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第十三話『星空デート』

さて夜会中は常に国王陛下と一緒に行動したわけですけどもね 、貴族が次から次へと押し寄せる 。


中には隣の国の国王様や国教の双太陽神教とやらの教皇様なんかもいた 。


皆様ドラゴンに乗ってきたらしい 、ドラゴン速いなぁ 。 


大型の飛行機とドラゴン 、どちらが速いのだろう 。


ドラゴンにも種族があってそれにより速度は違うらしい 。


俺がこの世界に来てからまだ数日しかたっていないのに 、もう異世界人は有名になっているらしくわざわざ挨拶にきてくれたのだ 。


うん 、お偉いさん大集合だ 、こうもぽんぽん出てくるとありがたみも薄れるから不思議だ 。


ちなみに国王様達や教皇様は世界の現状を重く受け止めており協力は惜しまないとのこと 。


早速この世界の教会や洋館 、観光地やグローリアの一般的な結婚式を見学させてもらう約束を取り付けた 。


幸い明日 、貴族が王都教会で式を上げるらしくそれを見学に行くことになった 。


どうやら祝辞を述べなくてはいけないようだが 、まぁ 、手袋の話でもしよう ……うん 、なんとかなるだろう 。


来賓の皆様はなぜか年頃の子息を引き連れてやって来ては 、蛍との縁組みを匂わせてくる 。


誰がやるか ! 


蛍十五歳 、まだ早い ! 


この世界での成人が十五歳だったとしても日本は二十歳が成人だ !


そもそも 、俺たち異世界人のもたらす利益を狙っているのが見え見えな家に嫁がせてなるものか 。


もし 、仮に蛍が嫁ぐにしても 、婿を貰うにしても蛍を幸せにできない男など言語道断 。


俺が婚約に乗り気でないのを見るや令息たちは直接蛍を口説くことにしたようで 、ものの見事に取り囲まれている 。


さながら逆ハーレムの様子を呈してきた集団を王太子殿下が必死に蹴散らしている 。


頑張れ王太子 ! 良くやった ! でも娘はやらん 。


「一通りの挨拶はこんなものだ 。 あとは下位貴族から順番に帰っていくな 。 オキタ殿の一家は宰相に次ぐ地位じゃからゆっくりと楽しんでくれ」


「はい 、わかりました 。 美枝子 、庭園にでも行ってみないかい ? あのテラスの向こう側なんだけど……」


「えぇ 、行きましょうか 。 そう言えば蛍はどこに行ったのかしら ?」


人で溢れる会場内はクリスマスシーズンの街路樹を大量の電球で飾り立てたイベント通り並み 、もしくはお盆休み前に行われる色鮮やかな薬玉にひたすら長い吹き流しを付けたものを飾る祭り並みの混雑を見せている 。


世話しなく人と人の隙間を縫ってやって来たウェイターに持っていた赤ワインの入ったグラスを渡す 。


正直赤ワインは口に合わない 。 と言うか何が良いのかわからない 。 できることならキンキンに冷えた生ビールが欲しい 。


辺りに視線を走らせたものの 、蛍を見つけられない 。 どこいった ?


「さっきまでドミニク殿下と居た筈だからきっと大丈夫だよ」


「一成さん 、そんなに眉間に皺を寄せていたら余裕発言が台無しだわ」


クスクスと笑う美枝子と外へ出れば 、夜空には宝石箱をひっくり返した様に星が瞬いていた 。


「わぁ ! 綺麗ねぇ……こんな綺麗な星空見たことがない 。 都市部の夜景も綺麗だったけど全然違うのね」


うん 。 気に入って頂けたようだ 。


「魔素の枯渇が進むとその影響で星が綺麗に見えるけど 、その影響で昼間は陽射しが強くなるから日に焼けやすいみたいだよ」


日本の都市部は特に高層ビルの関係上排ガスと魔素が滞留しやすいらしく 、星が見えにくいらしい 。


魔素は元々高地よりも平野に溜まりやすい 。本来魔素不足による状態異常は高い山などの魔素の濃度が極端に薄い場所へ移動した時などに多いのだ 。


魔素が豊富だった時には人目を避けて高地を縄張りにしていたドラゴン等の種が 、この数十年で人里近くまで降りてきたのもこの魔素が不足したために起こった変化だ 。


突然山を降りてきたそれらの種族に対して人型の種族は、領土を侵犯されたとバンバン魔素を消費したから魔素不足が深刻なまでに進んでしまった 。


今では空を飛べる高度も限られてしまっている 。高い山などは飛行では魔素濃度が低すぎて飛行できないのだそうだ 。


魔素不足の状態が続くと生物にはさまざまな症状が現れるらしい 。


主な症状は頭痛 、吐き気 、嘔吐(おうと)眠気めまいがあるようで 、他に顔や手足のむくみ 、眠気(ねむけ)やあくびなどの睡眠障害 、運動失調 、低圧と消化器官の機能低下からくる放屁(ほうひ)などが現れることもあるそうな 。


重症化すると死に至る事もあるそうだ 。なにそれ怖い 。


異世界人は内包する体内の魔素濃度が高いので普通に生活する分にはグローリアでもそうそう枯渇する心配はないそうだ 。


「日焼けは嫌ね 、皺が増えるのは嫌だわ」


「俺たちは持ってる魔素の量が多いからこちらでの生活で人体に影響は出にくいみたいだけどね」


「あら 、そうなの ?ならよかった」


ほっと 、安心した様子で夜会を楽しむ美枝子と今後の話し合いを行いながら 、煌めく星空を堪能した 。

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