1章 8 Vチューバーになる?
『誰と話しておるのじゃ?』『ちょっとリア!?今は駄目よ!』
突然頭と心に声が響いたが今回はリアに言われた通り頭のモヤモヤを感じ取れた為、慌てず対応出来た。
「...と言う感じで投稿しましたので校正、校閲が無事に終わる事を祈りつつ次巻の発売が決まりましたらこのチャンネルでお知らせしたいと思います♪それではまた来週のこの時間に会いましょう♪みんなまたね〜♪バイバイ〜」
「ふぅ〜」
配信を切り一息ついてると
『三歳ってひょっとして『なんで声...いや防音室じゃと!?』狸獣人と話せる?!』
「二人して煩い!一人づつ話せ!!あとあんな有名人会う機会無いわ!」
俺の反論に二人揃って沈黙するが俺とセシルの思考を読めるリアが譲る。
『お主が話せ。我は読み続ける故、気にするでない』
リアの言葉を受け『分かったわ』とセシルが返事する...が
思わず「毎回思うんだが俺に会話の優先権は無いのか?」
意図せずこぼしてしまった。
『それもそうね。何か言いたい事ある?』とセシルに言われ
(何もねぇな)
と脳裏によぎった瞬間『難儀な奴等よのぅ』とリアに言われた。
『...リア?』セシルが圧をかけるが
『...(やれやれ)...』とリアも受け流す。
俺も含めて不毛なやり取りに終止符を打つべく
「すまん。何となく思った事が口に出ただけだ。今聞きたい事は特に無いからそっちが聞いてくれ」
と二人に水を向けた。
『それなら遠慮なく...』
そう言って話し出したセシルの質問に俺は可能な限り答えていった。
「へぇ〜インターネットってそこまで進化したのね。私が日本に居た時はオタクの溜まり場で、世間に知れたら後ろ指差されるから絶対バレないようにしなきゃいけないって思ってたわ」
『まぁ今でもそんな気質のヤツは居るが大抵は気にしてないぞ』
私が感嘆の思いで言った言葉に三歳は気軽に答えた。
「ねぇ?『マジか!?』まだ何も言ってないわよ!」
私も配信やりたいと言おうとしたら三歳のヤツ...
「...どんどん分かりみが深くなるのぅ♪」
「は?」『まじかぁ?!』
リアの言葉に???となった私をヨソに三歳は驚きながらも呆れているようだ。
「石上よ、我がセシルをサポートすればガチ恋もてぇてぇもイケるぞぇ♪」
リアの謎の言葉に三歳は『まぁ〜じかぁ〜〜リアさんよ〜〜〜〜〜ぅ…』
頭を抱えたようだが...ん?...さっきリアはサポートって言った?
「リア?あなたどこまで三歳(の中)を覗いたの?!」
私の怒気にリアは落ち着いて言葉を返そうとしている。
「心配するでない。お主が今のネットの在り方を聞いた時、石上の頭の中がとんでもない事になっておった!!」
前半は頑張ったが後半から興奮が収まらなくなったようだ。リアは尚も言葉を続け
「セシルも頭で複数の事を考える時があったが石上はお主の3倍はやりおる!マルチタスクとか言うらしいぞぇ!この身体でなければとっくにパンクしておるわい!」
三歳から私以上に現代社会を知ったのだろう。なんか釈然としない。
……そっと指輪を外すとリアが興奮状態から醒めた。
「全然黙って無かったわね」
「う、うむ...」
気まずそうにするリアを見ながら私は気になった事を聞く。
「三歳は私の3倍...とか言ってたわね?彼の知能指数ってそんなに高いの?」
私の質問にリアは「ソレはほぼ変わらん」と言う。
続けて「マルチタスクは技能じゃ」とも言ってきた。
更に理解が追いつかない私にリアが何か言う前に三歳が語りだした。
『多分だが...魂の在り方で人格の基本的方向性が決まってるんだろ?だったら知能指数は大きく差は出ないんじゃないか?マルチタスクの方は子供の時から癖付ける事で増やせるモノらしいが...最近の研究で脳は年齢に関係無く活性化出来るらしいから、セシルだって今から癖付ければ出来るようになると思うぞ』
リアよりやや曖昧だが三歳の言葉には気遣い以外にも色々な感情がこもっているからか、何となく分かった気がしてきた。
「何故そんな説明で分かるんじゃ?!指輪がないから余計分からん!」
リアの憤懣を聞きながら三歳は言葉を続けた。
『先にジオラマスペース、どうにかしないか?』
突然の真当過ぎる三歳の言葉に
「「...はい」」
二人して項垂れた。
好奇心に負けて一番大事な事を忘れるとは...
石上が呼んでおる...何やら我に内密な話しをしたいらしい。
(なかなか難しい事を...)
そう思っていたら一方的にヤツの考えを送りつけてきおった!!
じゃが我の意識を読み取る力を逆手に取るとは...
因みにセシルは石上とのやり取りを終えた直後に指輪を嵌めていた為、今のやり取りを運良くスムーズに行えた。
セシルに気付かれぬよう魔力回路の方向性を絞り『理解したのじゃ』と石上に伝えた直後
『今から買い出しに行って来るから二人は必要だと思える事をやっといてくれ』
と言ってきおった。
「分かったわ。どれくらいかかりそう?」とセシルが聞くと石上は
『夕方までには戻る』と言い、それを聞いたセシルが「いってらしゃい」と言葉を添えた。
「セシルよ、お主今から遅めの朝食じゃろ?我は昼食まで人工精霊魔導核まで行って来るぞぇ」
「そう言えば『ガチ恋もてぇてぇもイケる』とか言ってたわね?結局なんの事?」
我の言葉にセシルが聞き返してきたが
「後で話すわい」と言いながらセシルの肩から手を離し人工精霊魔導核を目指した。




