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複製人生   作者: 名のないりんご
第六章 聖魔王国大戦編
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第五十三話 決戦前日

      聖魔王国城内にて


「まだ、ロギアス・アレク・レオナードは捕まられないのか?これは貴様の失態だぞルーク。」


まだ治癒しきっていない身体で王の前に膝をつく。


「ご安心を。しばらく奴が何かすることはないでしょう。もし、また起こしたのならそこに向かいアレクを殺すのみです。」


俺だって自分の家族を手にかけるような真似はしたくない。


だが、唯一の問題点は俺はアレクのことを何も知らないという点だ。


その時、城の扉が勢いよく開き兵が慌てた様子で転がり込んできた。


「何事だ!?王の前で無礼だぞ!」


「も、申し訳ありません王よ。しかし、急ぎでお伝えしなくてはならないことがございます。」


王は部下に命令し発言を許す。


そして、俺の一番聞きたくない情報が入って来た。


「世界の異端者、ロギアス・アレク・レオナードが聖魔王国に戦争を仕掛けようとしている模様です!」


なに!?


「「「「まさか、、、いったいどうやって?」」」


周りがざわついている。


あいつ1人でどうやって戦争なんかを、、


いつのまにか俺はその場を飛ぶように離れ、アーサーのいる訓練所へ向かった。


「アーサー!!いるか!?」


アーサーは騎士団長の椅子で紅茶を飲んでいた。


「あぁ、知ってるよ。まずい事になったね。彼の情報を調べてみると大賢者レイヴンと接触しているようだ。」


大賢者レイヴンだと?なるほど。協力者のおかげでここまで出来たのか。


「やるのかい?」


こちら側も腹を括るしかない、、か。


「あぁ、戦の準備だ。」


          獣王国 訓練所


あれから1週間。やめていたトレーニングをやり直し、魔力量と衰えていた筋力を取り戻した。


「998、、999、1000っ、、。はぁ、、はぁ。」


流石にきついな、、昔はよくこんなことを続けていた自分に感心した。


「さて、アレクよ。『能力』の次の段階へ行こうか。」


岩の上に腰掛け、リンゴを齧っている。


「次の段階?」


流れ出る汗をタオルで拭きながら聞き返す。


「そう。能力は『応用』することで別の力を発揮する。極少数だが、能力が『覚醒』する場合がある。まぁ、基本はならないと思っていた方が良いだろう。だが、覚醒に行くまでの道のりに能力の『応用』が必要なのだよ。」


例えるならエドワードが使っていた巨大ゴーレムか。俺も『複製』を使って『接続』の能力をコピーしているが、複数の部分を繋げることはできない。


「応用は口で言っても伝わりづらいな。そうだな、アレクはリンゴの食べ方はどんなものがあると思う?」


レイヴン先生はリンゴをクルクルと回しながら質問をする。


「アップルパイとか、、ジュースとか、、」


「そう!甘いというものベースにしてもっと他の味に変えて美味しくする。それと同じ原理だ。」


でも、それをするには何かを加えなければならない、、そうか!他の人の技術と俺の能力を合わせるのか!


訓練所にメリフィスを呼んで、召喚術のアレコレを教えてもらった。


「よし、これなら、、ルークにも勝てる。」


      三日後 聖魔王国への道中


聖魔王国の騎士団が俺たちの行く道を塞いでいる。


「来たか、世界の異端者。降伏しない場合は武力で制圧させてもらうぞ。」


めんどくさいな。あの隊長が一番強いのか?


レイヴン先生の修行をつけてもらった俺が手こずる相手ではない。


「、、降伏の意思が無いようだ。能力『兵隊鼓舞』!」


周りのにバフがかかったようだ。


「かかれぇぇぇえ!!」


一斉に剣を持った兵が突撃してくる。


後ろのみんなが動こうとしたが、俺はそれを手で静止し大軍の中に向かっていった。


「邪魔だ。どけ。」


地鳴りを起こし、全員を薙ぎ倒す。


うわぁぁぁぁぁあ


兵がバタバタと地面に落ちていく。


もう後戻りはしない。


こうして二つの意思がぶつかり合う。


どちらも自分が正しいと思うことをするために。







『兵隊鼓舞』自分を含め、周りの人間のステータスを上げることができる。効果時間は10分程度だが、いくらでも使えるので集団戦ではかなり強力。

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