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第十七話『教会ナウ』

今日は美枝子が一緒ではないため 、天馬馬車を借りる予定だったのだが 、やはりと言うか天馬馬車は王家や一部の高位貴族の特権だった 。


そうだよな 、乗り心地は最高だったからな 。


天馬馬車をセレブが愛用する高級車とするなら 、辻馬車は廃車間近のプスンプスンいってる軽トラだろう 。


田園風景に黒塗りの車体が長い高級車が有ったら悪目立ちもいいところだ 。


辻馬車にはスプリングなんてありはしない 。


ドラゴンなんか移動のための手段にと言うよりジェットコースターだしな 。


悩んだ末に昨日のようなアクシデントに見舞われていては取材がままならないため 、極力目立たないようにこちらの国民が着ている服に着替え済みだ 。


移動は辻馬車にした 。 天馬馬車もドラゴンも目立ちすぎる 。


城下へ行くと告げて目立たない移動の手段に提案されたのが 、辻馬車と乗馬だった 。


正直俺は原付バイクは乗れるが馬は乗るどころか触ったことすらない 。


動物園や牧場なんかで見たことはあるが 、馬の餌だと言って体験型の牧場なんかで売っていた人参をやろうとして唾を吐きかけられてからは一切近寄らなかった 。


あの馬 、美枝子と蛍には自分からすり寄ったくせに思い出しただけで馬刺しにしてやりたくなる……っと脱線したな 。


とりあえずそうなれば辻馬車しか選択肢がなかったわけで 、目的地につく頃には俺のか弱い尻は悲鳴をあげていた 。


剥き出しの轍が目立つ大地は城下の中央に向かうにつれて石畳に変化していったが 、すっかり馬車の車輪の跡が線路のように深く削り取られているようで車輪が溝にぎっちりと嵌り込んでいて横道にそれるなどの動きができないでいる 。


痛む尻と腰を擦りながらなんとか辻馬車から降りて 、料金を聞くと銀貨1枚を要求された 。


出掛けにミアさんから持たされた硬貨が詰まった重い袋からそれっぽい銀色の百円玉に似た硬貨を取り出す 。


正直こちらの通貨の価値がわからないが 、とりあえず言われたままに銀貨を手渡すと辻馬車の持ち主が急に愛想が良くなった 。


あとでミアさんに通貨を確認したらこんな具合だった 。


鉄貨(十円)十枚で銅貨(百円) 、銅貨が五十枚で大銅貨(五千円) 、銅貨が百枚で銀貨(一万円) 、銀貨が五十枚で大銀貨(五十万円) 、銀貨百枚で金貨(百万円) 、金貨が十枚で大金貨千万円) 。


日本円感覚でこの城下の運賃は大銅貨一十枚程だそうだ 。


一般的な月間収入の一


しかし自転車は嵩張るなぁ 、よくテンプレなファンタジーにある 、魔法で質量の法則やら腐敗の法則をガン無視できる便利な収納はないものか……


いやタマ様ならきっと隠し持っているかも知れない !


懐からスマートフォンを取り出してメモ帳アプリを起動して欲しいものリストに入力しておく 。


いつもなら迷惑メールやメルマガが来ているはずだが今日は一件も来ていない 。


圏外を示すように電波を示すマークにはバツ印がついていた 。


目的地まで少し距離があるために街並みや店舗等の写真をバシャバシャと撮っていく 。


見たことがない野菜や何の肉かわからない肉が並ぶ通りを抜けると 、昨日訪れる予定だった教会が見えてきた 。


白い壁の大きな建物で小さな窓には鉄格子が嵌め込まれている 。


簡素で飾り気のない木製の扉を開くと 、数十脚に及ぶ長椅子が並べられ 、入り口の正面から奥に向かって真っ直ぐ敷き詰められた赤い絨毯の光景を次々と写真に収めながら 、少しづつ祭壇へと進んでいく 。


よく見れば天井にも壁画が描かれていて 、竜や 、天馬 、色々な魔物らしき絵と 、それに抗う人や獣人 、竜人など様々な人物 、神様っぽい人なんかも神々しく描かれている 。


「すみません 。 私はこのシスラ教会で助祭を勤めているモラと申します 。 失礼ですが本日はどういったご用件でしょうか ?」


バシャバシャと天井をカメラに収めていると 、後ろから現れた関係者らしい女性に声をかけられた 。


まぁ 、変な人が変な機械をもって彷徨いてたら警戒するわな 。


俺だって職質かけるわ 。


「はじめましてモラ助祭様 、私はカズナリ・オキタと申します 。 本来なら昨日お伺いできず申し訳ありませんでした」


ペコリと頭を下げて 、懐の名刺入れから一枚取り出して手渡した 。


実はこちらの言葉でかかれた名刺をアクセサリのペイントをフル活用で作成して持ってきたのだ 。


しかも我が家の家族写真付き 。


渋々と受け取った名刺に視線を走らせると顔色を変えて写真と俺の顔を何度も見比べている 。


「えっ 、きゅ 、救世主様 !? す 、少しだけお待ちいただけますか !? すぐに上のものを呼んで参りますので !」


「いや 、お気になさらず……って行っちゃったよ」


慌て出したモラ助祭様は俺の話も聞かずに教会の奥へと走って消えていった 。

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