第五十七話 獣王国の意地
聖魔王国近くの森林
「くそッ!なんだあの破壊力は!?急いで戻らないと、、」
ルークは聖魔王国の方へ向かおうとするがそこに立ちはだかったのはサンダーボルトとメリフィスだった。
「あんたらには行かせねぇよ。アンタとアレク殿を合わせる気はねぇからな。」
「彼が聖魔王国の王を人質にすれば獣王国の勝利になり、あとは直接手を下さなくとも貴方は国潰しの罪で死ぬことになる。」
アレクははなから俺と戦う気はなかったということか。
「行くぞメリフィス!これまで負けた分をここで返してやろうぜ!」
「えぇ!」
メリフィスは召喚魔法を使い、ゴールドゴーレムとワイバーンを召喚した。
2匹の召喚獣はカイトを攻撃する。
「舐められたものですね。能力『効率』発動。」
カイトは無駄のない動きで2匹の攻撃をかわす。
西欧流
カイトなら大丈夫だろう。あとはこの獣人を片付けなくては。
「よそ見してる場合かよ!!」
高速で動くサンダーボルトの拳が剣に直撃する。
その時、着ていた服や髪の毛が逆立った。
「なに!?」
サンダーボルトは足をトントンとして稲妻を起こす。
「まだまだ行くぜっ!」
一瞬で間合いを詰められ急いで防御の技を使う。
水聖流 双玉の旋律
しかし、拳が剣に当たると身体全身に痺れが起こる。
「ぐっ、、何が、、」
剣を離してしまいそうになる。
だが今ので分かった。こいつの能力は、、
「やっと気づいたか。アタシの能力は『静電気』一度触れた場所にもう一度触れると感電をおこすんだよ。」
獣王国の戦士ということもあってまぁまぁ強いな。
カイトの方は少し手こずっているが、問題はない。
「どけ、獣人。お前の相手はしてる暇はない。」
「眼中に無いってか?イライラさせるねっ!」
木々をうまく使い、四方八方へ移動し撹乱を図る。
そして、方向を変えルークに蹴りを喰らわせようとする。
「おらっ!」
しかし、当たる直前に見たルークは余裕のそぶりを見せていた。
「行動パターンが一つだけだな。」
その瞬間、ルークが視界から消えてアタシは背中を斬られた。
「がはっ、、」
近くで見ていたメリフィスが倒れたアタシに駆け寄ってくる。
「今、治癒魔法をかける。召喚獣!お前達は、、」
メリフィスがカイトの方を見るとゴーレムとワイバーンが倒れている。
絶望していた私にサンダーボルトが辛そうな声で話してくる。
「ま、まだだ、、はぁ、アタシらは、、負けねぇ、」
彼女は諦めるつもりはないらしい。彼女が諦めきれない理由は過去に何度も聖魔王国に敗北しているからだ。
ここで負ければ、獣王国の民がまた辛い思いをするだろう。
「、、、そうですね。最後まで足掻きましょう!」
「へっ、、おうよ!」
手を取り合い、立ち上がる。
相手は聖魔王国のNo.2とNo.3の実力の持ち主。
だからなんだ。
「獣王国はな!負けっぱなしは大っ嫌いなんだよ!」
2人は立ち向かう。
倒れ込んだいた兵士達もそれに続けて走り出す。
国を守るために、、。
召喚魔法 メリフィスが出した召喚獣はマスター級で高いランクのものを出すためにはそれなりの魔力が必要。倒された場合はチリとなって消え、再び召喚するのに時間がかかる。
能力『静電気』一度触れた場所にもう一度触れると電気を起こす。地面と併用すれば高速で走ることも可能。相手に攻撃が命中した数だけ感電する大きさも変化する。