第七十ニ話 仲直り
一方、レナとルーク達は人々が騒いでいる場所で書き込みをしていた。
2人はそれぞれ争いの原因を探ったあと、合流する手筈だったが……ルークには何の収穫もなかったようだ。
「その感じだと、何の収穫もないって感じね。私もあんまりって感じだけど….流石に無さすぎじゃない?」
彼はアレクと顔が似ている。だからこそ、気に食わないのだ。
「何故だ…なぜ元聖魔王国騎士団だと答えると何も答えてくれなくなるのだ…」
思わず私は座っていた机を叩いた。
「馬鹿でしょ…」
すると、ため息をつく暇もなくどこからか声が聞こえてきた。
「僕でも馬鹿だと分かるよ」
2人揃って「うわっ!」っと驚いた。私たちのテーブルの空席に見知らぬ女の子が座っている。
「やぁやぁ、アタイは人間陣営の代表、シェルムだよ。あんたら、この争いの原因を探ってるんだってね?」
彼女は、小さい足を机の上に乗せてながら話してくる。
レナはこの人を信用して良いのか迷っていたが、先に発言したのはルークだった。
「そうだ。君達は神の加護を受ける権利があると言っていたがどういうことだ?「再生の神」には誰でも会えるのではないのか?」
すると、彼女は少し鼻で笑いながら語り始めた。
「そりゃね、昔はアタイだって『再生の神』によく愚痴ってたさ。最近太ったとか言ってきたあのハゲのこととかね!でも、突然理由も話さずに『守人』たちが『神域』なるものを作って人間と亜人の共住空間に境界線を張ったんだ」
なるほどね。確かにそれは悪いけど争いにまで発展することなのかしら?
「それにね、ついにはアタイたちが人攫いをしたとかいちゃもんつけて逆に私達を数名攫っていったんだ」
彼女は、幼い口調ながら声を荒げて怒っている。
私たちでは理解が難しい。でも、アレクに聞けば何か分かるかもしれないと思った。
何かいらない事を言いそうだったルークの腕を引っ張りながら「貴重な話ありがとう。また今度会えたらお話ししましょ!」と言ってその場を離れた。
能力「空間操作」を使ってその場を離れると腕を掴んでいたルークが怒ら始めた。
「なぜ彼女の話をもっと聞いておかない?彼女の話だと悪いのは亜人達なのは明白じゃないか」
「あんた、まだ分からないの?その先入観がジェイドを殺した原因であるって事を!」
辺りは静寂に包まれた。怒っていたルークも思わず唇を噛む。
「相手の話を聞く、その姿勢はいいと思うわ。でもね、何ですぐそうやって決めつけるの?ゴルデア王国の時もアレクと共に闘っていい奴だなってわかった。なのに貴方は勝手な決めつけでアレクを敵とみなしてジェイドを死なせた。貴方はゴルデア王国、ポラリス王国の時も居なかったよね?なのに何でわかったふうにしてるのよ!何のために……アレクがあんだと共に歩む道を選んだと思ってんのよ…」
私は瞳を滲ませながら、静かに想いを伝えた。ずっと吐けなかったこの苛立ち、アレクが許したのだから、私も許すのが筋だと思い我慢していたが全て出した。
ルークはただ黙っていた。だけどその表情は、アレクに敗北した時と同じ表情だった。
涙を拭い取り、歩き出す。
「本当はぶん殴ってやりたいけど、これでスッキリしたわ。あんたは許してやる代わりに…アレクをちゃんと支えてあげてよね。それがあんたの懺悔になるわ」
ルークの顔は見えなかった。だが、もう彼は心配する必要は無いだろう。
これが私なりの仲直りの仕方。




