1章 13 発覚
「シャ〜ボン玉、飛〜んだ!」続きはコチラです♪
三歳と入れ替わり早速片付けを始める...始めるつもりだが...
「美味しそう...」
まだ数日も経ってないが、軍用食は兎に角不味い。
「一口だけ...」
そう思いながら、口紅跡の無い方が三歳の食べ残しだろうと当たりを付け一口...
「美味しいぃ〜♪」
冷めているが作戦行動中で冷や飯に慣れた私にとって、そんな事は弊害にならない。
食事に夢中になった私は、この時背後に忍び寄る沙織に気付けなかった。
「...おしっこ...」
飲みすぎて膀胱がパンパンな事に気付いた沙織はトイレに行こうとし
(ここ、みっくんのお家だった)
そんな事を思い出しながらリビングを抜けようと寝室から出ると
「みっくん凄いモリモリ食べてる」
そんなみっくんが可愛くて、後ろからギュッと抱きしめようとすると
「んにゃあ?!」「へぶっ!?」
みっくんが振り向き真正面からぶつかった。
「ビーフシチュー味のキス...しかも痛い...」
私が口を抑え擦っていると、みっくんが私を
「沙織?」
呼び捨てにした。だが...
「耕にぃ...?」
この時自分の口から出た言葉が、有り得ないのに真実だと...私は何故か疑わなかった。
『耕にぃ』と私が呼んだ瞬間...
みっくんの私を見つめる眼がそう物語っているからだ。
背後に人の気配がする!
セシルの身体じゃないせいでこの距離まで気付けなかったと思うと同時に、相手は敵じゃないと思い直す...が
「へぶっ!?」「んにゃあ?!」
よりによって口同士がぶつかった。痛いと思うより女性でありながら『へぶっ』って...
元男性の私ですら咄嗟に出た声が『んにゃあ』...まぁ三歳の身体だから、私も言う程可愛くは無かったか...そんな風に感じていたら
「ビーフシチュー味のキス...しかも痛い...」
間抜けな事を言うやつだと思い目線を上げるとそこに居たのは
僕の知ってる義妹よりかなり老けた...
「沙織?」
だった。
沙織?自分で言っておきながら、なぜ眼の前の女性を知っているのか分からないのに覚えてた。
「耕にぃ...?」
義妹に耕にぃと呼ばれた瞬間...
自分の名前が【御厨 耕助】である事を思い出した。
そして同時に目の前にいる沙織が僕の知ってる沙織と同一人物だと理解した。
何故なら沙織の目が、「耕にぃ」と呼んだ後の僕を見る瞳が
前世で僕が見ていた眼と同じだからだ。
だが感慨に更ける間もなく、僕は強烈な目眩と頭痛に襲われた。
「耕にぃ!!」
沙織が僕の肩を抑えてから、膝を付きそっと支え...ようとしたにも関わらず勢いよく椅子に押し込み!
「おしっこ!!!」
トイレに駆け込んだ。
「何だよそれ...」と思うと同時に「沙織らしい」と微笑ましく思いながら、頭痛が治まるのを待つ事にした。
ガッチャ...バタン!!「耕にぃ〜〜〜!!!」
相変わらずやかましい義妹だと微笑ましく思いながら沙織を見た僕は
「パンツを履きなさい!寝間着のズボンも!!って何でずり下がったまま動けるの?!」
毎度の事ながらお転婆なままの沙織を窘める。
以前の沙織なら(見ないで!)と言って僕が後ろを向いてから履いたろうに...
眼の前に居る沙織は三歳の顔をガン見しながら履いている。
「年とって恥じらいを捨てたのか?」
少し呆れつつ、僕の方が顔を手で覆いながらテーブルの方に行こうとすると
「行かんといてぇ〜…」
背後から抱きつかれる。その時、寝間着がずり落ち...
「あんま魅力的じゃないな」
「言わんといて!!」
僕の言いたい事を理解した沙織が突き飛ばしてきた!
「危なっ!」何とかバランスを取り振り返りながら、ふと気になった事を聞く。
「沙織?(トイレの水)流した?」
.........しばらくの沈黙の後
「...テへッ♪」
小首を傾げながら言う三歳の義姉に
「もう可愛くない」
「辛辣ぅぅ...」
沙織は崩れ落ちながら四つん這いになった。
「取り敢えずお尻隠してトイレ流して来なさい。終わったらテーブル片付けて洗い物するわよ」
三歳の言葉に義姉は怪訝な顔をしながら
「なんで急にオネエ言葉なの?」
沙織の言葉に振り返った私は、ある事に気付き独白する。
「(人格が)戻ってる?」「アンタ誰?!」
互いの瞳を見ながら私たちは...
「「ぎゃいぎゃいぎゃいぎゃいぎゃいぎゃいぎゃいぎゃいぎゃいぎゃい!!!」」
状況を整理するのに軽く30分以上費やした。
「そんな事有り得んの?」
三歳の義姉がぶっきらぼうに聞いてくる。
「信じないの?眼の前に!こうして私が居るのに?」
やや強めに私が言うと
「三歳の身体で気持ち悪い話し方やめてぇな!?」
「そんなん言われてもしゃーないやん!私は私やモン!!」
ガクッ!
沙織の言葉に私が答えると
「アカン...完全に他人やわ...」
ズッコケながら沙織がゴチた。
「当たり前よ!私はクランヴェール公国第8空艇騎士団所属、魔導強襲戦艇艇長セシル=クランドール大佐です!!」
公国式の礼をしながら私が名乗ると
「ちょっとカッコいいじゃない...みっくんじゃないアンタを見てみたくなったわ」
「...フンッ!公爵令嬢でもある私に、平民風情が身を弁えなさい!」
生意気な沙織に私は悪態を吐くと
「...ほんと嫌な女...ねぇ?本当に、耕にぃに代われないの?」
真剣な沙織の言葉に私は...
「ごめんなさい...記憶はハッキリ思い出したんだけどね、私は私なのよ」
少し涙ぐみながら答える私に、沙織も少し涙ぐみながら
「分かったわ。ねぇ?それよりお願いがあるんだけど...」
そう言って沙織が切り出したお願いに私は...
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
皆様「涙活」出来ましたか?
楽しんで泣いて頂けていれば嬉しいです♪




