第三十九話 思いと思いのぶつかり合い
「ジェイド少佐!ご無事で何よりです!今までどちらにおられたのですか?」
向こうから隊列を組んでいる警備隊がやってくる。
「あぁ、少し立て込んでいてな。町の宿で休ませてもらっていた。今日の練習メニューは外周にしておけ。」
「え?えぇ、わかりました。ところで後ろの兵達は?」
「見習いだ、私が少し見てやろうと思ってな。それより国王はいるか?」
すると、衛兵の隊長のような人物がジェイドの耳元で伝えた。
「かなりご乱心のようです。くれぐれもお気をつけて、、」
「あぁ、大丈夫だ。」
そうして俺たちは玉座の間へとやってきた。
「待っていたよ、ジェイド。まさかお前が負けるとは意外だった。だが、捕えられなかったのは貴様の失態だ。貴様は自分の命で償うべきではないか?」
「、、、」
エドワードは黙り込んでいる。俺たちはまだ息を潜める。
「それか、また戦場に出てもらうか。」
その言葉を聞いたジェイドは急に声を荒げた。
「ネイド!貴様、前の戦いを忘れたのか!?大勢の兵が無駄死にをしたあの悲劇を!」
エドワードは、少し不機嫌な様子でジェイドに返答をした。
「我々は正しいことをした。あそこで戦争をしておかなくては、立場上不利になる。わかるか?甘っちょろい言葉なんて吐いていたら国は滅びる。だから正義という名を掲げて戦いを続ける。国に支配力は必要なんだよ。」
ジェイドは黙り込んだ。
「ジェイド、お前ならわかるはずだ。今度の戦争で勝つことができれば今回の件は無かったことにしよう。どうだ?」
ジェイドは泣きながらエドワードを見上げた。
「エドワード王、、。いや、兄さん。もう俺は少佐という立場で安全な場所から皆が死んでいく姿を見たくない。俺たちの正義はいつ変わった?いつから、俺たちの正義は人を支配する言葉になった?この国は正義の国なんかじゃない、、」
「犠牲の国だ。」
俺たちは鎧を脱ぎ、ジェイドの横へと並ぶ。
「き、貴様らは!」
「ジェイド、よく言った。さぁ、この国の馬鹿な王の目をお前の兄貴の目に戻してやろうぜ!」
衛兵達が集まってくる。エドワードは少しの間、黙り込んでいたがどうするかを決めたのかこちらを向いた。
「ジェイド!お前の思いはわかった。だが、そのような甘い考えでは国は駄目になる。両親を1番近くで見て俺はそう感じた。支配するには権力が必要。つまり、この私だけにしかできないのだ!」
すると、辺りに地響きが起こる。
玉座の後ろが動き、巨大なアイアンゴーレムが出てきた。
「見よ!これこそが正義の国の象徴!俺の能力、「接続」。無機物でも俺の指示通りに動かすことができる。つまり、無敵の番人が完成したのだ!」
さて、、どうするかな。動きは鈍そうだし、エドワードがある場所さえわかれば良いはずだ。
ネイドは、ジェイドに任せよう。
「ジェイド、そのナルシストをぶっ飛ばしたらこっちに応戦に来てくれ。」
「了解した。」
そうしてアレク達とジェイドは二手に分かれた。
ギレイア・エドワード・ジンジャー 「接続」 無機物を自分の頭で考えた通りに動かすことが可能。ただし、生き物や人間に対しては効果がない。壁に使えば張り付くことも可能。