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新たな役職 新たな派遣社員

白鳥の騒動が解決してから、約2年後――。

 俺は営業次長に昇格し、営業部長の小坂さんの補佐が主な仕事となっていた。


 さくらの父である財前寺龍人が社長を務めるRJ㈱関連の仕事が増え、売上上昇した結果、新たな最新式の機材を揃え、他の多くの会社から我が社、MF㈱に仕事が舞い込むようになった。


 そんな景気を反映してか、社長は上機嫌で、会議の席についている小坂さんと俺に聞いてきた。


「小坂くん、石藤くん、次回A県で行われる北欧フェアへの参加、順調そうかね?」

「はい! フェアに参加予定のユーチューバーさんと、機材の件で揉めそうになった時も、石藤くんがうまく宥めて、妥協案を出してくれまして!ねっ。石藤くん?」

 バンバンッ!

「は、はぁ……。恐縮です」


 小坂さんに、にこやかに肩を叩かれ、俺は畏まって答えた。


「小坂くん、そうなのかい! 石藤くん、引き続き、期待しているよ? 会社の業績アップで、今回給料にも大分反映させてもらってるからね?」


「ありがとうございます!」


「ハハッ! この調子なら、一夫多妻制家庭を築くのも夢じゃないかもしれないぞ? どうだい?目指してみたら??」


「しゃ、社長、御冗談を……!」

「「「…!!||||」」」


 給料アップは有難いが、調子に乗って笑えない冗談を言う社長に顔を引き攣らせていると、青い顔をした他の経営陣から何やらこそっと耳打ちされて、社長が慌てて訂正した。


「いやいや、聞かなかった事にしてね! お子さんもいる事だし、奥さんとの仲を一層大事に、仕事の方もガンガン頑張って?」


「は、はい……。」


 今のMF㈱の業績アップは、RJ㈱の仕事が増えた事に起因するものが大きいというのに、俺とさくらの仲に亀裂が入りかねない一夫多妻制勧めるとか、会社的にもマズイだろう。


 白鳥の騒動は解決したものの、最悪な思い出しかない一夫多妻制という単語を久々に身近に聞き、俺は苦笑いをしたのだった……。

        

         ✻



「社長、業績アップで浮かれる気持ちも分かるけどさ、さっきのは失言だったね〜?

 石藤くん、奥さんとも仲良いし、小さいお子さんもいるし、一夫多妻制なんて考えられないでしょ?」


 会議が終わってから、小坂さんにそう聞かれ、俺は迷いなく頷く。


「はい。さくらとすみれ(&あんず)がいるから、一夫多妻どころか、浮気一つしようと思いませんよ。小坂さんも、奥さんと仲良いですし、同じでしょう?」


「ああ、うちも奥さん怖……いや、大事だから、そんな事は考えられないな……。ハ、ハハ……||||」


「そ、そうですよね〜?」


 今、奥さん怖いって言いそうになったよね?

 そう言えば、小坂さん柔道二段だけど、奥さんの方が上の段持ってるって言ってたような……。


 夫婦の力関係が垣間見えたような気がして愛想笑いを浮かべるばかりだった。

 小坂さんは、気を取り直そうとするように殊更明るい声を出した。


「ま、まぁ! お互い、家庭も仕事も安定しているなら、何よりだよね? まぁ、今の時期、社内は新入社員と新しい派遣社員に仕事に慣れてもらうまで大変かもしれないけどね……」

「そうですね……」


 あの優秀な派遣社員、森継くんも皆に惜しまれる中、既に契約を終えてこの社を去っている。今頃RJ会社の社員として頑張っているだろう。


 契約更新の時期を経て、今、新しく派遣社員が各課に数人ずつぐらい配属されていた。


「ああ、ホラ。彼女も確か新しい派遣社員さんだよね」

「ええ……。確か2課の配属されてる人ですよね……」


 小坂さんに指摘され、移動途中に2課の部屋の前で見かけた髪を三つ編みにメガネをかけた、大人しそうな女性に目を遣ると……。


「…!??|||||||」


 俺の顔を見ると、彼女の顔はさぁーっと一気に青褪めた。


「?」


 なんだろう?と不審に思いながらも、俺はその場を通り過ぎた。


✽あとがき✽


読んで下さりありがとうございます!

「一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く」


続編《一夫多妻制Ver.》になります。

しばらく毎日投稿していきたいと思いますので、よければまたよろしくお願いします。


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