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1章 5 育ち

戦艇に戻り食堂に向かうとリアが待っていて手を伸ばしてきた。

私は指輪を外し手渡すとリアは無言で受取って目を瞑りそのまま机に伏せる。

厨房からクレアが二食分持って来て隣に座り目を輝かせながら


「そろそろお話聞いいても良いですかぁ?」


と聞いてきた。私が


「明朝作戦会議室(ブリーフィングルーム)に各長を呼んで。そこで話すわ」


と答えると「う〜…気になって今夜眠れません〜」


クレアのボヤキに「そんな事言ってグッスリ眠るのがアナタでしょ」


言いながら私はクレアの頭を指で突っつくと「へへっ♪」と彼女は笑う。


そんなやり取りをしながら夕食を頂いた。






指輪に記録された二人の行動(セシルと石上)記憶(ログ)を解析する。

始めの方はセシルがやたら浮かれておったり、ただコマが回るだけの旧式な車の地味な変化に驚いていたりと大して面白くもないと思って見ておったが...我等の使う議事録用端末(タブレット)日本(こちら)の物との性能差にはかなり興味を惹かれた。


(どうも目的によって使い勝手が違うようじゃが...()()で持っている端末(スマホ)と呼ばれる物の方がかなり高性能のようじゃ)


離れた相手と通信(電話)する機能に何処から送られて来るのか分からんがユー◯ューブ(映像投影)機能...

セシルは気にも止めておらなんだがそこかしこに()()()()()()()()()()()()()()()()()()物まであった。


(望遠鏡とは比べ物にならん。アレを斥候で使えば戦略が変わるぞ)


だがセシルは違うモノに驚愕を通り越し、驚怖を感じておった。いや人工精霊である我ですら()()を覚える程の人々の営みがそこにあった。

勿論地域性もあるかもしれんが()()()の様子を見るに、あやつの影響で生まれた我の自我が日本(この世界)の人々の精神性に途轍も無い違和感を覚えさせる。


(コレではカレーとやらの味が分からんのも無理はないのう...)


......待て......この時代に生きておる石上は何故セシルと似た倫理観なのじゃ?いくら魂が同じでも()()()()()()が此処まで違えば情操教育に()いて差が出るのは必然!!


(謎を解くには石上に聞くのが良さそうじゃの)


セシルに触れた方が()()は確実に上がるのじゃが...今は止めておくかのう。

そう思い我は石上に魔力回路を繋いだ。






『石上よ』


突然頭に響いたリアの声に驚きながらも声を上げるのを我慢しつつ俺はリアに文句を言う。


『リアさんよ…この念話っぽいヤツ、やる前に何かお知らせみたいなの無いの?油断してる時に来ると心臓に悪いわ』


俺の言葉にリアは


『お主が()()と呼んだ状態になる前の、魔力が繋がる感覚で分からんか?』


と言ってきたので


『そんなもん分かるか!』


と答えた後さっき聞いた伝達率の事を思い出した。


『すまんが今セシルと我は繋がっておらん。故に少ない魔力で回線を維持しとる以上、お主の感情を読み取りながら思念伝達するのは困難なのじゃ』


『悪い、俺も言ってから思い出した。…で何の用だ?』


リアの謝罪に俺も聞いた事を忘れていたのを謝りつつ聞き返すと


『さっきセシルがお主の夕食に着いて行きおった時、色々あったじゃろ。その時お主、あやつに今のこの世界での人の在り方を説いたよな?』


説いた…って言われる程偉そうに言ったつもりは無かったが、リアはまだ言葉を続けていたのでそのまま聴き続ける。


『お主も今のこの時代に生きて育っておるのに何故あやつと同じ倫理観を持ち、かつ共生の意味を理解出来ておるのじゃ?理屈で理解出来る類の物ではないぞ。それはセシルと()()()()()()()()()我にも出来ぬ事じゃからな!』


何故かリアが少し感情的に聞いて来るが言いたい事は理解したので、あの時不足していた情報をリアに伝える。


『俺は…おじいちゃんっ子なんだよ…』


そこからセシルには車の運転中では時間が無く、セシルには伝えれなかった事も含めて自分の育ちを語った。


『なるほど…お主は祖父に育てられつつその時代劇とやらで倫理観を学び、不足部分をまたその祖父に補ってもらっておったのじゃな』


リアがしきりに感心しながら言葉を続ける。


『あやつも時代劇とやらが好きであちら(クランディア)でも水〇〇門ゴッコとやらをやっておったぞ』


その言葉に思わず噴き出し『汚いのぅ』ながら


『公爵家で水〇〇門ゴッコって大丈夫だったのか?』


『大丈夫でなければここに今おらんじゃろ?』


聞いた俺にリアが分かり切った返事をする。

聞き返したいがそろそろ逆上せてきたので風呂を出る事にした。


『そろそろ風呂を出るんだがまだ何かあるか?』


そうリアに聞きながらバスタオルを手に取り拭いていると……


『三歳?そっちにリアが居ると思う?!…っにぃ!?』


丁度股間を拭いてる時にセシルが…


『持ってるなぁ…』『持ってないわよ!』


俺が引き強な運をセシルが持っていると言う意味で呟くとセシルは…まぁ言わないでおこう。


『正確には…(前世で)持ってたじゃろ』


リアが無許可でセシルの過去を暴露した。

実は最初この話のタイトルは『人工知能』だったのですが話の流れで変わりました。人工知能は次話になります。

『育ち』ですが私は生活に余裕があるお金持ちの家庭の方が育ちが良く貧乏な家庭は育ちが悪いとは思いません。(石上家は貧乏でした)


武士は喰わねど高楊枝


気品とは何でしょうね?


ここでお知らせ

セシルの過去話「お忍び公爵令嬢漫遊記」の連載を開始します。

詳しくは活動報告を見て下さい。

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