1章 1 居住スペースについて
明日から12時更新(1日1話)になります
『結果オーライじゃろ?』
悪びれもなくリアが言うとセシルは
『まぁ...どう切り出すか悩みどころだったし、自身の甘えに気付けたのは良かったわ』
そう言うとセシルは改めて俺に言ってきた。
『アナタの優しさに甘え頼るのが当たり前な気持ちになってたの。改めて謝罪するわ。ごめんなさい』
セシルが本気で謝ってるのが感情から伝わって来る。
『気にすんな。俺だって協力する?のに何故かなんの疑問も湧かなかったからな。それどころかどうやってお前等が快適に過ごせるか考えてる位なのに...』
そう言って笑うとセシルから驚嘆の声が...
『アナタって根っからのお人好しなのね。悪意の類が今まで全く感じられないわ』
『悪意なき悪事はしでかしてるけどな』
余りにセシルが褒めちぎるので胸を揉んだ事を思い出しながら言うとエロい感情を読み取ったのか
『…それもそうね』
と冷ややかな感情が流れてきた...が
『完璧な聖人なんて居ないわ。私だって無自覚に酷い事はしてる筈だから...』
セシルがそう言うとリアが
『まぁ同じ魂を持っておるのじゃ。考え方は多少違えど根本となる人格に差異は出ん』
と言って来た。どういう事か思案していると
『これまでの徳の積み方が輪廻転生する上で、大きく変わる者などかなり稀じゃ。じゃからお主らの善悪の捉え方に大きな差異は出んと言う事じゃよ』
リアにそう言われ『そんなモンかねぇ...』と思いつつ少し怖い想像をする。
セシルは『そうか...ずっとそう生きて行けたら良いな』と肯定的に捉えたようだ。
感情が伝わる(リアが何かを言う)前に話題を変えないと...
『それよりさっきも言ったがお前等の住む環境だけど、アクリル板で囲ったジオラマを使おうと思うんだ』
『ジオラマ?プラモデルの大量買いでもするの?』
俺の発言にセシルが答えるが一瞬意味が分からず疑問符を浮かべていると
『時代の差じゃな。セシルと石上で思い浮かべる物の形や性能等にかなり差があるの』
そう言ったリアの言葉に続き『だから三歳の考え方は古かったのね』とセシルが言った...
『セシルよ、お主『セシル、ジオラマってまさかプラモの箱とパーツの枠で作る格納庫みたいなのを想像してるのか?』...なんでもない』
リアの言葉を遮り俺はセシルに問う。
『...違うの?』そう聞いてきたセシルに
『それ...ジオラマキットがメジャーになる前に一部で流行ったヤツ...今から45年位前かな...』
……セシルがリビングを飛び回る……
……キョロキョロ見渡してる気がする……
『2025...』
『今は9月で残暑がキツイかな』
『テレビが薄いわ...』
『ブラウン管じゃ無いからね』
『そう言えば...電話が据え置きの黒いヤツじゃ無いわね』
『黒電話...田舎のばあちゃん家にあったな』
『私...日本の記憶...曖昧で学校で習うような事と何故か時代劇を良く見てた位しか覚えてないの』
『時代劇...もう〇〇〇では見ないなぁ...』
どうやらセシルの方が前世らしい。
ガンプラで初めてジオラマを意識したキットが発売されたのは1981年らしいです。




