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族長は顔を真っ赤にしている。カタカタと震え。今にも飛びかかりそうだ。
すると、アフリは。
「以上がレポートの内容です。・・・キャンディーをどうぞ。お怒りを沈めて下さい」
何と、ポケットからキャンディーを取り出し族長に差し出した。
【貴様、黙らないか!首をへし折るぞ!】
族長は剣を持っていない。メイドの首に両手をかけた。
締める動作をした。
衛兵が動く。
しかし、
ブヘン族代表団の中から、一人のスラリと長い女が抜け出てきた。服はメイド服、褐色の肌、魔族の血が入っている
王子は不審に思う。代表団は女一人がいた。向こうの侍女と報告を受けたが、彼女はまるで族長を子供のように叱りつけた。
【オクラ~、その子の首をへし折ったら、お前の方を殺すしょ】
「ヒィ、族長様!」
何だ、謀れたのか。彼女が族長か。やはり油断できない部族だと皆は思う。
もし、メイドの檄文とも取れるレポートがなかったら騙されたままだったかもしれない。
「アンタは罵倒するだけの能なしなのだから、役割を超えちゃいけないよ。でさ。お嬢ちゃん」
「アフリでございます」
「そう、アフリ、この案には問題があるんさ。お前ら女神教徒はさ。異教徒との貿易禁止しているっぺ」
「簡単でございます。貴方方も女神教徒になるのは難しいのは分かっています。
我国に朝貢して、その見返りにお土産を渡す形にしても良いと思います。
また、女神教会には対魔族の友軍として、教義の解釈の変更をしてもらい。対魔族戦線の一員になれば貿易も可能になるでしょう。これは時間が掛かります」
「ふ~ん。アフリ、旅商人の出かい?やけにこっちの事情に詳しいじゃん」
「左様でございます。母は旅商人の出でございます」
「そうかい。母の名は、モニカ!キャンディーのモニカじゃない?」
「左様でございます。母をご存じでしたか?」
【ア~ハハハ、交渉のやり方がモニカそっくりだよ】
「「敵対する時の交渉は物腰柔らかく。友愛を求める時は厳しく言葉をぶつける」」
ハモった。お母様が旅の途中で得た知識だ。草原の知恵だわ。
敵対する時はおべっかを使い相手を油断させる。
友愛を求める時は、厳しい事を言い。どこまで腹を割れるか確かめ合う。
草原の知恵だ。
もう、既に、女族長は、アフリの尖った言説とは裏腹に友愛を求めている事を理解していた。
☆☆☆アフリ視点
・・・そう、これが草原の知恵。初めから分かっていたのね。しかし、自分の言葉でなければ女族長は見破ったでしょう。
だからメロディに宿題は自分でやれと言ったのに。
お母様は旅商人、市民権が欲しくて、放蕩貴族の四男だったお父様と結婚を決断した。それで、王都に店を構える事が出来た話を思い出す。
「そうさね。改宗は部族長たちが反対するね。その案できまりださ」
「拝聴、有難うございました」
「ちょっと、アンタ、どこいくね」
「はい、これから、宴の準備がありますから」
「馬鹿だね。もう、婚約者は決まりだよ」
「はい?!」
「アンタが第三王子の嫁さんになって、対ブヘン族対応をしてもらうしょ」
「嫌です」
「アハハハハ、ここでそう言う?空気読まない子だね!気に入った」
結局、女族長、シルカ様の隣で果汁を頂いた。
母の話を聞く・・・
「モニカの夢は、ブヘン族との貿易を正式に出来るようにする事だよ。旅商人が密貿易をしていたが、微々たる量だ。私は部族長たちを説得する。
モニカは王都で店を構え交渉すると約束をしたのさ。嬉しいよ。娘が母の夢を叶えたのだからね」
「はい、有難うございます・・・グスン・・グスン」
「モニカはいつもキャンディーを配っていた。そうすると、『あのキャンディーの人?』って噂になるんだよ。上手い方法だよ」
過去を聞いて涙をした。
私の背中には酷い鞭打ちの跡がある。結婚出来ない女・・・だから、未来を思い浮かべる事は辛くなる。
☆☆☆リヒャルト視点
後日、ブヘン族の女族長は正装をして、陛下の前に跪いた。
「輝く太陽、ヨドム王国、国王陛下に、日が沈む草原の王よりご挨拶申し上げます」
「うむ。ヨドム国王は王国を代表して、草原の民の朝貢嬉しく思うぞ」
「有難いお言葉です」
「うむ」
儀式は終わった。
私はアフリを妻に迎え、私を当主として公爵家を興す案も出てきている。
いろいろ考える事はあるが、
今はアフリを妻にする事ばかり考えている。王命で妻にすることはたやすい。
しかし、それはしたくない。
だが、
問題が発覚した。彼女は貴族学園に在籍していない。
「王命である。貴族学園に入学せよ」
「・・・承りました」
これは強制した。
編入はいかなかったが、思考が柔軟であると教授たちから判定された。
今は、王宮預かりで、護衛がついて馬車で通学する毎日だ。
最低、宰相府勤務が約束されている。
最後までお読み頂き有難うございました。