オープニング 16 ホムンクルス
中央滑走路に着地し戦甲翔から降床に降りるなり
『我の身体の元まで頼む。もう限界じゃ』
リアの言葉に
「記憶が溢れそうなのね。解ったわ」
そう答え私は機関室経由で精霊魔導核裏に接続されている生体保全維持筒前まで来た。
「リア、触れるわよ」そう言うと『早う早う』とせがまれた。
急かされるまま指輪を嵌めた手を握りしめ、魔石がカプセルにある凹みに凸るよう位置を合わせ押し当てる。
指輪が離れないよう気を付けながら待つ事数十秒...
プシュー−−…
排圧処理が終わりカプセルが開くと同時にリアが
「ん〜〜〜〜っ!ふぅ〜〜」伸びをした後「スッキリしたわい♪」と言って気持ちよさげに起きててきた。
「リア、これを」
そう言って予め外しておいた徽章をリアに渡す。
受け取りながらリアが
「解った。お主、石上との繋がりが魔力を引き込む上で弱まるようならすぐに念話せよ」
と言ってきた。そろそろ待ちくたびれてそうだと思い
「分かったから行って。三歳が待ってるわ」と伝えるとリアは「しゃあないの」と言って小走りに艇橋へ向かった。
足音を聞きつけたのか1等技長が丁度良くやって来たので
「ゲビック!間もなく離陸指示が出るから機関を動かして!!」
私がそう言うと
「はぁ!?精霊魔導核と戦甲翔じゃ訳が違うぜ?!嬢ちゃん本気か?」
ゲビックは私が精霊魔導核に直接触れているのを見て心配そうに見てきた。
「百聞は一見に如かずよ!!!」
そう言って私は精霊魔導核に魔力を溢れんばかりに送り込んだ。
こちらに来る前最大戦速で滑翔したおかげで二割程魔力が減っている為すぐに満杯にはならないが、驚いたゲビックは(大丈夫か)と言いかけたが平気そうに笑う私を見て
「野郎ども!!!暖機運転!全力準備!!飛ぶぞ!!!」
と息巻いた。
艇橋に着くなりとんでもない魔力が精霊魔導核に注がれた。
「アホか!!」
思わず叫んだ我に皆注目したが丁度良いし時間もないので徽章を掲げ
「飛翔準備!!これより時空の歪みの確認に赴く!各員持ち場に着け!!」
普段から我とセシルの奇行に慣れておる故狼狽えておる者などおらぬ...
それどころか機関室で何があったのか察したのであろう。手際よく作業をこなし皆自分の役割を最速で出来るよう機会を伺っている。
『皆、セシルと魔力回路...繋がっておらぬよな?』
『そんな事をしたらどうなるかアナタの方が解ってるでしょ!』
声には出さなんだがそのせいでセシルに伝わってしもうた。
『すまぬ。小奴らの変な所で無駄に優秀な部分に呆れつつも感嘆したのじゃ』
思う所が有るのか『...そうね』とセシルも察したようじゃ。
準備が整うまで艇長席に座り我は意識を石上に向ける事にした。
 




