表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/54

嫁最強?

 さてさて久しぶりの美枝子と二人の星空デート夜会を終えての連休二日目の本日は現地の人に案内を頼んで今後のお仕事に使えそうな建築物や観光名所巡りをする予定だ。


 なんにしても現地の情報は必須だし、スポンサーである美枝子がゴーサインを出さなければ即破綻してしまう。


 初期費用は美枝子様が握っているのだ。 何としてもこのプレゼンテーションは成功させなければならない。


 前職場でもプレゼンテーションは有ったが、相手が身内だと緊張感が段違いだ。


 無職の旦那を抱える主婦の財布の紐は、鋼鉄やダイヤモンドよりも堅い。


 自然と緊張に力む手を振り払いその場で硬くなった身体を伸ばす。


 今日の服装はシンプルな黒のスラックスとお気に入りの蛇柄ベルト、上は迷ったが結婚式も見学させて貰えるようなので水色のワイシャツだ。


 参列者の盛装は貴族でもなければ問われることはないらしいので無難にこんなところだろう。


 美枝子も水色のサマーセーターと白いロングスカートで清楚に決めている。


 昨日の陽射し発言の対策か、つばの広い帽子を被っている。


「今日は昼から町外れの教会で二組の結婚式がありますので、そちらを回ります。 移動には王家の馬車を用意してあります。」


「まぁ! 馬車に乗れるの? 昨日の天馬も素敵だったけど、一度馬車にも乗ってみたかったの!」


 馬車ですか。 消炎鎮痛シップを二枚貼ってようやく腰痛が和らいだのに、またもや再発の危機。 


 しかし本日のスポンサーは馬車に興味深々なご様子。


「馬車に大量に厚めのクッションを入れておいてくれ」


 タマ様の執事をしているらしい竜人のリアム殿に希望を伝えると快く了承してくれた。


 リアム殿は水竜の血を受けた竜人で見た目年齢は俺と変わらないが、二倍は生きているらしい。


 竜人は成長が緩やかな種族らしく、成人になるためには四十年かかるらしい。


 受け継いだ竜の血によって多少成長速度は左右されるものの、人族よりも頑丈な肉体を持つものが多い。


 リアム殿は水竜の色である水色の髪を短く切り揃え、後ろへと流している。


隙無く着こなされた執事っぽい服装や仕草は様になっており、男の色香を感じさせる渋さがある。


 俺ですらその所作の見惚れそうなのだ。

 

 だから美枝子がリアム殿を格好いいと言っても責められない!


「くぅ、リアム殿! 俺にもその色男っぷりをわけてください!」


「オキタ様は十分に魅力的で御座いますよ? 先日の演説も大変素晴らしくオキタ様の話題で王都のみでなく世界中が湧いております」


「はい? 世界中ですか?」


「はい。 救世主様、オキタ様の演説は魔法で世界中継されましたので」


 なぁにぃ!? 魔法があるのは知ってたけどそんなこともできるの!? 凄いな魔法! 是非とも使ってみたいな魔法! うん? 魔法……魔素!


「ちょっと! 何大事な魔素使っちゃってるんですか!」

 

 只でさえ不足しちゃってるのに! よりにもよってわざわざあんなみっともない挨拶を世界中継しちゃってるんですか!?


 うがぁ~! 恥ずかしすぎる、よもやこの年で取り返しがつかない黒歴史を作ることになろうとは。


「ご安心下さい! 世界の魔素は使用しておりませんので。 ただ、タマ様が大切にちょろまかしていた高価な魔石を数個使用しましたが」


「それなら良かったです」


 ほっと胸を撫で下ろす。


「良くないわ! 儂のコレクションが、コレクションがぁぁぁぁ!」


「うわっ! ビックリした! 一体いつから居たんですかタマ様。 ソロソロ生活習慣病やら何やらを気にする御年頃なんですから驚かさないで下さいよ」


 何時の間に現れたのかさめざめと泣く巨乳の三毛猫獣人にクレームをつけると、キッ! とこちらを睨み上げてきた。


「セイカツシュウカンビョウが何かは知らんがあれは、あの魔石を手に入れるのに儂がどれ程苦労したとおもっておるのじゃ~!」


 泣きながら四つん這いで床を叩く肉感美女。


「あら? そちらの方はどなた?」


 先程まで初めての馬車に興味深々でパシャパシャとスマートフォンを連写していた美枝子が寒々しい笑顔で後ろに立っていた。


「みっ、美枝子さん」


「なぜ女性をなかせてるのかしら? しかも地べたに土下座させるなんて! 貴方がそんな人だったなんて思わなかった!」


「まっ、待ってくれ! 誤解だ!」


「問答無用!」


 美枝子の右手が勢いよく俺の左頬に触れると同時に気が付けば煉瓦の壁に吸い込まれて意識を刈り取られていた。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ