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複製人生   作者: 名のないりんご
第三章 ポラリス王国編
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第四十話 思いを込めた拳

               ポラリス王国城下町 中央広場


「くそ、あいつの装甲が硬すぎて壊せねぇ。」


「どうする?アレク。」


レナの空間を削る攻撃も効かず、俺の居合流も効かない。まさに無敵といっても過言ではない。


「『神業』ならあいつの装甲も破壊そうだけど、それをしたらあんたの身体が、、。」


そうだ。あの技は人間が本来撃てるものではない。


だが、勝つためには出し惜しみをしている暇はないのだ。


迷っているとエドワードは、城壁の大砲と接続し俺たちめがけて撃ってきた。考え事をしていた俺は反応が遅れる。


そこに飛んできて俺を庇ったのはジェイドだった。


「ぐっ、、アレク、、しっかりしろ。装甲の金属は衝撃に弱いはずだ、、」


しかし、ゴーレムへの攻撃を防ぐように城の中ににあった鎧にも接続され、俺たちの前に立ちはだかった。


すると、ジェイドは何か気付いたのか鎧の兵の方へと向かっていった。


「おい!なにやって、、」


「よそ見をしている場合か!?」


デュークが突っ込んできて間一髪のところで助かった。


装甲を破壊する方法はわかる。だが、あのゴーレムには隙がない。


「はっ、、わかったか!アレク・レオナード!!これが正義の力だ。この力を見れば、誰も悪の道へと進まない。戦争にも勝利できる!これがあれば皆が望んだ世界を作り上げられるじゃないか!!」


違う。それは正義じゃない。言葉ではうまく表せないが、それを誰も望んでいないのは確かだ。


恐怖で支配することは正しいことなわけがない。


すると、避難していた少年が俺にあるものを渡して来た。


「お兄さん、これを使って!あの時のお礼だよ!」


魔力を回復するポーション?かなり貴重なものだ。だが、これさえあればいける!


「やるぞ!少しの間だけ時間を作ってくれ!」


「ええ!」「わかった」「ほんと無茶ばっか言うんだから!」


俺は、鎧兵の中を突っ切る。


「シールドアタック!」「旋風のアリア!」「オブリヴィオン・スラッシュ!!」


みんなのおかげで敵への道は開けた。


上からゴーレムの拳が振るわれる。


「頑張れよ、俺!岩盤の大災害(ロック・カタストロフ)!!」


2つの拳がぶつかり合う。そしてゴーレムの硬い装甲にヒビが入り、バラバラと崩れていく。


いってぇ、、左手が弾けてる、、。でも、あとは攻撃を繰り出せば、、


「アレク!横!」


「え?」


もう片方のゴーレムの拳が俺をぶっ飛ばした。


「おぐっ、、」


飛んでいく途中、ジェイドが俺をキャッチした。


「アレク!大丈夫か!?」


「何とかな、、ん?それは?」


「これが接続された鎧と一緒にここに運ばれていた。」


ボロボロの鎧だ。だが、かなり頑丈そうに見える。


「最後に手伝ってもらいたい。あの装甲の中には操縦室がある。そこにはまだ硬い装甲がある。それを突破するにはこの鎧を使えばいける。」


「お、いいね。ちょうど腕を守るのが欲しかったんだ。」


そしてさっきもらったポーションを飲み、無くなっていた魔力を回復させた。


「「いくぜ!!」


2人で急降下する。


ゴーレムは少しずつ立ちあがろうとする。


「な、なんだあれは??まさか、、アレク!ジェイド!」


拳の鎧を右腕につけ、操縦室目掛けて突っ込む。


「ロック、、」「ファング、、」


エドワードは咄嗟に腕で操縦室を守る。


「カタストロフ!!」「フィスト!」


2つの合わさった鉄の拳が全てを貫通し、エドワードの顔面をぶん殴った。


激しい砂埃が起こり、辺りは騒然とする。


そして、俺とジェイドは手を上に上げガッツポーズをした。


二つの腕部分の鎧は、あの日エドワードとジェイドの2人で誓い合った時のものだった。


偽られた正義は終わり、昔のような本当の正義を取り戻したのだった。

狼の鉄拳(ファング・フィスト) 貫通に特化した技。威力は絶大だが、腕に負荷がかかる。

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