます」
「ところで 、野犬の仔でも拾ったのかの ? それとも山犬か ? どちらにしても警戒心が強い生き物じゃ 。 山犬は誇り高いからそうそう懐かんし危険じゃぞ」
「野犬や山犬じゃないですよ 、たしかフェンリルって種類の犬らしいです」
「なっ !? フェンリルじゃと !」
「そんな馬鹿な !」
「どうしてこんな人里近くに !?」
ざわざわとこの場にいる人々が騒ぎ出す 。 うーん 、中には悲鳴をあげて倒れるご婦人もいて会場内混乱中 。
そう言えばフェンリルは国家規模で討伐するって言っていて 、やっぱりフェンリルって珍しい犬なのね 。
「救世主殿……」
黒髪には白髪が混じり 、切り揃えられた前髪を綺麗に撫で付けた紳士が俺に声を掛けてきた 。
ガーネットのような美しく鋭い一対の双眼の紳士は歴戦を潜り抜けてきたような気迫がみなぎっている 。
右目の上に額から頬へと縦に走る傷がひきつり 、更に凄みを増している 。
きっと裏社会に縁のある方なのだろう ……もしこれが地球なら 、俺はこの紳士には絶対近寄らないし 、何かの拍子に出くわしたら回れ右をするだろう 。
フェンリルが現れた事実よりもまるで俺を値踏みするような鋭い視線が無言の圧力をかけとくる 。
眼力の強さに一瞬怯みかけたけど 、なんとか踏みとどまり 、にこやかに対応しする 。
「貴方は ?」
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