1章 10 続・知らぬが仏
今日から週1話更新になります。
活動報告でも触れましたがコメント無くてもブックマークして頂けたらモチベ上がるので嬉しいです♪
「永峯さん、ここまで歩きで来たの?」
先程義姉の買物籠を持ってた時点で予測は出来ていたが、駐車場まで着いてきたのでそう聞くと
「お姉ちゃんでしょ〜!さっき姉さんって呼んだじゃない!!」
と言ってきた。ここで年齢的に(姉弟より母息子の方がシックリくる)なんて言ったらどうなるか位は弁えてるので電車で来たのだろうと当たりを付け、チラッと義姉を見ながら後部座席のドアを開けると
「ふ〜ん…助手席に座らせないんだ。こんな年増、恥ずかしくて...「違うって!!」」
どうしてそうなったか分からないが半泣きの義姉の言葉を遮り
「助手席に座ったらソレ!膝の上に置くでしょ!」
と言って【缶ビールやチューハイの入ったビニール袋】を指さした。
「だから何よぅ、私の顔、チラッと見てから(後部座席のドア)開けたもん!」
更に涙目になりながらスライドドアを指差す義姉に
「膝の上に置いたら冷たいよ。スカートも濡れちゃうから...ね?」
俺の言葉に義姉は後部座席の後ろの水槽に目を付け
「じゃあこうする〜」
と言って後部座席を乗り越えてビニール袋を水槽に入れ、そのまま降りずに跨いで助手席に座った。
(いい年齢してなんでこんなにお転婆なんだよ)
そう思いながら運転席側に回りドアを開け座ると、義姉の両手が俺の両頬に伸びてきて
「お転婆はともかく『いい年齢して』は聞き捨てならへ〜〜ん!!!」
つねりながら揺さぶってきた!!!
「やっぱりあの視線は年増やて!恥ずいて思てたんやんかぁ〜〜!!」
「ごべぇんで、ゆぶじで、ねえはん、いま、この、じょぶだいが、はどぅかじいで!!」
声に出していた事を反省するより、今は頬より周りの視線が痛いのがキツイ!早く正気に戻ってくれーーー…
駐車場に着き後部扉を開け、折畳式運搬台車に水槽等全部乗せてエレベーター前に移動し釦を押す。
『セシル、聴こえるか?』
返事がないので再度強めに念じる。
『セシル!緊急事態だ!聴こえるか?!』
『何!?どうしたの?!』
『義姉が宿泊しにきた!断れなかった。スマン』
セシルの声を聞いた瞬間手短に伝わりやすいよう感情を込めて言ってみたが
『分かった。リアに手伝ってもらうわ』
怖い程伝わった。また道具扱いだとリアに怒られそうだが、セシル相手だと絶対義姉に怪しまれる。
「・・・聞いてる〜?みっくん!」
呼ばれた方を見るとエレベーターに乗って義姉が延長釦を押して待っていた。
慌てて乗り込みながら「ごめん」と言うと
「お姉ちゃんこそゴメンね」
といって俺の頬を擦ってきた。
触られると痛いので「大丈夫だから」と言って義姉の両手首を掴み降ろす。
エレベーターの扉が開いたので台車を押して自宅へと向かうと
『(思考を)読めばええんじゃろ』
とむくれっ面になってるっぽいリアが不貞腐れてるのが想像出来た。同時に謝罪の意を送るが
『今は自分の事に集中せい』
と返事がきたので気持ちを切り替える。
「永...姉さん、ちょっとだけ家の中入るの待ってもらえる?」
「お宝探しして良いなら待つよ♪」
「了解」キィ…バタン!
「(イマドキの子ってつまんなぁ〜い!)」
義姉の推理に驚愕しつつ船艇の在る場所に向かうと
『デジタルコンテンツのぅ』
リアの言葉に疑問を持ったセシルが状況確認し(しなくて良いのに)
『便利になったわねぇ...』
と共感する。
「頼むから...掘り下げないでくれ」
そう言いつつ俺は作業を進める。船艇を防振グッズに乗せ防音室に入れ扉を閉める。
水槽と防音グッズをとりあえず片付けた所に仮置きし義姉を招き入れると
「つまんなぁ〜い」と言いつつも「ただいま〜」と言って入ってきたので
「なんで『ただいま』なの?」
と聞くと「みっくんと結婚したらそう言うかな?って♪」
余りに恐ろしい事を言うので思わず
「そんな事したらすみ姉が義妹にもなって訳わからなくなりますよ!」
「すみちゃんの事『すみ姉』って呼ぶんやったら、ウチかて『さお姉』って呼んだってええやんかぁー!!」
俺の当然のツッコミに理不尽な泣き切れかます義姉に辟易してると横槍が...
『もう少し優しくしなさいよ』
セシルは俺と義姉の年齢差を知らないからそんな事言えるんだよ。
(ああもうめんどくせぇー)
そんな事をおもいながら義姉から目を離し、冷蔵庫に食材や飲み物を入れていると
『う...ウヒぃ!』(ウヒ?)
何事かと思ったら...リアのヤツ思いっきりウケてやがる!
『三歳...リアが...お腹抱えて引き攣り笑い起こしてるんだけど...』
『落ち着いてから(リアに)聞いてくれ...あとセシルにも感情は伝わってるだろ?コッチ集中するからまた後で、な?』
そう言って俺は意識を義姉に集中させた。
三歳から色々な感情は流れてくるが...リアがコレではどうにもならないのでクレアの元に戻り作業を再開した。
「もう良いのですか?」
聞いてきたクレアに「リアだけで十分よ」と言って酸素計に眼を凝らす。
クレアがリアの方を見て「なんか...苦しんでません?」と聞いてきたが
「笑ってるだけだから気にしないで」と言うと
「笑って!?バカウケしてるんですかぁ...?」
と言ったクレアが
「アレ...多分筋肉痛になりますよ」
と言ってきたので私はクレアに三歳の感情を伝える。
「なるでしょうね。三歳はずっと困ったり呆れたりしてるみたいだけどね」
「そうなんですか?リア様は相変わらずですから良い気味かもしれませんね」
リア...ご愁傷さま...
腹を抱えてるリアを見ながら、私は三歳の感情を気にしつつ作業を続けた。
取り敢えず義姉を無視して夕食作りに取り掛かる。献立はビーフシチューだ。コレなら朝飯は軽くパンを付け合わせ昼食に温めて食べ、夕食まで残りそうならオムライスにかけて食べても美味い。
肉を炒め野菜を切って鍋にブチ込み煮込んでる間にサラダ用にレタスを千切っていると
『「みっくんて良い奥さんになれるねぇ」』
「二人して同じボケかまさないでくれ!」
視界が歪むのを感じセシルに念話しようとしたタイミングで同じボケかまされ、思った事がそのまま口に出てしまった。
「二人?」当然の義姉の質問に
「自分もそう思ってたから思わずそう言ってしまったんだよ」
と苦しい言い訳をしながらトマトを櫛切りにする。
「そ言事ねぇ〜♪」
天然な義姉は予想通りの答えを返してきたが...セシルは爆笑しているようだ。
『お腹抱えて笑ってたら、お嬢様も明日筋肉痛ですよ〜』
セシルが気になりあちらに気が向いたからだろう。クレアが心配して、声をかけ目を細くしているのを感じた。
上がった二酸化炭素濃度を下げる為、酸素濃度を上げる作業をしています。
クランディアに計測器はありますが自動制御装置のような物は無い為、定められた値に合わせ続けるみたいな物はありません。




