41話。モブ皇子は母と妹の自由を勝ち取る。幸福な未来へ
【※読者の皆様へ】
今回のあとがきは、『全ての読者様』にお読みいただきたいです。
5秒も掛からないので、ぜひ最後まで目を通してあげてください。
なにとぞ、よろしくお願いいたします。
「戻ったかルークよ!」
帝国軍と共に宮殿に凱旋した俺を、皇帝アルヴァイスが両手を広げて出迎えた。
見れば急造された火刑台が、撤去されだしていた。
あの火刑台は、母さんを処刑すると見せかけてダークエルフの主力を誘き出すための罠だった。
だが、場合によっては、ダークエルフどもに母さんを奪われることを防ぐために、母さんはここで本当に処刑されることも有り得た。
皇帝アルヴァイスは、勝つために手段を選ばない男だ。
火刑台が撤去されることは、母さんが殺される未来が変わったことの何よりの証明に思えた。
「まさか、余が遂げられなかったダークエルフどもの支配まで、成し遂げてしまうとはな! さすがは余の息子。魔族の軍を得たことで、我が帝国は大陸制覇に、より大きく前進したぞ!」
皇帝は豪快に笑った。
「想像の埒外の成果だ! 約束通り、お前には第3位の帝位継承権を与える。余の息子、セレスティア帝国の正統なる皇子としてこれからも励むが良い!」
「ははっ!」
俺は皇帝の前に膝をついた。
余の息子か。
初めて会った時は、出来損ないは息子とは認めないと言っていたのにな……
「ルーク皇子、万歳!」
居合わせた人々から、大地を揺るがすほどの拍手喝采が送られる。
「ルーク! よく無事で……ああっ、心配していたのよ!?」
「母さん!」
ルーナ母さんが駆け寄ってきて、俺を抱き締めた。
「しかもヴィンセントたち……ダークエルフが皆殺しにされるのも阻止してくれたのね」
「それを許したら、きっと母さんが悲しむと思ったから……」
「あ、あなたは……!」
母さんは感銘を受けた様子だった。
「俺の望みは母さんとディアナに幸せになってもらうことだからね。そのために、できることはすべてしたいんだ」
「……だったら、私は今、この上なく幸せよ。あなたのような息子に恵まれて。あなたのような優しい子が王になったのなら、きっとみんなが幸せになれると思うわ」
俺は別に優しくなど無いと思うが……
「私は本当は恐ろしかったの……あなたが『予言の魔王』ではないかと。血みどろの戦いの道を選ぶのではないかと感じたらから」
「……」
「でも、それは取り越し苦労だったみたいね。あなたは敵にも情けをかけられる子だわ」
俺が敵に情けをかけるのは、その方が利があると判断した場合だけだ。
母さんとディアナを守るためなら、俺は鬼にもなる。
だけど、今ここで、そんなことを告げる必要は無いだろう。
「何から何まで、お兄様はスゴイです!」
ディアナが俺に飛びついてきた。
「お母様! 話したいことがいっぱいあるんですよ! 聞いて下さい!」
「ええっ。ぜひ、聞かせてちょうだい、ディアナ。あなたも無事で、本当に良かったわ!」
俺たち親子は3人で、お互いの温もりを確かめるように抱き合った。
俺は、この瞬間の幸せを噛み締める。
それから、皇帝アルヴァイスに向き合って告げた。
「父上、さらなる報奨の追加をお願いしても、よろしいでしょうか?」
「なに……? 許す。申してみよ」
俺が皇帝にさらなる褒美を要求すると、周囲の人々がざわついた。
冷酷な皇帝に対して、あまりにも図々しい態度だと思われたのだろう。
「ル、ルーク!?」
俺は心配する母さんを手で制す。
「私とオリヴィア王女との婚約は、マケドニア王国でも盛大に祝われるでしょう。しかし、仮にも王女の婚約者、偉大なるセレスティア帝国の皇子の母と妹が、罪人のごとく首輪をされているとあっては、帝国の名誉に傷がつきます。よって……」
俺は息を溜めて、大声で宣言した。
「我が母ルーナと、妹ディアナに科せられた【魔法封じの首輪】を、今ここで永遠に外すことを決断していただきとう存じます!」
「なんと!?」
皇帝の側に控えたサン・ジェルマンが、驚きの声を上げた。
【魔法封じの首輪】は、強大な力を持つ母さんとディアナの反逆を防ぐためのものだ。
母さんやディアナが脱走してダークエルフを率いて反逆する事態を、皇帝とサン・ジェルマンは恐れていた。
「この望みを叶えていただけるなら、このルーク・セレスティア。父上にさらなる忠誠をお誓いしましょう!」
だが、俺がダークエルフを支配した上で、皇帝に忠誠を誓うなら、彼らの懸念は払拭される。今回の俺の功績は、俺が帝国にこれからも貢献することを裏付けるものだ。
「……確かに、ルークがオリヴィア姫を娶るというのに、ルーナとディアナが囚人のごとき扱いを受けているとあっては、帝国の名折れか」
皇帝はしばらく考え込んでいたが、やがて決定を下した。
「良い許す! サン・ジェルマンよ、ルーナとディアナの【魔法封じの首輪】を破壊せよ」
「……よろしいのですか陛下?」
「ルークは大陸統一国家セレスティアの皇帝になると申したそうだな? 余と同じ野望に燃える息子に、くだらん枷は必要無かろう」
皇帝は俺をまっすぐに見て告げた。
「こやつには余と同じ覇者の血が流れておる。今さら、ダークエルフの王ごときの器で満足するとは思えぬ。余と共に世界を手に入れようぞ、我が帝国が誇る第3皇子ルークよ!」
サン・ジェルマンが呪文を唱えると、母さんとディアナの【魔法封じの首輪】が砕け散った。
「ずっと重かった【魔法封じの首輪】が!」
ディアナが歓喜の声を上げた。
「やっぱり、ルークお兄様は世界一偉大な、世界一のお兄様です!」
「これで、母さんとディアは自由だ」
「ルーク、あ、あなたは何という子なの!?」
俺は母さんとディアナと共に喜び合った。
この幸せをこれからも、ずっと守り続けていこうと誓いながら。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます!
ルークの物語は一旦これにて完結となります。
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たった2、3秒で終わりますので、ぜひよろしくお願いします。
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