表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/29

第二十四話 レプスレポート3

この物語は、倉庫娘のサモナー道中記 本編 第百九話のサイドストーリーになります。

先に本編 第百九話をお読みになりますと、よりお楽しみ頂けるかと思います。

 ご無沙汰しております。レプスです。


 この頃、住んでいる森で人間を良く見かけます。


 闘いの訓練をしているみたいで、大勢の人間が1度に森の中へとやって来るのですが、それが騒がしくて困ります。


 人間の声は、特に耳につくので。森に住む私たちの迷惑も考えて欲しいものです。


 声と言えば最近、少しだけど主人たちの言っている事が解る様になってきました。


 主人の言っている事は、言葉は解らなくても、不思議と頭の中にイメージが広がって理解出来るのですが。主人の仲間たちの言葉は難解で、私には理解出来ませんでした。


 何て言うか、音に繊細(せんさい)さが無いって言うか……。とにかく、雑音みたいで解りにくいのです。


 だけど、やっと、少しだけですが解って来たのです。


 私の分析によると、『くん』は男性に。『ちゃん』は女性に対して使っている言葉だと理解しました。『さん』は……まだ、良く解りません。


 これにより、偉そうな人間『アルバート』と弱そうなエルフ『ニードルス』は男性。

 主人より小さい『ジーナ』と、アルバートと似た匂いだけど『カーソン』は女性だと解ります。


 ですが、ここで解らない事が出て来ます。


 私の後輩、ハーピィの『フリッカ』は何となく女性で解るのですが、あの、どうやっても石にしか見えない『ゴーレム』も女性と言う事になるのです。


 そして、この私、レプスは『くん』であるため、男性と言う事になってしまうのです!!


 これは一体、どうした事なのでしょう??


 私だってそろそろ、素敵な殿方(とのがた)と恋の1つもして良い年頃なのに。


 ……何だか、自分に自信が無くなりそうです。


 でも、落ち込んでいる時程、お仕事が(はかど)ったりする物です。


 今、私は主人に()ばれて不思議な森に来ております。


 何が不思議かって、森全体が力にみなぎっているみたいな。

 生えている草や実は、どれも色鮮やかでとても美味しそうです。


 更に、その森に暮らす動物たちは、私の知っている大きさを(はる)かに超えているのです。


 その理由は、すぐに解りました。


 驚く事に、この森にはユニコーンが暮らしていたのです!!


 おばあちゃんたちの子守唄や寝物語(ねものがたり)に、ほんの少しだけ出て来た事があったけど。

 本物は、すごく綺麗で。とても言葉では言い現せない程でした。


 しかも私、ユニコーンの背中に乗せてもらったのです!!


 背の高い草の間を、私が跳ねているのを見たユニコーンは、私に優しくこう言ってくれました。


「さあ、乙女よ。私の背に乗りなさい」


 私の頭に響いた声は、主人の品の無い声とは比べ物にならない程に優美(ゆうび)でした。


 だけど、私の胸は別の事にときめいていました。


 〝乙女よ〟


 ユニコーンは、私を『女性』として見てくれたのです!


 ユニコーンの背中での一時(ひととき)は、とても幸せでした。


 マディと名乗ったユニ……ううん、彼は、私の丸い瞳や毛並みをとても綺麗だと言ってくれました。

 美しい角で、私の頭を優しく撫でてくれました。


 夢の様な時間は、長くはなかったけど。

 背中から降りた時、彼の匂いが残っていました。


 お父さん、お母さん。そして、弟たち。


 もしかしたらお姉ちゃんは、この森で暮らす事になるかも知れません。

 でも、今の私では、幻獣(げんじゅう)の彼に遠く及ばなくて……。


 だから私、立派なボーパル・バニーになって見せます!!

 その(あかつき)には、1度、故郷に彼を連れて帰りたいと思います。


 その日が来るまで、私、どんなに辛くても、主人の元で頑張ろうと思いました。


 こんな親不孝な娘を、どうか許してください。

 耳の後ろの毛を撫でる風に、この想いを秘かに(たく)して。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ