第六話 家族として
俺はジュリアを屋敷のベットルームで看病していた。
あの戦いの後、結局トドメはささず、なんとか話し合いで解決しようと思ったのだ。
「んん、、ここは、、?」
「ここは、仮眠室のベットだよ。父さんにはジュリアが魔物から庇ってくれた時に怪我をしたって伝えてる。」
ジュリアは、戸惑った様子だが少し安心したように見えた。
「ごめんなさい。でも私はどうしても奴隷という身分が嫌だった。あなたを殺そうとは思ってなかったの。人質にして、主人様を説得しようと、、」
「もういいよ。なんなら君の今の主人は父さんじゃ無いからね。」
「え?」
「実は今朝ジュリアに会いにいく前に父さんと話をしたんだ。ジュリアの様子がおかしいって。そしたら、父さんはジュリアが奴隷から抜け出したいって言う気持ちをわかってたみたいで契約を解除したんだ。」
ジュリアは驚いた表情だ。
「俺達の家族としてここで暮らすか、ここから出て自由に生きるか。好きな方を、選んで。」
「うっ、、ぐすっ、、私はあなた様にどれだけ感謝をしたらいいのか、、」
泣いている。
こう言う場合はどうすればいいかわからない。
そして話しかけようとした時、窓から2体の悪魔が突っ込んできた。
「おい!ジュリア!こいつを攫うってことでいいんだな?」
顔が鳥のようで、異様な体をしている。
「待って!明日来るって、、それにこの人は違うの!」
「いや泣いているってことは、、」
「待て!何を勘違いしてるんだ!?」
まずい、今は何も武器がない状態だ。
とりあえず時間を稼ぐんだ。この爆発音なら誰か来るはず、、
「俺はジュリアを自由にしてあげようと、、」
「黙れ!そうやって人間はメルやジュリアを攫ったんだ!め
ま、まずい。
ジュリアも必死で誤解を解こうとしてるが、聞こえていない。
そして悪魔は痺れを切らしたのか俺の首を掴んできた。
「くはっっ、、」
苦しい。息が、、できない。
「やめなさい!あなた達!」
ダメだ、、怒りで聞こえてないらしい、、
俺が嘘をついたと思って余計にキレてるんだ。
このままじゃ、、
「んん?何をやっているのかね、、?」
この声は、、と扉の方に目線を向ける。
扉の前にいたのは、レイヴン先生だった。
「レイヴン、、先生、、」
「おや、アレク。いかなる時も油断してはならないと言っただろう。学習不足だな。」
「す、、すいま、、せん」
レイヴン先生は悪魔達の方に鋭い目をやった。
「さて悪魔達よ、、」
「私の教え子に手を出すとどうなるか、、、」
その瞬間、この部屋の空気が凍りついた。
この前まで俺に教えていたレイヴン先生じゃない。
周りの空気が異様に重く、殺気に満ちている。
「さあ、その手を離すんだ。」
悪魔達は戸惑いながらもレイヴン先生に立ち向かった。
「うるせぇ!老人はすっこんでろ!!くらえ!火球!!」
火球が二手から飛んでくる。
しかし、レイヴン先生はフッっと息を吹きかけるだけで二つとも消してしまった。
そして俺がまばたきをした瞬間、レイヴン先生は俺を抱き抱え、悪魔たちを気絶させていた。
「安心しなさい。ただの峰打ちだ。」
「レイヴン先生、、これは、、」
「わかっている。私は遠くから見ておくよ」
やはりレイヴン先生はわかっている。
俺は地面に下されたあと、少し呼吸を整えジュリアの答えを待った。
「貴方は、私たちを家族として見てくれるとおっしゃってくれました。」
「ああ。」
「本当に家族になっていいんですか?もう、この悪魔たちのように不安に怯えながら生きなくてもいいんですか?」
俺はうなずいた。
「約束する。もう何も心配しなくていい。君は、奴隷でもない。俺たちの大切な家族だ。」
気絶してる悪魔たちはレイヴン先生が遠くの森に連れて行き、ジュリアの手紙を渡して誤解を解いてくれた。
メルには俺から説明をし承諾を得た。
これでジュリアの件については一件落着となった。