1章 6 人工知能
食事を終えてもリアが帰って来ないので流石に長いと感じ、これは三歳と何か会話しているな?と思いクレアに自室に戻るよう伝えた。
(何を話しているのかしら?)
そんな事を考えながら三歳に意識を向ける…
『三歳?そっちにリアが居ると思う?!…っにぃ!?』
意識を三歳に向けた瞬間、手を股間に持っていった状態で生暖くて柔らかい物を握りながらワシワシしている感触が伝わってきた!
『持ってるなぁ…』『持ってないわよ!』
三歳のバカな発言に思わずムキになって言い返すと
『正確には…(前世で)持ってたじゃろ』
リアに前世で男だったとバラされてしまった。
『いくら前世が男だったとしても今は女だし何より俺がはずかしいんだが…』
三歳の言葉に
『今食堂だから部屋に戻るわ。着替えたら話しかけて』
と言って席を立つ。
『はいよ』と返事がきたが、歩く事に集中して三歳から意識を遠ざける。
すると不意にリアが手を繋いできた。
「三歳に変な事言わないでよね」
...返事がない...(集中してるなぁ...)
仕方ないのでリアがコケない程度の速さで部屋に戻ることにした。
『ところで石上よ?あのユー◯ューブとやらは何なのじゃ?』
リアの声に俺は再び驚き
『まだ居たのかよ!って思ったケド頭に薄っすらモヤってる感覚、無くなってねぇな...それよりセシルと部屋に戻るんじゃなかったのか?』
と聞くと
『(セシルに)手を引いてもらっておるので問題...だから(ちゃん)付けは止めよと言うておるじゃろうが!!!』
俺がセシルに手を引いてもらっているリアを想像した瞬間突っ込まれた。
『いやスマン...セシルからの伝わって来るリアの姿が子供?みたいな映像で、そのせいか声も年相応に可愛らしい感じの響きなんだよ...』
俺がそう言うと
『ソレで間違えてはおらんがそもそも人工精霊魔導核に性別も年齢も意味は無いぞぇ』
リアの言葉に俺は『ひょとして...リアはAIなのか?』と聞きながら流石に着替え出す。
『お主の言うAIと言うのが良く分からんが、我がさっき聞いたユー◯ューブとやらにそのAIとやらは使われ...ほうほう...人工知能とな?...成る程...』
そう言えば...セシルに手を引かれて歩いているんだったな...
セシルと繋がる事で解析能力が上がる事を思い出した俺は、さっき聞かれたリアが知りたがってた事をわざと意識する事で説明を省いた。
(こりゃ楽だわ)
そう考えながら冷たいビールを冷蔵庫から取り出し、リビングに座りプルタブに指をかけ「プシューッ!!」っといわせた飲み口に口をつけ...
「ゴクッ...ゴキュッ♪ゴキュ♪』
俺の身体「美味し〜〜〜♪」
セシルの身体「煩いし一口だけやんけ!!!」
リア「二人して喧しいわ!!あと急に入れ替わるでない!酔うわぇ!!!」
跳び上がるように起きたリアに喧しいと直接言われたが正直どうでもいい。
...俺の...風呂上がりの最高の一時を...返せよ...
部屋に着きリアをベッドに寝かせ手を繋いだまま脇に座ると...
三歳から歓喜の気配と懐かしい苦みが!!!
口に広がる香りとその喉越しを感じた時にはもう入れ替わっていた。無意識に!!
「美味し〜〜〜♪」
思わず声が出た。
『煩いし一口だけやんけ!!!』
三歳の喉から...
『二人して喧しいわ!!あと急に入れ替わるでない!酔うわぇ!!!』
リアには悪い事したけど...今は余韻を楽しみたい...がリアに
『早う戻れ!クレアの相手をせんか!!』
と言われ仕方なく缶ビールを飲み干し意識を自分の身体に向けた。
「お嬢様?!どうしました?聞いた事のない言葉で...まさか石上様と何かあったのですか?!」
私は扉を開けクレアに小声で謝りつつ
「今のも含めて明日説明するから...ね?」と言うと
「大丈夫ですか?ご無理はなさらないで下さいね?」
と心配しながら去っていく。
『...空やないかい...ムカつく事に...喉と口に...余韻だけ...』
そんな三歳に『良かったじゃない...私には余韻無いわよ』
と答えたら三歳からは(怒怒怒...)
言葉は無く怒りの感情だけ伝わって...いや今度は(哀哀哀...)?
『酔った...』
三歳が呟く。思わず???と感じているとリアが
「石上は酒に弱くて一缶で酔うんじゃと」
……『ゴメンナサイ』……
私の謝罪に三歳からの回答は
……哀哀哀哀哀哀哀……
より深い悲しみだった...
『もう...寝る...』
三歳の言葉に
「これは仕方ないの。それにしても今日は濃い1日じゃったわ」
とリアが呟いた。
「私もシャワー浴びて寝るけどアナタはどうするの?」
と聞くと指輪を外しながら「寝る」と言って出ていった。
机に置かれた指輪を枕元に置き直し、自室にあるシャワーを浴びながら今日の出来事に思いを馳せる。
(リアの言う通り濃い1日だったけど...)
「それより此方の世界でどうやって稼ぐの?」
如何ともしがたい1対5000に私は頭を抱えた。




