オープニング 19 お願い居候させて
クランディアから帰還した私は帝国から逃れる為暫くこの日本に留まる事、この日本ではまともに外に出れない事を伝え戦甲翔以外は出てこないよう伝えた。
幸いリアが呼吸の問題を先に伝えていたらしく戦艇の気密も保ってくてたようだ。
補給物資の搬入もリアのおかげで滞り無く行えそうなので、私は三歳に事の顛末を伝えようとしたが...
『…腰…腰がぁ…ひ‥左手も…』
先程の妹とのやり取りに費やした時間は十分あるか無いかだと感じたが
『8分半程度じゃよ』と思考を読んだリアが念話で教えてくれた。
『三歳...運動してる?家から余り出ない生活してるなら朝散歩がてら公園とかで運動したほうが良いわよ』
『ほっとけ...それより他に言う事有るだろ』
心配して声を掛けたのに返って来た言葉には少し棘があり、やはり狭量な所があるなと感じていたがリアが
『スマンな石上よ、あの時は時間も余裕も無かったのじゃ。お主との魔力回路は繋がっておったがセシルとの魔力回路は断線しておってな...お主の意識を通じてセシルの状況を推測する事しか出来なかったのじゃ』
珍しく殊勝な言い回しでリアが話し更に続ける。
『石上よ...我等はこの大きさ故この日本でどうやってお主に恩返しと言うか見返りと言うか...』
リアの言葉が詰まると同時に私は自分が大馬鹿者だと気付いた!!!
三歳から感じた憤りは当然だ。さっきの私の言動はこれから三歳の世話になるしか無い私がやって良い事では無い。勿論これまでの事も含めて……
『三歳...ごめんなさい...』
私は自責の念に押しつぶされながら本気で謝罪する事にした。
人が苦しんでる時にその程度で情けない的な感情と(運動しろ)の言葉にイラッとして他に言う事有るだろってツッコミ入れたら...リアが殊勝な事を言い出し、セシルに至っては今にも泣き出しそうな感情が伝わって来た?!
『セシル!?どした?!』
しどろもどろになりそうな俺の言葉を遮り
『本当にごめんなさい...今の私達はアナタしか頼れないのに酷い事ばかりして...』
『お!お?ん?』なおも困惑していると
『お願い!三歳!!私達をアナタの傍に置いて欲しいの!!!見返りに何が出来るか正直まだ分からない...けど...出来る事は何でも『ちょい待った!!』』
俺はセシルの言葉を遮って疑問を口にする。
『俺はセシルに言われたまま腕を固定してた事に対して労いは無いのか?と思っただけだったのにどうして本気の謝罪から居候?の懇願になったんだ?』
俺の困惑にセシルは面を喰らったようにキョトンとしリアは...
『…くっ…ふ…』
笑っていた...
『リア...ひょっとして...』セシルがそう言うとリアは
『見事に誘導されたのぅ♪』と曰った。




