第五十四話 決戦前日
聖魔王国城内にて
「まだ、ロギアス・アレク・レオナードは捕まられないのか?これは貴様の失態だぞルーク。」
まだ治癒しきっていない身体で王の前に膝をつく。
「ご安心を。しばらく奴が何かすることはないでしょう。もし、また起こしたのならそこに向かいアレクを殺すのみです。」
俺だって自分の家族を手にかけるような真似はしたくない。
だが、唯一の問題点は俺はアレクのことを何も知らないという点だ。
その時、城の扉が勢いよく開き兵が慌てた様子で転がり込んできた。
「何事だ!?王の前で無礼だぞ!」
「も、申し訳ありません王よ。しかし、急ぎでお伝えしなくてはならないことがございます。」
王は部下に命令し発言を許す。
そして、俺の一番聞きたくない情報が入って来た。
「世界の異端者、ロギアス・アレク・レオナードが聖魔王国に戦争を仕掛けようとしている模様です!」
なに!?
「「「「まさか、、奴が、、いったいどうやって?」」」
周りがざわついている。
いつのまにか俺はその場を飛ぶように離れ、アーサーのいる訓練所へ向かった。
「アーサー!!いるか!?」
アーサーは騎士団長の椅子で紅茶を飲んでいた。
「あぁ、知ってるよ。まずい事になったね。彼の情報を調べてみると大賢者レイヴンと接触しているようだ。」
大賢者レイヴンだと?まずい、一番厄介な人間があちら側についてるようだ。
「やるのかい?」
こちら側も腹を括るしかない、、か。
「あぁ、戦の準備だ。」
聖魔王国近くの村にて
聖魔王国の騎士団が俺たちの行く道を塞いでいる。
「貴様が世界の異端者だな?ここで止まらない、または降伏しない場合は武力で対抗させてもらう。さぁ!選べ!」
めんどくさいな。あの隊長が一番強いのか?
レイヴン先生の修行をつけてもらった俺が手こずる相手ではない。
「、、降伏の意思が無いようだ。能力!『兵隊鼓舞』!」
周りの兵の活力が上がったようだ。
「かかれぇぇぇえ!!」
一斉に剣を持った兵が突撃してくる。
「邪魔だ。どけ。」
地鳴りを起こし、全員を薙ぎ倒す。
「行くぞ、、、」
こうして二つの意思がぶつかり合う。
どちらも自分が正しいと思うことをするために。
『兵隊鼓舞』自分を含め、周りの人間のステータスを上げることができる。効果時間は10分程度だが、いくらでも使えるので集団戦ではかなり強力。