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1章 2 模様替え

貸し部屋(うち)が角部屋で良かったな』


俺がそう言うとセシルが『どうして?』と聞いてくる。辛うじて見える南の窓を指さし


ガラクタ置場(あの場所)を整理して戦艇(お前等)の居場所にするのさ』


.........『アレ......片付くの?』


少しの沈黙の後セシルが呟く。


...............『南向きの窓だから立地条件良いかと思ったんだが...止めとく?』


言い出したのは俺だが改めて見るとかなりの労力を必要とするのに気付き萎え始めると


『いいえ♪彼処(あそこ)が良いわ♪』


嬉々として答えるセシルに思わず反論しようとして...止めた。一瞬気が滅入ったが戦艇(アレ)には多くの人が乗って居る事は容易に想像がつく。衣食住全て滞り無く行えないストレスは軍人でも耐え難いだろう。それが()()()となれば尚更だ。俺は意を決し


『分かった。気合入れるさ』


そうセシルに答えた。


『普段から整理整頓してればそこまでには...ごめんなさい、お世話になるのに私ったらまた...』


『いいよ。ずっと気を使われてるより気安い方が俺は楽だよ』


セシルが軽口を言いかけ謝ってきたが俺はそれで良いと返す。


『...ありがとう。私そろそろ戻って皆に状況説明や物資の確認とかしてくるわ』


そう言うセシルに俺は


『分かった。搬入が終わったらまた台所(元いた場所)に戻れるか?』


『...そうね。搬入作業が終わり次第移動するわ』


俺の意図を理解しセシルが答えたのを聞きながら、俺は片付け始めるべく重い腰をあげた。






『さぁやる気のある内に動くか〜』


三歳が気合を入れるのを感じながら帰艇し、搬入状況を確認する為リアに念話すると


石上(あやつ)のお人好しは筋金入りじゃの』


リアに先にそう言われ『本当に私達(私とリア)の為に有り難いわね』と答えれば


『そうでは無いぞぇ...あやつはこの戦艇に居る全ての者達の為に今頑張っておるのじゃぞ?』


リアの言葉にハッとする。


風呂場(ここから)は見えんがお主等からは面倒な作業じゃと伝わって来たわい。これからあやつの世話になるのじゃから皆にも伝える方が良いじゃろうの』


リアに言われまたもや気付かされる...私が彼処が良いわと(軽口を)言った時、三歳がムッとしながらも直ぐ(気合入れるさ)と言ったのは私の仲間の為だったのだ。


(三歳には後で本気で感謝しないとね)


そう思いながらリアに搬入作業が終わり次第元の場所に戻るよう指示をお願いし、私は人工精霊魔導核の元に向かった。






日本(こちら)に来てからセシルの動向に違和感が出てきておるが()()()()()()()()()()()()か又は()()なのか...クランディアに居た頃のセシルは人見知りが強く、簡単に心を開きはせんかった。


(まぁ前世の記憶のある転生者は大抵転生前の文明(過去の思い出)に触れると感情が抑えられなくなるらしいから仕方無いのかもしれんのう)


そう思いながらクレアにセシルからの指示を伝えると艇長席(キャプテンシート)に座り意識を二人(セシルと石上)に向ける。


「搬入作業の終了を確認。これより暫定駐屯地へ帰投します」


クレアの声を聞きふと思い付いた事を実行する事にした。


「クレアよ、帰投中超巨人(イシガミ)が左舷方向に居るのが確認出来る故、その時敬意を示すよう皆に通達するが良い」


不思議そうな顔をするクレアに、今石上が我等の為に陽当りの良い(快適だと思われる)場所を提供しようと奮闘している事を伝えると


「何故石上(あの方)は私達にそこまで協力的なのでしょうか?」


クレアがそう聞いて来たが我は


「セシルが言っておったであろ?その時を待つが良い」


セシルが此処を出る時に言っておった事をそのまま口にすると、クレアはつまらなそうに「は〜い…」と返事をして仕事に戻った。


そんなクレアを見ながら(こやつはいつも通りか)と思いつつ、再び意識を二人に向ける。


暫くしてクレアの声が艇内に響く…






『手の空いて居る者は全員左舷に見える【()() ()()()】殿に注目!!!』


私が驚いていると更にクレアの声は続く…


『かの御方は我等の為空間の歪みにて大佐が往復し物資の補給を行っただけで無く、今我等の生活圏まで築こうとして下さっている!皆、石上殿に敬意を表し…礼!!!』


人工精霊魔導核に魔力を込めながら聞いていた所に


『どうじゃ...これを石上に意識して視覚情報を入れ替え(みせ)れば良い』


とリアが言ってきた。

人工精霊魔導核から手を離し近くの通信室に入り、艇内映像(モニター)を見ながら()()三歳に感謝した。






もう使ってない釣道具を除けながら次のガラクタ(獲物)に目を向けようとしたら、突然モニターのようなモノが視界に映り、そこには知らない人達が俺の背中(こちら)を見て敬礼していた。

驚いて後ろを振り返ると戦艇がゆっくり飛びながら台所方向に消えて行った...


『セシル...アリガトな...やる気出たわ♪』


『ありがとうは此方の台詞よ...』


俺が照れくさく言うとセシルは本気で感謝してきた。


『もうすぐ場所だけは確保出来そうだからキリの良い所で飯()()()()()()


そう言った俺の言葉にセシルが()()に喰い付いたのが感情で分かった。


『ズルいのじゃあ〜〜〜〜』


『付いてく(ジュルリ…)』


感情を読み取ったリアの声より後から発したセシルに『憑いて来るの間違いだろ』とツッコミを入れたが…


頭と心が(二人して)煩いわ!

誤字報告されそうなので此処だけ捕捉

最後のセシルが『付いてく』と言ったのは文字通り石上の身体に(くっついていく)と言う意味です。

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