1章 7 意趣返し
よくキャラクターが勝手に話し出すみたいな事を聞きますが私にもその感覚がw
「…ん〜〜〜ーーーっ!…ふっ」
目一杯伸びをして欠伸を噛み殺し時計を見ると
「8時半...寝過ぎでしょ...」
昨日魔力を使い過ぎた反動だろう。少し身体がダルい...が気合を入れ起きて洗面台に向かう。
(…ッ‥ピーッ‥ピー‥)
丁度顔を洗い終えたタイミングで呼出音が鳴ったので受話器を手に取る。
「時間指定してなかったわね。9時で良い?」
表示でクレアと知り昨日伝えた内容を思い出し確認を取る。
「ふひゃ!?...もうお嬢様はいつもせっかちですぅ〜」
「アナタがのんびり屋なだけよ?」
私との問答に不満を漏らしながらもクレアは
「...むぅぅ...9時ですね!」
と言って通信を切った。
メイドとしても情報担当官としても失格な態度に一瞬辟易するも(まぁあの子らしいわね)と思いつつ着替えてると
『部隊長及び各室長は09:00に作戦会議室に集合して下さい』
とクレアの声が響く。
私は指輪を嵌め自室の扉を開けリアを起こすべく期間室を通り越し、リアの眠る生体保全維持筒に触れた。
「...ン...もう朝かぇ?」
「そうよ。今から皆に三歳との関係を話すけど何故ここに繋がったのかはリア、あなたにお願いしたいの」
起きて伸びをしながら聞いてきたリアに肯定しつつ、私は日本に来た因果関係の説明を丸投げした。
「昨日石上から人工知能なる存在を知ったが...お主、今まで我を演算機代わりに利用しておったじゃろ?」
(ギクッ!?)「さぁ、時間も無いことだし行きましょうか♪」
今更?と思いつつも便利だとは思っていた為、反論も出来ず誤魔化しながら歩みを進めた。
「これ!誤魔化すでない!!便利な魔道具扱いしていた事くらい百も承知じゃ!」
その後も文句を言ってくるリアをあしらいつつ会議室に入ると全員揃っていたので
「皆居るみたいだから少し早いけど説明するわね」
と言ってなし崩し的に説明に入った。
恐る恐るリアの方を見ると...座りながら黙り込んだリアに睨まれた。
睨む我を無視してあやつは何故自分がこの時空の事を知ってるか話し出しおったが...
(お主がその気なら我にも考えがあるわい)
そう考え意地悪してやろうとセシルの話が終わるのを待った。
「私からは以上よ。次にリアの考察を聞いてもらうわね」
そうセシルが言って我を見てきたので席を立ち皆を見据える。
「ここに来た話をする前に...通常位階渡りが起きる時は階位が下がるのじゃが、今回上がってきてしまったのは何故か?そして何故ここまでサイズ差が起きたのか?想像出来た者は居るかえ?」
そう言った我の言葉に怖ず怖ずとクレアが手を上げ
「先程お嬢様が話した中で石上様と魂が同じだとありました。また我々もクランディアに居た時から【時代劇ごっこ】で前世の記憶がある事も知っています。ですから時空震が何故起きたかは分かりませんが、転移先がここだったのはこの2つの要因があったからかな?とは思います...が大きさについては分かりません」
言い終えたクレアに
「お前さんにしてはえらいマトモな推論じゃのう」
と感心していると
「してはは余計ですぅ!」
と言い返してきた。皆が笑うのを制し我は続ける。
「大きさについては...まぁセシルと石上の器の大きさのせいじゃの♪なんせセシルは我を便利な魔道具扱いするのに対して石上は、皆も知っての通り我等の状況をかなり気遣ってくれておるからの!」
「っ!?それは」セシルが何か言おうとしておるがそれより先に
「因みに石上が何度か声を出しておったが半分は入れ替わったセシルじゃったのにコヤツ、未だ皆に謝りもせん!」
「あっ!ごめ「しかもコヤツ我等に内緒で石上に着いて行き【カレー】なる旨いモノを喰い、あまつさえ石上が楽しみにしていた晩酌まで奪いおった!!」...ぁ...ぅ...」
畳み込む我の言葉を遮り謝ろうとしたあやつの言葉を更に遮り我は口撃を続けた。
クレア「お嬢様...それは余りに...」
アヴェイル「お嬢...マジかよ...」
カーウィン「何と!?公爵令嬢としての品格は何処に...」
室長達「石上殿...何と...おいたわしや...」
皆の痛々しい目線に耐え難いのか
「いや...同意は得たから」とか「...芳醇な香りと喉越しに、気付いたら...ね」
とか小声でモゴモゴ言うとるセシルの肩に、我は手を起きそっと呟く。
「...飲み干したのもお主の意思でないと...そう言い切れるのかのぅ」
「うぅ...ごめんなさい...」
(良い気味じゃ♪)
平謝りするコヤツを見れた事で我は溜飲を下げる事にした。
「お嬢様?私達より石上様にちゃんと謝って下さいね♪」
項垂れるセシルに追い打ちをかけるクレアはどこか嬉しそうなのは気のせいかの?
「まぁコヤツのやった事は事実じゃが、大きさの違いは多分生まれ変わる時に積み上げた徳やカルマの差じゃろうの。前世で若くして病死した為、コヤツは階位落ちして転生したじゃろ?その階位で魂を包む魄に質量の差がある故起きてしまった事象であろう」
皆の顔が???となっておるので逆の場合を引き合いに出す。
「階位落ちによる転移の場合、大抵異能を身に付けたり身体能力が大きく向上したりするじゃろ?」
我の発した言葉に一人を除いて理解出来たようじゃ。
「結局お嬢の転移に巻き込まれて俺達も小さくなったんじゃないのか?」
「何故そうなる!?第3位階で殿下は早世したた為、転生出来る程魄が成熟しなかったから第5位階に来たとリア様が仰っていただろう!魄が足りないから我等は小さくなったのだ!お前は脳ミソも足りないみたいだがな!!」
アヴェイルに突っ込むカーウィンの言葉を聞いてクレアの肩がピクリ!とする。
(どうやら二人...ではなく三人のようじゃ)
(自己嫌悪中だったから...)
そんな心の声を感じながら
『心的ダメージを入れるのはカンベンしてやるわい』
我は少しだけやるせなくなりつつもセシルの手を取った...へこたれてしまったコヤツを部屋まで誘う為に。
今話でタイトル回収伏線の予定だったのにリアがオイタした為伸びましたw




