第1話
ほんの一瞬の出来事だった。
僕の脇腹に槍が突き刺さったと分かるまで時間は掛からなかった。
始まりはあの夜。
僕は同僚の健人と飲みに出かけていた。
健人と分かれた僕は飲み直すために駅から離れた静かなバーに入った。
カウンターに座った僕の2席右に、1人寂しそうに飲んでいる女性がいた。
僕は少し酔っていたせいか気が大きくなり、女性の料金も払って帰路についた。
次の日、二日酔いの僕は半分寝ぼけながら電車に乗った。会社の2つ前の駅で女性が乗ってきた。僕は目を疑った。昨日のバーで見た、あの女だったからだ。案の定、声を掛けてきた。
「昨日はどうしてあんな、、、。」」
僕は恥ずかしくなり、うつむいた
「お礼をさせてください。」
しつこい女だ。きっぱり断ろうとした僕は、初めて女の顔をちゃんと見た。
正直自分でもびっくりした。
雷が落ちたかのような衝撃を受けたのだ。全てが僕の理想のような女性だった。
僕はすぐに
「お言葉に甘えて」
と言い、会社に電話を入れ、彼女の家に行っていた。自分でも信じられなかった。僕は生まれてから30年間一度も女性と交わったことはない。学生時代も女子と一度も喋らず、チェリーボーイと呼ばれていた。
そんな僕なのにすぐに家に行ってしまった。どうかしている。人間の恐ろしさを知った。
僕はそうするしかないかのように唇を合わせ激しく服を脱がした。豊満な乳房はツンと上を向いていて、乳首はなぜか勃っていた。事をすませた僕は彼女に自己紹介をすることなく家を後にした。
今思えば、欲情のまま行動をとった僕がバカだったのだけれど、こんな事になるなんて、誰が想像できただろう。




