第二十六話『お迎えは蛍光ドラゴン……』
ナット 、ナットだよねそれ 。 ボルトの相方でよく建材や色々な物を作るのにお役立ちなにくいやつ 。
「タマ様それください !」
「イヤじゃ ! なぜお主に渡さねばならんのじゃ !」
だよなぁ 。 ナットだけどアーティファクト 、早々簡単には渡してくれないか 。
「タマ様 、その指輪って作れないんですか ?」
くれないならなんとか量産できないものか 。
「作れるものならとっくに量産しとるわい 。 術式は長年の研究で解明されておるがこの金属がなんなのかさっぱりわからん 。 それにこの独特の形状 、内側に刻まれた渦を巻くように同じ幅と深さで彫られた緻密かつ精巧な複雑な溝 ! 作りたくても再現ができなんだ 。 なんと高度な技術が結集されておることか !」
右手を握り締めて力説しているけど 、そうかこちらの技術力では作れなかったのね 。
さすが世界に誇れる技術力 ! 良い仕事しているわ !
「もし 、もしですけど同じ物が手に入れば作れたりします ?」
「なに !? カズナリ殿はこ 、これが手に入るのですか !?」
距離を詰めるなり俺の服を掴みガタガタと揺さぶるタマ様の手を服からはずさせる 。
「タマ様 、落ち着いてください 。 とりあえず製造元を調べたいのでそのナットを貸してください」
「なに 、ナットと申すのかこの指輪は !」
「はい 、ナットです」
指から引き抜かれたナットを受けとると製造元がわかりそうな刻印を探していく 。
側面に刻み込まれた複雑な紋様の中にある見慣れた英数字とアルファベット……一985・m9234〇〇…… 。
後でインターネットで検索をかけてみよう 。胸元から取り出した付箋に書き付けてタマ様にアーティファクトをお返しした 。
「とりあえず調べてみます 。 もし手に入ったらその時は……」
「ああ ! 作ろう ! いくらでも !」
ヨッシャ ! 言質は取ったぞ~ ! 証人はサントスさんだからね 。
タマ様約束忘れんなよ !
「へぇ ! それなら完成した暁には是非とも私に一ついただきたいですな !」
にこやかにタマさまに料理がのった皿を贈呈してサントスさんは自分の望みを告げている 。
「あっ ! それは高級食材のウラウジオ ! ご主人 ! これは !」
ゴクリと唾を飲み込んだのがわかる 。
ウラウジオと呼ばれた全長三十センチ程の魚を前にタマ様が感激の余りに震えている 。
「どうぞどうぞ 、お納めください 。 品が完成した暁には……」
凄い ! タマさまの尻尾か興奮の余りに凄い速さで振られている 。
うむ 、サントスさん……できる !
「わっ 、わかっておる !」
ホクホク顔でウラウジオを空間収納に納めていた 。
「さぁ 、タマ様も呑みましょう ! サントスさん ! タマ様にエールを !」
「あっ 、これはどうも……はっ ! 危うく流されるところだった ! カズナリ殿王城へ戻りますぞ !」
ちっ !
「舌打ち !?」
はぁ 、行きたくないわぁ 。 ひたすら行きたくないわぁ 。
俺の様子に苦笑しながらも 、サントスさんが御褒美を提案してくれた 。
「オキタさん嫌なことは早めに解決するに限りますよ 。 全て解決しましたらオキタ殿にも腕によりをかけたウラウジオ料理を提供させていただきますから」
「はぁ 、サントスがそこまで言うなら仕方がないか……」
「はい 、頑張ってきてくださいね」
にっこりと男前に笑う友の頼みなら仕方がないか 。
「なに ! サントス殿儂は !? 儂にも御褒美を !」
「ほら ! 急ぐんでしょう ? 行きますよ !」
サントスさんにすり寄るバカ猫を引きずりながら蛍光ピンクなドラゴンのどらちゃんの背中にタマ様を連れて乗り込んだ 。
砂塵を巻き上げて一気に上昇するどらちゃんの背中にしがみつく 。
「う~ 、ウラウジオ料理がぁ~ !」
どんだけ好きなんだウラウジオ !




