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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く 最終章《一夫多妻エンドVer.》  作者: 東音


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今更知る真実 凍る空気

 休日の午後、指定された喫茶店へ向かった俺は、もう会うことはないかもしれないと思っていた相手と向かいの席同士で顔を突き合わせていた。


「い、石藤くん、お久しぶり……」

「お、おう。久しぶり……。えーと……、白と……」

「今は、瀬川。瀬川香織よ……」

「そ、そうか……。瀬川さんか……」


「………… ||||||||」 


 白鳥と離婚して姓が戻ったらしい瀬川香織と俺のの気まずいやり取りを、更に屋川由依が死にそうな表情で見守っていた。


 いや、何だコレっっ?!!


 高校時代のクラスメートだった事が発覚したうちの会社の派遣社員、屋川由依に俺と元カノの香織と謝罪したい事があると切に訴えられ、友達経由で香織にも連絡を入れていたらしい彼女に、この場をセッティングされたのだが……。


 謝罪の前から、既に重苦しい空気に俺は帰りたい気持ちでいっぱいだった。


 もちろん、さくらにはこの事は伝えている。

 もともと今日は、夕方からスミレを連れて財前寺の実家に顔見せに行く予定だったので、さくらは、予定をキャンセルしようかと言ってくれたが、俺はその必要はないと答えた。


 屋川さんの謝罪の内容は見当もつかないが、そもそもあまり関わりがなく、彼女の中で溜め込んでいるだけで俺にとってそんなに影響する事とは思えなかったし、元カノの香織との仲も既に終わり、白鳥の件でお互いに顔を合わせても気まずいだけ。

 長居するつもりは毛頭なかった。


 コーヒーを一口すすり、心を落ち着けると、俺は話を切り出した。


「えっと……。それで、屋川さん、俺と瀬川さんに話したい事って何……かな?」


「は、はいっ……! 今日はお二人共お忙しい中、こんな私の為に時間を作って下さってありがとうございます!」


 屋川さんは、俺の発言に背中を押されるように、緊張しながら頭を下げた。


「屋川さん……だよね?ちょっと感じ変わったかな。そんなに畏まらなくても……」


 香織も、高校時代の派手ギャルな屋川さんと、今の彼女にギャップを感じているのか、目をパチクリさせていた。


「えと……。同じクラスだったけど、グループ違うし、あまりお話もできないまま離れてしまったけど、今は石藤くんと同じ会社で働いているって事だし、あれから元気でやっていた……のかな?」


 屋川さんの不純異性交友による停学と、不登校、転校に言及しないように配慮しつつ、香織が聞くと、屋川さんは、ブンブン頷いた。


「は、はい! あれから、転校先でもしばらく不登校だったんですが、一念発起して大検とってようやく今年から派遣社員として働ける事になったんです。母も喜んでくれて、ようやく前を向けると思った時、同じ会社で営業次長である石藤さんにお会いしたんです……。

 きちんと罪を償ってからでないと、やはり私は幸せになってはダメな人間なんだと思いました……」


「ええっ?それってどういう事? 俺、屋川さんに何かされた覚えもないし、恨みに思っている事もないんだけど」


 暗い表情で、人を不幸を呼ぶ因縁の相手みたいに言われて、俺が目を剥いていると、彼女はブンブンと頷いた。


「は、はいっ。石藤さんも、瀬川さんも私の罪を知りません。だからこそ、お伝えしなければと思ったんです」


「「??」」


 屋川さんが何を言うのか皆目見当つかない俺と香織が首を捻った時……。


「こ、高校時代、お二人の仲を裂いたのは、私なんです……!

 わ、私が、転んで石藤くんが須藤さんに覆いかぶさっているところを写真に撮り、演者グループのL◯NEに流しました」


「「…!!」」


 屋川さんの発言に俺も香織も絶句した。


「そ、それからっ……、演劇が終わって、石藤さん、瀬川さんが揉めているドサクサに紛れて、瀬川さんのスマホを操作して、『もう白鳥くんと体の関係があるから、私の事はすっぱり諦めて』という内容のメールと……、演劇中の白鳥くんと瀬川さんのキスシーンの画像を……、い、石藤くんに送りましたっ。

 ほ、本当にごめんなさいっっ!!」


「「…!!!||||||||」」


 ぶるぶる震え、涙を流しながら、更に告白する屋川さんに、俺も香織も衝撃を受け、しばらく凍った時間が流れた…。






「ど……、どうして……そんな事を……?」


 ようやく掠れ声で尋ねると、屋川さんは涙を流しながら答えた。


「と、当時、私は白鳥くんが好きでした。普段から、石藤さんと瀬川さんが釣り合っていないと言っていた、彼の興味を引きたくて浮気写真をL◯NEに投稿したんです……。

 でも、白鳥くんは喜んでくれなくて……、クラスメートを陥れた事がバレたら、私は停学や退学処分だって……。バレないようにするには、二人が別れさせるしかないって言われて……。それで、あんなメールを石藤さんに……。

 で、でも、石藤さんはその後、倒れてしまって。う、うふぅっ……。わ、私がどんなにひどい事をしたのか……思い知りましたっ。


 別れそうになっていた彼氏との不純異性交友の件で結局停学になって、学校へ行き辛くなってしまったのも、自業自得です。

  

 邪な気持ちで、あんなに、仲がよかったあなた達の関係を壊してしまった自分は醜く汚い人間ですっ。


 石藤さん、瀬川さんっ……。本当にごめんなさいっ……!!うっ……ううっ……。」


「屋川さん……」


 涙を落とし続ける屋川さんを、俺は遣る瀬ない気持ちで見遣った。


 数年前、白鳥がさくらに卑劣なアプローチを仕掛けて来ている事を知った時、実は少し思っていたんだ。


 高校時代、白鳥が香織を奪った時も、もしかしたら似たような手口を使っていたのではないかと…。


 利用出来そうな誰かを使い、自分の手を汚さず望みを果たす。そして、利用し終わったら容赦なく捨てる。

 あいつはそういう奴だ。


 彼女のやった事は許せるような事ではないが、彼女もまた被害者と言えた。

 彼女も白鳥に捨てられた後、人生を歪まされ、苦しんだ。もう十分じゃないだろうか…。


 不信感と怒りに満ちた香織の表情とあの時の痛み、愛おしいさくら子供すみれの笑顔と今の幸福を交互に思い浮かべながら、俺は屋川さんに向き合った。


「屋川さん。君のやった事は、確かにひどい事だが、もう終わった事だ。

 数年前の白鳥の騒動をニュースで見て、あいつの非道ぶりを知っただろう?君も、きっと彼に利用された被害者の一人だと思う。

 同じ事を二度と繰り返さないのであれば、俺はこれ以上君を責める事はしないよ」


「い、石藤さんっっ……」


 俺がそう言い、屋川さんが涙に濡れた顔を上げた時……。


 ガタッ!!


「どうして、その人をそんなに簡単に許せるの? 良二くん……??

 私達の人生を狂わせたのは、全部この人のせいだったのにっ!!」


「……!!||||||||」

「せ、瀬川さっ…?」


 激昂してその場を立ち上がった香織を前に、屋川さんの顔は更に青褪め、俺は驚いて目を瞬かせたのだった。


*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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