オープニング 5 運命という名の必然 その1
筆談表記だと流れが悪くなる為ここから会話風になりますがまだ筆談です。
「やっぱりここは日本なのね?」そう私が聞くと
「そうだよ」と彼は答えた。
いくつかやり取りしてここが私の前世に良く似た世界ではなく、私の元居た日本だと知れた。
ただこの男は私達がここに来た経緯や所属や国の話をしたら「有り得ない…いや…ひょっとして…」とかブツブツ独り言を言い出した。
思慮深い所に落ちてくれたおかげで僅かな大気の衝撃で済んでいるが、その内容はとても衝撃的なものだった...
(『クランディアと呼ばれている世界から来たクランヴェール公国軍のセシル=クランドール大佐です』と彼女は言った...だがそれは...)
「…今書いてる僕の小説そのままじゃないか…」
「夢…(ギュっ)痛いな…なら書いたものが現実に?って小さい理由は…?」
「ひょっとして...夢をヒントに書き出したけど...彼女の居た世界の情景がこちらに流れていて夢という形で認識していた...?」
ふと我に返りルーペを覗くと…彼女は驚愕の表情を浮かべていた。
…どうやら声に出ていたようだ…
「取りあえず休憩しないか?昼食を取りたい」
そう筆談で呼び掛けると「先程のような小声なら筆談でなくとも良い」
と言われ小声で「分かった」と返事をしたら…
「衝撃!口を覆って!!」
と凄い形相で言われた…解せぬ…
「休憩に入ります。幸い時差はあまり無いようですね。各自昼食を取ってください。私は試したい事があるので少し席を外します」
私がそう言うなりクレアがアレコレ聞いてきた。皆はいつものようにクレアに質問役を任せたようだ。
「今憶測で話すのもなんだから私が戻って来るまで待ってくれる?」
そう言われてクレアは不満げに「はぁ〜い‥」と返事をしながら唇を尖らせた。
「皆私がこの世界のこと、多少知ってる事はまだ口外しないでね。特にクレア」
そう釘を刺すと前科持ちの彼女は「分かってますよぅ..」と小さく返事をした。




