オープニング 7 運命という名の必然 その3
『異物がおる』
突然リアにそう告げられ「異物?」とオウム返しに声がでた。
『お主、我以外と一時的にでも魔力回路を繋いだか?』と聞かれ『あるわけ無い』と意識内で思った時にはもう『だのう...これは魔力回路の残滓とは違うようじゃ...』とリアがごちる…
人工精霊魔導核とは長い付き合いだが意識内での念話だと瞬時に思考を読んでしまうリアについていけない為、敢えて言葉に出して聞き返す。
「異物って何?」
『分からんが答えは近くにありそうじゃ』
リアの返事に疑問符が浮かぶが同時に『もうよいぞ』と促される。
補給も受けれる保証のない所で無為に時間を過ごす訳にはいかないのですぐに行動に移す事にした。
指輪を駆動鍵として操縦席の中央にある凹部に嵌め操縦桿を握り魔力を込める。
〘セシル専用戦甲翔…起動〙
私が力ある言葉を発すると戦甲翔がゆっくり起動する。
フォーーーーンンン−−…
駆動音と共に魔力を通じて戦甲翔全体に火が点き始めるのを感じながら意識を戦甲翔外に向けると、目の前の操縦席壁に景色が視える。
因みにこれは指輪を通じているから出来る芸当で、普通の戦甲翔では360度見渡す事はおろか起動さえ手動で周りには計器類が有りモニターや各センサー類、通信機器も有るし操縦も複雑だ。
私の握る操縦桿は飾りみたいな物だが無いと反応が遅れるし魔力回路を開く端末は必要だから意味はあるのだ。
完全に起動したのを感じ艇橋に通信を開く。
「こちらフォルクラッセ、これより超巨人と接触を試みます。発艇用滑走路開いて下さい」
私の声に答えたのはヨーマンだった。
『大佐!戦甲翔は動くのですか?』
と聞いてきたので
「私の戦甲翔は魔力だけでも短時間なら活動出来るから」
と伝える。
『了解です...お気をつけて。無理だけはしないで下さい』
と少し心配そうに言うヨーマンに
「勿論そうするわ。行ってきます」
と答えた。
滑走路の扉が開き明るくなった先に超巨人が居るのを見据えながら気合を入れる!!
「フォルクラッセシュツェンゲル!セシル発艇します!!」
掛け声と共に噴射気管に魔力を込める!!
勢い良く飛び出した私は真っ直ぐ超巨人の耳の穴に飛び込んだ…
暗っ!臭っ!
「ちょっとリア!なんで嗅覚同調するのよ!!飛行中はしてなかったでしょ!!!」
『どうせ戦甲翔から降りるから同じじゃろ!』
そう言われ教えてくれれば防毒マスク使うとか出来るでしょと言おうとしたら
『そしたら我だけ臭い思いをしてお主、ズルいではないか!』
とか他にも他にも...etc...
思考を読む相手に口喧嘩...勝てません...




